一級建築士の過去問
令和5年(2023年)
学科4(構造) 問9

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問題

一級建築士試験 令和5年(2023年) 学科4(構造) 問9 (訂正依頼・報告はこちら)

木造軸組工法による地上2階建ての既存建築物の耐震性を向上させる方法として、一般に、最も効果の低いものは、次のうちどれか。
  • 既存の布基礎が無筋コンクリート造であったので、布基礎の外部側面に接着系のあと施工アンカーによる差し筋を行い、新たに鉄筋コンクリート造の基礎を増し打ちした。
  • 鉄筋コンクリート造のべた基礎を有する1階の床組において、床下地材に挽(ひき)板が用いられていたので、これを構造用合板に張り替えた。
  • 1階と2階の耐力壁線の位置がずれていたので、2階の床組の床下地材として新たに構造用合板を梁及び桁に直張りした。
  • 大きな吹抜けが設けられていたので、その部分を、構造用合板を張り付けたキャットウォークや火打梁を用いて補強した。

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この過去問の解説 (2件)

01

既存建築物の耐震改修方法についての問題です。

文字だけで暗記するのではなく、実例を調べて、

写真などで確認することで理解が深まります。

選択肢1. 既存の布基礎が無筋コンクリート造であったので、布基礎の外部側面に接着系のあと施工アンカーによる差し筋を行い、新たに鉄筋コンクリート造の基礎を増し打ちした。

正。

抱き合わせ基礎と呼ばれる耐震改修方法です。

選択肢2. 鉄筋コンクリート造のべた基礎を有する1階の床組において、床下地材に挽(ひき)板が用いられていたので、これを構造用合板に張り替えた。

誤。

地震力は、2階床組や小屋組等の水平構面から柱や耐力壁等の垂直構面に伝わり、

土台、基礎、地盤へと伝わります。

地震力の伝達には1階床組は関係していないため、

1階の床下地材を構造用合板に変更して補強しても、

耐震性の向上にはほとんど効果がありません。

選択肢3. 1階と2階の耐力壁線の位置がずれていたので、2階の床組の床下地材として新たに構造用合板を梁及び桁に直張りした。

正。

耐力壁の位置が1階と2階でずれている場合、

2階の床を補強することで2階に発生した地震の力を

1階の耐震壁に伝達することができるようになります。

選択肢4. 大きな吹抜けが設けられていたので、その部分を、構造用合板を張り付けたキャットウォークや火打梁を用いて補強した。

正。

吹抜けは水平剛性がないため構造的な弱点になってしまいます。

火打梁によって水平構面の剛性、耐力を増強したり、

構造用合板でキャットウォークを設け、面内剛性を確保することは

耐震性能の向上に効果的です。

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02

この問題は木造軸組工法による地上2階建ての既存建築物の耐震性を向上させる方法に関する問題です。地震力がどのように部材を伝わっていくかをイメージしながら学習しましょう。

選択肢1. 既存の布基礎が無筋コンクリート造であったので、布基礎の外部側面に接着系のあと施工アンカーによる差し筋を行い、新たに鉄筋コンクリート造の基礎を増し打ちした。

正しいです。

基礎の外部側面に接着系のあと施工アンカーによる差筋を行い、鉄筋コンクリート基礎を抱き合わせることで耐震性を向上させることができます。

選択肢2. 鉄筋コンクリート造のべた基礎を有する1階の床組において、床下地材に挽(ひき)板が用いられていたので、これを構造用合板に張り替えた。

誤りです。

建築物に作用する地震力は2階床組等の水平部材、1階の柱や耐力壁等の垂直部材、土台、基礎の順に力が伝達するため、1階床組の補強は耐震性向上に効果がありません。

選択肢3. 1階と2階の耐力壁線の位置がずれていたので、2階の床組の床下地材として新たに構造用合板を梁及び桁に直張りした。

正しいです。

1階と2階の耐力壁が偏在している場合、建築物に作用する地震力は2階の床を介して伝達されるため、2階床組の補強は耐震性向上に効果があります。

選択肢4. 大きな吹抜けが設けられていたので、その部分を、構造用合板を張り付けたキャットウォークや火打梁を用いて補強した。

正しいです。

吹抜けは建築物に作用する地震力を伝達することができなくなるため、構造用合板や火打ち材等により吹抜けを補強することは耐震性向上に効果があります。

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