公認心理師 過去問
第8回(2025年)
問81 (午後 問4)

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問題

公認心理師試験 第8回(2025年) 問81(午後 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

M. H. RønnestadとT. M. Skovholtによる心理職の成長モデルにおける、「経験を積んだ専門家期(Experienced Professional Phase)」の特徴として、最も適切なものを1つ選べ。
  • 自身のアイデンティティや性格に合った臨床スタイルを形成する。
  • 熟達したセラピストをモデルとして、その模倣を含む臨床活動を展開する。
  • 自身の臨床家としての力を現実的に認識し、キャリア上の限界を受け入れる。
  • 学んだ理論と臨床上の体験とのギャップを感じながらも新たな学びへの探究心が高まる。
  • 習得した技術や考え方を維持しながら、残された時間の範囲で新しい変化を受け入れようとする。

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この過去問の解説 (1件)

01

正解は「自身のアイデンティティや性格に合った臨床スタイルを形成する」です。

M. H. RønnestadとT. M. Skovholtは、心理臨床家の成長過程を6つの段階(①素人援助期②初学者期③上級生期④初心者専門家期⑤経験を積んだ専門家期⑥熟練した専門家期)により説明されています。この設問では、⑤経験を積んだ専門家期に関する特徴として適切なものを選ぶことが求められています。

選択肢1. 自身のアイデンティティや性格に合った臨床スタイルを形成する。

適切です。「自身のアイデンティティや性格に合った臨床スタイルを形成する」は⑤経験を積んだ専門家期に当てはまります。 

選択肢2. 熟達したセラピストをモデルとして、その模倣を含む臨床活動を展開する。

不適切です。「熟達したセラピストをモデルとして、その模倣を含む臨床活動を展開する」は③上級生期に当てはまります。 

選択肢3. 自身の臨床家としての力を現実的に認識し、キャリア上の限界を受け入れる。

不適切です。「自身の臨床家としての力を現実的に認識し、キャリア上の限界を受け入れる」は⑥熟練した専門家期に当てはまります。 

選択肢4. 学んだ理論と臨床上の体験とのギャップを感じながらも新たな学びへの探究心が高まる。

不適切です。「学んだ理論と臨床上の体験とのギャップを感じながらも新たな学びへの探究心が高まる」は④初心者専門家期に当てはまります。 

選択肢5. 習得した技術や考え方を維持しながら、残された時間の範囲で新しい変化を受け入れようとする。

不適切です。「習得した技術や考え方を維持しながら、残された時間の範囲で新しい変化を受け入れようとする」は ⑥熟練した専門家期に当てはまります。

まとめ

M. H. RønnestadとT. M. Skovholtによる心理職の成長モデルでは、各段階を以下のように説明しています。

 

①素人援助期(訓練を受ける前):身の回りの家族や友人に対する相談、助言を行う。自らの経験や常識的な判断をもとに助言し、自分本位となりがち。

②初学者期(大学院修士課程):熱意はあるものの、自信がなく不安の強い時期。教員や指導者の励ましや助言を必要とする。

③上級生期(大学院博士課程):経験豊富な臨床家をモデルにする。一人前になろうと完璧にこなす思いや責任感が強く、自由さやユーモアがなくなりがち。

④初心者専門家期(臨床経験5年程度):専門家として職に就く。訓練により体得したことを通じて個人と仕事の側面を統合し、クライエントの関係を重視し始める。

⑤経験を積んだ専門家期(臨床経験15年程度):臨床経験を積んでおり、困難な状況に置かれても、自己の経験や特性を反映させつつ、柔軟で粘り強いアプローチが取れる。

⑥熟練した専門家期:自身の臨床家としての能力に自信を抱いているが、限界を謙虚に受け入れる。仕事に無気力や退屈を抱くこともある。初心者を教育することで成長を覚える。


各成長過程において、臨床家としての成長の程度、課題や悩みがあるのか、理解しておきましょう。

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