一級建築士の過去問
平成27年(2015年)
学科4(構造) 問87

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問題

一級建築士試験 平成27年(2015年) 学科4(構造) 問87 (訂正依頼・報告はこちら)

鉄骨構造の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • トラスの弦材の座屈長さは、精算によらない場合、構面内座屈に対しては節点間距離とし、構面外座屈に対しては横方向に補剛された支点間距離とする。
  • 圧縮材の中間支点の横補剛材は、許容応力度設計による場合、圧縮材に作用する圧縮力の2%以上の集中力が加わるものとして設計することができる。
  • ラーメン架構の柱及び梁に、SN400材を用いる代わりに同一断面のSN490材を用いることで、弾性変形を小さくすることができる。
  • ラーメン架構の靱性を高めるために、降伏比の小さい鋼材を用いることは有効である。

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この過去問の解説 (3件)

01

1.設問の通り。
トラスの弦材の座屈長さは、精算によらない場合、「構面内座屈」に対しては節点間距離とし、「構面外座屈」に対しては横方向に補剛された支点間距離を持って座屈長さとします。

2.設問の通り。
圧縮材の座屈長さが長すぎる時に横補剛材を設けることによって座屈長さを短くすることができます。材には元たわみがあるため、横補剛材部分には集中力(横力)が作用するため、適度な強度と剛性が必要です。鉄構造設計基準では、圧縮力の2%が作用するものとして設計することが要求されています。

3.誤り。
ラーメン構造の弾性変形はヤング係数に比例しますが、SN400とSN490のヤング係数は同じであるため、弾性係数を小さくする効果はありません。

4.設問の通り。
降伏比とは、降伏した後、破断に至るまでの余裕を表します。降伏比の小さい部材を用いた鉄骨部材は、塑性変形能力が大きく、粘り強いため、
骨組の靭性を高めるためには、塑性化が予想される部位には降伏比の小さい材料を用います。

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02

1 〇
構面内座屈:節点間距離=座屈長さ
構面外座屈:横補剛間隔=座屈長さ

2 〇
圧縮材に作用する圧縮力2%以上の集中横力が加わるものとして設計できます。

3 ×
強度を高めても弾性変形(たわみ)を小さくすることはできないです。

4 〇
降伏比が小さいほど、最大応力度に達するまでの余裕が大きく、塑性変形性能(靭性)が高いです。

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03

1.設問の通りです。
トラスを構成する圧縮部材の座屈長さは、横面内座屈、横面外座屈、さらには、圧縮力の変化の状態によって異なります。

2.設問の通りです。
圧縮材の中間に支点を設けて座屈長さを短くする場合には、その支点が移動しないように設ける横補剛材には圧縮力の2%以上の集中横力が作用するものとして設計することが要求されています。

3.誤りです。
SN400BからSN490Bへと鋼材の強度を大きくしてもヤング係数は変わらないので、同じ断面であれば、弾性係数は変わりません。

4.設問の通りです。
降伏比とは、降伏した後に破断に至るまでの余裕を表します。降伏比の小さい鋼材は、降伏してから引張り強さに達するまでの靭性化領域が大きいので、それを用いた骨組の靭性は高くなります。

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