公認心理師 過去問
第8回(2025年)
問74 (午前 問74)

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問題

公認心理師試験 第8回(2025年) 問74(午前 問74) (訂正依頼・報告はこちら)

63歳の女性A、元会社員。夫と二人暮らしである。下肢の痛み治療を希望してペインクリニックを受診した。Aによると、以前に総合病院整形外科を受診したが、症状に改善はなく、自ら治療を中断した。しかし、最近、痛みがひどくなり、歩けなくなるのではないかと不安で、緊張状態が続いている。家事は夫が行っており、Aはなるべく安静にしているが、無理に動こうとして痛みが強くなることがある。その後、主治医の指示で公認心理師Bが心理的支援の担当となった。
BのAへの対応として、不適切なものを1つ選べ。
  • 認知再構成法を実施する。
  • 漸進的筋弛緩法を提案する。
  • 日常生活動作を段階的に縮小させる。
  • 痛みを管理するという方針で対応する。

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この過去問の解説 (1件)

01

正解は「日常生活動作を段階的に縮小させる。」です。下肢の痛みによりペインクリニックの受診を始めた女性Aは、現在痛みと精神的不安から安静に過ごしている状態であるため、公認心理師は女性Aの心身の状態に合わせた心理的支援をすることが求められています。

選択肢1. 認知再構成法を実施する。

適切です。認知再構成法とは、認知行動療法の一種であり、自動的に浮かんでくるネガティブな考え方(自動思考)をより現実的・適応的な考え方に修正していくための方法のことを言います。痛みにより生活への不安や緊張状態が生じているため、適切な対応の一つです。

選択肢2. 漸進的筋弛緩法を提案する。

適切です。漸進的筋弛緩法とは、身体の各部位の筋肉の緊張・弛緩を繰り返すことにより、心身をリラックスできる状態にする方法のことを言います。ストレスの緩和や不安軽減の効果があるため、有効な選択肢であると言えます。

選択肢3. 日常生活動作を段階的に縮小させる。

不適切です。日常生活動作ADL)とは、衣服の着脱、食事、入浴、排泄等を言います。ストレスの緩和や不安の軽減の効果があるため、有効な方法であると言えます。痛みが強くなることにより徐々に日常生活動作は減少してしまうため「日常生活動作を段階的に縮小させること」ではなく、日常生活動作を段階的に拡大させていくことが望ましい対応です。

選択肢4. 痛みを管理するという方針で対応する。

適切です。ペインクリニックでは、神経ブロック注射、鎮痛剤の処方など「痛みの管理」を重視した治療が行われており、痛みをコントロールしつつ、患者の生活の質を向上させることが目的です。

まとめ

ペインクリニックは、痛みに関する診断・知慮を専門に行う病院です。身体的な痛みに加えて、精神的不安や苦痛を伴うこともあります。症状に応じて服薬治療、リハビリテーションを行いますが、精神的苦痛が大きい場合には心理的ケアを行うことが設けられます。患者の日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)を維持・向上させるために必要なことは何か、という視点で考えられると良いでしょう。

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