一級建築士の過去問
令和2年(2020年)
学科2(環境・設備) 問39

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問題

一級建築士試験 令和2年(2020年) 学科2(環境・設備) 問39 (訂正依頼・報告はこちら)

建築設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 一般的な事務所ビルの執務空間における天井放射冷房は、潜熱処理を主な目的として用いられる。
  • 一部のコージェネレーションシステムでは、常用発電設備と消防法や建築基準法で定める非常用発電設備との兼用が可能な機種があり、スペースの有効利用やメンテナンスコストの削減等に効果がある。
  • 常用エレベーターは、利用者の人命確保と閉込めの回避を最優先するために、一般に、災害時における利用は想定されていない。
  • 非常用エレベーターを複数台設置する必要がある場合は、避難上及び消火上、有効な間隔を保って配置する。

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この過去問の解説 (3件)

01

建築設備に関する問題です。

選択肢1. 一般的な事務所ビルの執務空間における天井放射冷房は、潜熱処理を主な目的として用いられる。

放射冷暖房は床や天井に冷温水を流し、床面や天井面を冷却・加熱し、人体との間で放射熱伝達を利用して空調を行う設備です。一般的な空調方式では、夏期に空調機内で空気を結露させて潜熱処理を行うのに対し、放射冷房では冷水の温度を高く設定し結露が起きないため、顕熱のみ処理します。放射冷暖房設備を採用する場合は別途潜熱処理を行う機器を採用することが一般的です。

選択肢2. 一部のコージェネレーションシステムでは、常用発電設備と消防法や建築基準法で定める非常用発電設備との兼用が可能な機種があり、スペースの有効利用やメンテナンスコストの削減等に効果がある。

設問の通りです。

一定の適用条件を満たしたコージェネレーションシステムは、非常用発電設備との兼用も可能であり、スペースの有効活用やメンテナンスコスト削減を図ることができます。

選択肢3. 常用エレベーターは、利用者の人命確保と閉込めの回避を最優先するために、一般に、災害時における利用は想定されていない。

設問の通りです。

常用・非常用を問わず、基本的にエレベーターは災害時の避難手段としての利用を想定していません。

選択肢4. 非常用エレベーターを複数台設置する必要がある場合は、避難上及び消火上、有効な間隔を保って配置する。

設問の通りです。

建築基準法施行令(第129条の13の3第2項)により、「2以上の非常用エレベーターを設置する場合には、避難上及び消火上有効な間隔を保って配置しなければならない」と規定されています。

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02

以下に解説します。

選択肢1. 一般的な事務所ビルの執務空間における天井放射冷房は、潜熱処理を主な目的として用いられる。

不適当です
放射冷暖房とは室内の天井、壁、床に冷却・加熱パネルを設けることで放射冷暖房を行う方式です。顕熱の処理を行うことはできますが潜熱の処理を行うことはできません。

選択肢2. 一部のコージェネレーションシステムでは、常用発電設備と消防法や建築基準法で定める非常用発電設備との兼用が可能な機種があり、スペースの有効利用やメンテナンスコストの削減等に効果がある。

設問通りです
コージェネレーションシステムとは1つのエネルギー源から電力と熱の2つを同時に取り出すことでエネルギーの有効活用を図るものです。排熱等の再利用を行うことで設備スペースの有効利用やメンテナンスコストの削減等が期待できます。

選択肢3. 常用エレベーターは、利用者の人命確保と閉込めの回避を最優先するために、一般に、災害時における利用は想定されていない。

設問通りです
エレベーターは、災害時における避難などの利用は想定されておらず、特に非常用エレベーターは消防隊が消火、救助のために使用します。

選択肢4. 非常用エレベーターを複数台設置する必要がある場合は、避難上及び消火上、有効な間隔を保って配置する。

設問通りです
2以上の非常用エレベーターを設置する場合には、避難上及び消火上有効な間隔を保って配置する必要があります。

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03

1.×
天井放射冷房は顕熱処理を主な目的として用い、潜熱処理は、別空調機から低温度の調和空気を送風して行います。

2.〇
電力が停電した場合、ガスエンジンと有効利用を図ったコージェネレーションによって、非常時の防災電力をまかなうシステム等があります。

3.〇
一般乗用エレベーターは不特定多数の人が利用することを想定して、安全基準は最も厳しくされています。

4.設問通りです。法第34条2項・令第129条の13の3に記載されています。

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