一級建築士の過去問
令和元年(2019年)
学科2(環境・設備) 問24

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問題

一級建築士試験 令和元年(2019年) 学科2(環境・設備) 問24 (訂正依頼・報告はこちら)

建築物の伝熱に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 外壁において、熱橋部分の室内側表面温度は、一般に、熱橋部分以外の部分の室内側表面温度に比べて、外気温度に近くなる。
  • 複層ガラスの中空層が完全な真空であると仮定すると、複層ガラスの熱貫流率は、0(ゼロ)となる。
  • 壁体内の密閉された中空層の熱抵抗は、中空層の厚さが100mmを超えるとほとんど変化しない。
  • 外壁面の外気側における総合熱伝達率は、外壁面が外気温度に等しい黒体で覆われていると仮定し、日射や夜間放射の影響がないものとみなした値である。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は2です。

1.設問の通りです。
熱橋(ヒートブリッジ)は断熱の良い壁の一部に鉄骨などがあると、熱が通りやすくなる部分のことです。

2.設問の記述は誤りです。
複層ガラス内の中間層の熱の伝わり方は、主に対流と放射です。中空層が真空状態であれば対流による伝熱は0と考えられますが、放射による熱の移動に空気は必要なく、真空中でも熱は伝わるので、熱貫流率は0ではありません。

3.設問の通りです。
壁体内の密閉した空気層の熱抵抗は厚さ20㎜~40㎜程度までは増加しますが、それ以上厚さを増しても、空気の対流により、伝熱が促進されるので、熱抵抗はほとんど変化しません。

4.設問の通りです。
総合熱伝達率は、対流熱伝達率と放射熱伝達率を合計したものです。

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02

正解は2です。

1:設問通りです。
熱橋は、ヒートブリッジとも呼ばれ壁体において内部の躯体などによって熱が通りやすくなる部分のことを指します。これにより、鉄橋部分室内側表面では周りに比べて外気温に近い温度になります。

2:熱貫流率Kは以下の式で求められます。
K=1/(ri+rk+ro)
ri:室内側熱伝導抵抗[m²・K/W]
rk:壁の熱伝導抵抗[m²・K/W]
ro:室外側熱伝導抵抗[m²・K/W]
したがって、仮にrkが0になっても熱貫流率が0になるわけではないので、誤りです。また設問のような真空ガラスは、通常の複層ガラスに比べ約2倍の熱抵抗があります。

3:設問通りです。
密閉ではない一般壁の場合は、中空層の厚みが20~40mmまでは断熱効果が増加しますが、それ以上大きくしても効果は得られず少しずつ減少していきます。

4:設問通りです。
また、総合熱伝達率とは、対流熱伝達率と放射熱伝達率の合計のことを言います。

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03

この問題は、建築物の伝熱に関する問題です。

熱が移動していく過程をイメージして考えることがポイントです。

選択肢1. 外壁において、熱橋部分の室内側表面温度は、一般に、熱橋部分以外の部分の室内側表面温度に比べて、外気温度に近くなる。

正しいです。

鉄骨部分、鋼製部分などの熱の伝わりやすい部分のことを熱橋(ヒートブリッジ)といいます。

熱橋部分の室内側表面温度は、熱橋部分以外の部分の室内側表面温度に比べて、外気温度に近くなります。

選択肢2. 複層ガラスの中空層が完全な真空であると仮定すると、複層ガラスの熱貫流率は、0(ゼロ)となる。

誤りです。

複層ガラスの中空層が完全な真空であったとしても、放射による熱の移動に空気は関係ないため、熱は伝わります。

よって、複層ガラスの熱貫流率は0にはなりません。

選択肢3. 壁体内の密閉された中空層の熱抵抗は、中空層の厚さが100mmを超えるとほとんど変化しない。

正しいです。

壁体内の密閉空気層は、その厚さが10mm~15mm程度までは厚さによって熱抵抗が増加します。

また、密閉空気層の厚さが20mm~40mmを超えると、厚さによって熱抵抗はほとんど変わりません。

選択肢4. 外壁面の外気側における総合熱伝達率は、外壁面が外気温度に等しい黒体で覆われていると仮定し、日射や夜間放射の影響がないものとみなした値である。

正しいです。

外気側の外壁面の放射熱伝達率は、外気温度に等しい黒体で覆われていると仮定し、日射や夜間放射の影響がないものとみなした値です。

また、総合熱伝達率の値は、対流熱伝達率と放射熱伝達率を合計した値であるため、放射熱伝達率の値と同じことがいえます。

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