公認心理師 過去問
第8回(2025年)
問65 (午前 問65)

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問題

公認心理師試験 第8回(2025年) 問65(午前 問65) (訂正依頼・報告はこちら)

40歳の女性A、会社員。営業成績は優秀である。大学卒業以来、一人暮らし。ストーカー被害を訴え、警察署を訪れた。Aによると、隣人BがAに好意を抱いており、A宅の周囲をうろついているという。被害を訴えるAの様子は落ち着いていた。Aの話を聞いた警察は、B宅を訪問したが、BはAの話を否定した。さらに警察は、周辺住民への聞き込みを実施したが、Aの主張を裏付ける情報は得られなかった。一方で、AがB宅の前を徘徊していたり、B宅の郵便受けを覗き込んだりしていたことが判明した。警察はAに、Bによるストーカー行為の証拠は見つからなかったと伝えたが、Aは納得しない。
Aの病態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
  • 強迫性障害
  • 統合失調症
  • 妄想性障害
  • 妄想性パーソナリティ障害
  • 統合失調型パーソナリティ障害

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この過去問の解説 (1件)

01

正解は「妄想性障害」です。この設問では、女性Aが訴えていたストーカー被害は事実として判明されなかったこと、その一方でA自身がストーカー行為を行っていることが説明されています。現実にはあり得ない出来事に対して自身の主張を続けて行動にも移していることがポイントであり、そうした病態に当てはまる選択肢を選ぶことが求められます。

選択肢1. 強迫性障害

不適切です。「強迫性障害」は、ある考えが自身の意思に反して生じてしまい頭から離れず(強迫観念)、その不安を振り払うために何度も同じ行動(強迫行為)を繰り返してしまう病気のことを言います。

選択肢2. 統合失調症

不適切です。「統合失調症」は、個人の思考・感情・行動を統合することができなくなる病気のことを言います。特徴的な症状としては、陽性症状(幻覚、妄想、興奮など)と陰性症状(抑うつ、無気力、感情の平板化など)があります。

選択肢3. 妄想性障害

適切です。「妄想性障害」は、現実にはあり得ないことに関して、1つまたはそれ以上の妄想が1ヶ月以上持続的に続くことにより、日常生活に支障をきたす病気です。この設問では、事実として生じていない出来事に関する妄想が持続し、かつ妄想による行動化が生じていることからも、妄想性パーソナリティ障害よりも妄想性障害の方が適切と言えます。

選択肢4. 妄想性パーソナリティ障害

不適切です。「妄想性パーソナリティ障害」は、他者に対して強い不信感や懐疑心を抱く障害のことを言います。他者の言動を悪意をもって解釈してしまうため、対人関係や日常生活に困難を抱くことが多いとされています。

選択肢5. 統合失調型パーソナリティ障害

不適切です。「統合失調型パーソナリティ障害」は、親密な関係に対する強い不快感、思考や知覚の歪み、奇妙な行動などの症状を有する障害のことを言います。統合失調症と似た症状もありますが、統合失調症そのものとは別の障害となります。

まとめ

精神障害人格(パーソナリティ)障害に関する知識が問われる設問です。精神障害と人格障害はそのものが別の障害ですが、脳機能の障害により日常・社会生活に支障をきたす状態の総称であり、人格障害は精神障害の枠組みの中に生じる特定の症状・思考パターンと考えると選択肢を選ぶことが比較的容易となります。強迫性障害統合失調症妄想性障害などは比較的問われやすいことから、その障害の主たる症状については理解しておきましょう。

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