一級建築士の過去問
平成27年(2015年)
学科4(構造) 問88
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問題
一級建築士試験 平成27年(2015年) 学科4(構造) 問88 (訂正依頼・報告はこちら)
鉄骨構造の高力ボルト接合に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 高力ボルト摩擦接合は、部材間の摩擦力で応力を伝達する機構であり、ボルト軸部と部材との間の支圧による応力の伝達を期待するものではない。
- 高力ボルト摩擦接合部においては、一般に、すべり耐力以下の繰返し応力であれば、ボルト張力の低下や摩擦面の状態の変化を考慮する必要はない。
- 高力ボルト摩擦接合部にせん断力と引張力が同時に作用する場合、作用する応力の方向が異なるため、高力ボルト摩擦接合部の許容せん断耐力を低減する必要はない。
- 一つの継手の中に高力ボルト摩擦接合と溶接接合とを併用する場合、先に溶接を行うと溶接熱によって板が曲がり、高力ボルトを締め付けても接合面が密着しないことがあるため、両方の耐力を加算することはできない。
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この過去問の解説 (3件)
01
高力ボルト摩擦接合は、高力ボルトで母材と接合する部材を締付け、その間の摩擦力によって応力を伝達する接合法です。
2.設問の通り。
一般に、高力ボルト摩擦接合部ではすべり耐力以下の繰返し応力であれば、ボルト張力の低下や摩擦面の状態の変化を考慮する必要はない。
3.誤り
せん断力と引張力が同時に作用する場合、外力により鋼材を抑える力が低下して摩擦力が落ちます。
この状態になると高力ボルトは「外力(この場合せん断力と引張力)」に対抗していることになります。よって、接合部の破断耐力の検討には「高力ボルトのせん断力」と「母材の支圧力」により応力が伝達されます。
これは、高力ボルトがせん断力と引張力を同時に受ける場合、許容せん断応力度を軽減する、といえます。(許容せん断力(応力度の限界)を軽減する、ということは「外力に耐えられる力」を軽減する、という意味です。)
4.設問の通り。
一つの継手の中に高力ボルト摩擦接合と溶接接合とを併用する場合、先に溶接を行うと溶接熱によって板が曲がり、高力ボルトを締め付けても板に直接圧縮力を与えることができないころがあるので、両方の耐力を加算することはできない。
先に高力ボルトを締めつけた場合には、溶接による板の変形が拘束するため両方の許容耐力を加算できます。
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02
高力ボルト摩擦接合部は、高力ボルトの締め付け力により生じる母材間の摩擦力によって応力が伝達されるものとして設計します。
2.設問の通りです。
高力ボルト摩擦接合では、すべり耐力以下の繰返し応力が作用してもボルト軸力の低下や摩擦面の変化は起こらないため、高力ボルトの許容せん断応力度に対する繰返し応力の影響は考えなくてよいです。
3.誤りです。
高力ボルトで締め付けられている接合部がボルト軸方向に引張られると、接合面の圧縮力が減少するため、摩擦力も減少し、すべり耐力が減少します。よって、許容せん断応力度を引張り力の大きさに応じて低減します。
4.設問の通りです。
一か所の継手の中で高力ボルト摩擦接合と溶接とを併用する場合に、高力ボルトを先に施工する時は、両者に応力を分担させて許容耐力を加算することができます。しかし溶接より後に施工する高力ボルト接合については、溶接によるひずみの影響により、応力を分担させることはできず溶接のみの許容耐力とします。
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03
高力ボルト摩擦接合は、接合部間の摩擦力によって力を伝達する方法です。
2 〇
高力ボルト摩擦接合では、すべり耐力以下の繰返し応力が作用してもボルト軸力の低下や摩擦面の変化は起こらないです。
3 ×
せん断力と引張力を同時に受ける場合、引張力の大きさに応じて、許容せん断応力度は低減することができます。
4 〇
溶接が先では、熱で板が曲がり、高力ボルトの密着ができないため、加算はできないです。高力ボルトが先であれば、加算することができます。
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