一級建築士の過去問
令和元年(2019年)
学科4(構造) 問100

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問題

一級建築士試験 令和元年(2019年) 学科4(構造) 問100 (訂正依頼・報告はこちら)

建築物の構造計画及び構造設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 建築物の機能性、安全性、耐久性等の設計グレードを高く設定して、高品質を求めるのは必ずしもよい設計とはいえない。
  • 建築物に作用する荷重及び外力には性質が異なるいろいろな種類があり、取扱いが難しいので、法規及び基規準は、荷重及び外力の数値を扱いやすいように便宜的に提示している。
  • 建築物の高さ方向の剛性や耐力の分布が不連続になる場合には、剛性率に基づき安易に保有水平耐力を割り増すのではなく、地震時の振動性状や崩壊過程を十分に考慮して計画を進める必要がある。
  • 構造物のモデル化において、実構造物により近い複雑な解析モデルを採用することは、計算精度が向上するので、解析結果の検証を省略できるという利点がある。

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この過去問の解説 (3件)

01

1. 正しく、記述の通りです。

建築物を安全で安心なものとして、機能性にも優れ、耐久性を高めて、地球環境にも配慮したものとして設計グレードを高く設定することだけでは建築設計においては不十分です。
これらにふまえ、建設コストといった経済性にも配慮した設計というものが求められます。

2. 正しく、記述の通りです。

荷重や外力といったものは、自然条件や用途によって様々な種類があるため、法規及び基規準は、設計のための数値を提示することで、構造的な最低限の性能を確保できるようにしています。

3. 正しく、記述の通りです。

剛性率とは、高さ方向の変形のしにくさを確認するものです。建築物の水平力に対する計画を検討する上で、平面においては偏心率(0.15以下)、立面においては剛性率(0.6以上)が規定数値を満たしていない場合は、保有水平耐力の割り増しを行って検討しますが、建築物の高さ方向の剛性や耐力の分布が不連続な場合は、設問にあるように安易な耐力の割り増しをするのではなく、地震時の建物の形状においての振動性状や崩壊過程を考慮する必要があります。

4. 誤りです。

構造計画にあたっては、計画する建築物の構造物のモデル化をして構造計算を行いますが、まずは単純な形に置き換えること(構造物のモデル化)で、構造計算を行います。
そして、その結果に基づいて、実際に近い形で検証を行うという手順が一般的です。
実構造物に近い複雑な解析モデルをはじめに採用すると、時間もかかり、計算方法も複雑になって解析結果の検証が省略できないどころか、より必要となります。

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02

1.正。建築設計はコストを考慮し最適な設計を行うことが求められるため、必ずしも高品質であれば良いというわけではありません。

2.正。正しい記述です。

3.正。正しい記述です。

4.誤。実際の建築物の挙動を完全に把握できるモデルの作成は困難であり、モデル化による解析上の相違点やバラつきを考慮して構造設計に落とし込むことが重要となります。複雑なモデルを採用すればするほど、より検証が重要となり省略することはできなくなります。

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03

正解は4です。

1:設問通りです
性能が高いに越したことはありませんが実務的にはコスト面を考慮することも必要です。

2:設問通りです
法規及び基規準に記載してある数値はあくまで目安値であり設計条件や荷重条件に応じて設計者の判断でより安全側に割り増すこともあります。

3:設問通りです
必要保有水平耐力の計算を例にとっても剛性率のほかに偏心率や地震層せん断力、構造特性係数が計算に用いられるので計算の際には諸条件をすべて考慮する必要があります。

4:誤りです
実構造物により近い複雑な解析モデルにすると計算がより複雑化する上に精度が落ち、解析結果の検証に時間を要することとなります。

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