一級建築士の過去問
令和元年(2019年)
学科4(構造) 問98
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問題
一級建築士試験 令和元年(2019年) 学科4(構造) 問98 (訂正依頼・報告はこちら)
コンクリートの一般的な性質に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- コンクリートの圧縮強度は、水セメント比が小さいほど高い。
- コンクリートの中性化速度は、水セメント比が小さいほど速い。
- コンクリートのヤング係数は、コンクリートの圧縮強度が高いほど大きい。
- 水和熱によるコンクリートのひび割れは、単位セメント量が少ないコンクリートほど発生しにくい。
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この過去問の解説 (3件)
01
水セメント比とは、水とセメントの比率を百分率で表したものです。
計算方法は、単位水量(kg/m³)/単位セメント量(kg/m³)で、単位水量は建築で185kg/m³以下、単位セメント量は290kg/m³以上と規定されています。
水セメント比は、コンクリートの品質に大きく影響し、小さい方が望ましいです。大きすぎると、強度や耐久性の不足につながってしまいます。
また、水セメント比はセメントの種類によって規定されています。
コンクリートの圧縮強度が高いということは、それだけ緻密であると言えます。よって、設問は正しいです。
2. 誤りです。
水セメント比が小さいと、コンクリートの圧縮強度は高く、セメントペーストと組織が緻密であると言えます。そのため、空気中の炭酸ガスの影響を受けにくくなり、中性化速度は遅くなります。
3. 正しく、記述の通りです。
ヤング係数とは、材料の硬さを表す指標の一つです。
コンクリートの圧縮強度が高いということは、それだけ緻密であり、硬いと言えます。よって、設問は正しいです。
逆に、ヤング係数が小さいとき、コンクリートは柔らかいと言えます。
4. 正しく、記述の通りです。
水和熱とは、水とセメントが化学反応(水和反応)して水和物を作り、硬化する際に発生する熱のことです。
水和熱は、単位セメント量が少なくなるほど小さくなります。大きいと、ひび割れが発生しやすくなるため、小さいことが求められます。
単位セメント量を少なくすると、水和熱と乾燥収縮によるひび割れを防止できます。ただし、単位セメント量が少なすぎると、強度や耐久性が劣ってしまうので、最小値(270kg/m³)が設けられています。
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02
1:設問通りです
水セメント比は単位水量Wの単位セメント量Cに対する比W/Cのことをいいます。
コンクリートの圧縮強度は水セメント比に反比例します。
2:誤りです
中性化とはもともとアルカリ性であったコンクリートが空気中の酸性の炭酸ガスによって中和されることをいいます。
この中性化が起きる速度を表す中性加速度は水セメント比W/Cが小さいほど遅くなります。
3:設問通りです
ヤング係数とは材料強度を表す指標の1つであり、したがってコンクリートの場合は圧縮強度が大きくなるにつれてヤング係数も大きくなります。
4:設問通りです
コンクリートのひび割れはコンクリート中の水分が蒸発することによる乾燥収縮によって発生します。
また収縮率は骨材部分よりセメント部分の方が大きいいので単位セメント量が少なくなるほど乾燥収縮が起きにくくなります。
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03
2.誤。コンクリートの中性化速度は圧縮強度が大きくなると遅くなります。水セメント比が小さいほど圧縮強度は大きくなるため、中性化速度も遅くなります。
3.正。正しい記述です。
4.正。コンクリートの乾燥収縮は骨材部分の収縮率よりも、硬化したセメント部分の収縮率の方が大きく、単位セメント量が少ないほど乾燥収縮が小さくひび割れが起きにくいコンクリートとなります。
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