公認心理師 過去問
第8回(2025年)
問64 (午前 問64)
問題文
65歳の男性A。活気がなくなったことを心配した妻Bに伴われて、心療内科クリニックを受診した。Bによると、Aは1年ほど前から動作が徐々に鈍くなっており、自宅で転倒することも増えているという。医師Cの診察中、Aは表情に乏しく、返事が聞き取りにくい状態であった。膝の上に置かれた両手は小さく震えていた。歩行時の姿勢は前傾気味で、歩幅は小さかった。四肢の麻痺や筋力の低下はなかったが、CがAの肘や膝の関節の曲げ伸ばしをしようとすると、がくがくと断続的な抵抗感が認められた。不眠や立ちくらみ、便秘などの症状もあるという。現在服用中の薬物はない。
Aの病態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
Aの病態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
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問題
公認心理師試験 第8回(2025年) 問64(午前 問64) (訂正依頼・報告はこちら)
65歳の男性A。活気がなくなったことを心配した妻Bに伴われて、心療内科クリニックを受診した。Bによると、Aは1年ほど前から動作が徐々に鈍くなっており、自宅で転倒することも増えているという。医師Cの診察中、Aは表情に乏しく、返事が聞き取りにくい状態であった。膝の上に置かれた両手は小さく震えていた。歩行時の姿勢は前傾気味で、歩幅は小さかった。四肢の麻痺や筋力の低下はなかったが、CがAの肘や膝の関節の曲げ伸ばしをしようとすると、がくがくと断続的な抵抗感が認められた。不眠や立ちくらみ、便秘などの症状もあるという。現在服用中の薬物はない。
Aの病態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
Aの病態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
- 重症筋無力症
- ハンチントン病
- パーキンソン病
- 筋ジストロフィー
- 筋萎縮性側索硬化症
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この過去問の解説 (1件)
01
正解は「パーキンソン病」です。この設問では、症状が現れた時期(1年ほど前から生じていること)、具体的な症状(表情の乏しさ、手の震え、姿勢保持や歩行動作への影響、精神症状)に合致する選択肢を選ぶことが求められます。
不適切です。「重症筋無力症」は、手足などの同じ筋肉を何回か繰り返し動かしていると、筋肉が疲れて力が入らなくなる病気です。安静時には落ち着いていますが、全身の筋力が弱くなったり、疲れやすくなったりします。
不適切です。「ハンチントン病」は遺伝性の疾患であり、その症状は舞踏運動などの運動機能や、イライラや抑うつなどの精神症状、思考力の低下や物忘れなどの認知機能などに分けられます。
適切です。「パーキンソン病」は、脳の神経細胞(ドパミン細胞)の障害により発症する、進行性の病気です。運動症状と非運動症状に分けられますが、運動症状では振戦(手足の震え)や筋強剛(筋肉のこわばり)、運動緩慢(動作が遅くなる)、姿勢保持障害などが代表的です。非運動症状としては、抑うつなどの精神症状、自律神経障害、感覚障害、睡眠障害などが見られます。高齢になるほど発症率が高いとされています。
不適切です。「筋ジストロフィー」は、筋肉(骨格筋)の壊死・再生を主病変とし、進行性の筋力低下を認める遺伝性の疾患です。徐々に筋力が低下することにより、運動機能を中心として日常生活全般に影響を及ぼします。
不適切です。「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」は、手足・のど・舌などの筋肉や呼吸に必要な筋肉が徐々に痩せて力がなくなっていく進行性の病気です。身体を動かすための神経系(運動ニューロン)が変性することにより生じます。筋肉が痩せていく一方で、体の感覚、視力や聴力、内臓機能などは保たれることが特徴です。
各種病態の理解が求められる設問ですが、その病気の症状がいつどのように生じるか、また代表的な症状など、いくつか覚えておくべきポイントがあり、それによりある程度選択肢を絞ることができます。ここで挙げられている病態は全て指定難病であり、比較的問われやすいキーワードであるため、それぞれの病態の特徴については覚えておきましょう。
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