一級建築士の過去問
平成27年(2015年)
学科4(構造) 問86

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問題

一級建築士試験 平成27年(2015年) 学科4(構造) 問86 (訂正依頼・報告はこちら)

鉄骨構造の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 骨組の塑性変形能力を確保するために定められている柱及び梁の幅厚比の上限値は、基準強度Fが大きいほど大きくなる。
  • 骨組の塑性変形能力を確保するために定められているH形鋼( 炭素鋼 )の梁の幅厚比の上限値は、フランジよりウェブのほうが大きい。
  • 柱の限界細長比は、基準強度Fが大きいほど小さくなる。
  • 鋼材の許容圧縮応力度は、材端の支持条件により、異なる値となる。

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この過去問の解説 (3件)

01

1.誤り。
骨組の塑性変形能力を確保するために定められている柱及び梁の幅厚比の上限値は、断面形状等によって異なります。
基準強度が大きくなるほど、幅厚比の上限値は小さくなります。


2.設問の通り。
設問1の解答と同じ理由です。

3.設問の通り。
限界細長比とは、材料が弾性限度内でいられる限界の細長比のことです。
柱の許容圧縮応力度fcは、細長比λが大きいほど低減されます。圧縮材は、応力度が基準強度Fの60%の時に、弾性座屈から非弾性座屈(材料が弾性限度内でいられる限界へ移行)します。
この時の細長比を限界細長比Λといい、Λ=√(π^2・E/0.6F)によって求めることができます。
よって、限界細長比Λは、基準強度が大きいほど小さくなるといえます。

4.設問の通り。
部材の許容圧縮応力度は細長比によって決まります。そして、細長比は、部材の座屈長さに対する断面二次半径の比率を表します。細長比が小さければ(座屈長さが短ければ)、圧縮耐力が大きくなります。逆に、細長比が大きければ(座屈長さがながければ)、圧縮耐力は小さくなります。
座屈長さとは、部材の支店間距離=座屈が発生する部材の長さです。材端の支持条件により、異なる値となるといえます。

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02

1.誤りです。
板要素の存在応力度が降伏点に達するまで局部座屈が生じないように幅厚比の上限が定められており、鋼材の基準強度が大きくなるほど、幅厚比の上限値は小さくなります。

2.設問の通りです。
H形鋼の梁に関する幅厚比の規定値は、フランジよりウェブの方が大きいです。

3.設問の通りです。
限界細長比は、材料が弾性限度内でいられる限界の細長比のことであり、
限界細長比 Λ=√(π^2・E/0.6F)
の計算式が成り立ちます。これにより基準強度Fの数値が大きくなると、限界細長比Λの数値は小さくなります。

4.設問の通りです。
圧縮材の許容圧縮応力度fcは、座屈を考慮し、
有効細長比 λ=ℓk / i (ℓk:座屈長さ、i:最小の断面二次半径)が大きくなるほど小さくなります。
材端の支持条件が異なると、座屈長さ ℓkが異なる値となるので、有効細長比 λ、圧縮材の許容圧縮応力度fcも異なる値となります。

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03

1 ×
鋼材の基準強度が大きなるほど、幅圧比の上限値は小さくなります。

2 〇
幅厚比制限が厳しいのはフランジです。

3 〇
設問通りです。限界細長比とは、弾性座屈と比弾性座屈の境界の細長比のことです。

4 〇
許容圧縮応力度は、(圧縮応力度/圧縮材の断面積)以下を満たすようにします。

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