一級建築士の過去問
令和5年(2023年)
学科4(構造) 問16

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問題

一級建築士試験 令和5年(2023年) 学科4(構造) 問16 (訂正依頼・報告はこちら)

鉄骨構造の接合部に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 部分溶込み溶接は、片面溶接でルート部に曲げ又は荷重の偏心によって生じる付加曲げによる引張応力が作用する場合には、用いることができない。
  • 突合せ溶接部において、母材の種類に応じた適切な溶接材料を用いる場合、溶接部の許容応力度は母材と同じ値を採用することができる。
  • 高力ボルト摩擦接合と溶接接合とを併用する接合部の許容耐力の算定において、高力ボルトの締付けを溶接より先に行う場合には、それぞれの許容耐力を加算することができる。
  • 高力ボルトM22を用いた摩擦接合は、支圧ではなく接合される部材間の摩擦力で応力を伝達する機構であるので、施工性を考慮し、一般に、ボルト孔の径を25mmとすることができる。

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この過去問の解説 (2件)

01

各接合部の特徴を自分で表にまとめるなどして整理して確実に覚えましょう。

選択肢1. 部分溶込み溶接は、片面溶接でルート部に曲げ又は荷重の偏心によって生じる付加曲げによる引張応力が作用する場合には、用いることができない。

正。

部分溶込み溶接は完全溶込み溶接に比べて性能が劣るため、

溶接線と直角方向に引張力が作用する場合、

または溶接線を軸とする曲げが作用する場合には用いることができません。

選択肢2. 突合せ溶接部において、母材の種類に応じた適切な溶接材料を用いる場合、溶接部の許容応力度は母材と同じ値を採用することができる。

正。

記載の通りです。

選択肢3. 高力ボルト摩擦接合と溶接接合とを併用する接合部の許容耐力の算定において、高力ボルトの締付けを溶接より先に行う場合には、それぞれの許容耐力を加算することができる。

正。

逆に、締付けより先に溶接を行った場合は加算できませんので注意してください。

選択肢4. 高力ボルトM22を用いた摩擦接合は、支圧ではなく接合される部材間の摩擦力で応力を伝達する機構であるので、施工性を考慮し、一般に、ボルト孔の径を25mmとすることができる。

誤。

高力ボルトの孔径は施行令第68条第2項より、

高力ボルトの径より2mmを超えて大きくすることはできません。

ただし、高力ボルトの径が27㎜以上であり、かつ、

構造耐力上支障がない場合においては、

高力ボルト孔の径を高力ボルトの径より3㎜まで大きくすることができます。

M22の場合は27㎜未満なので孔径は24㎜までになります。

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02

この問題は鉄骨造の接合部に関する問題です。代表的な接合方法は高力ボルト接合と溶接接合です。それぞれの特徴をしっかり理解しましょう。

選択肢1. 部分溶込み溶接は、片面溶接でルート部に曲げ又は荷重の偏心によって生じる付加曲げによる引張応力が作用する場合には、用いることができない。

正しいです。

部分溶込溶接とは継目の全断面に完全な溶込みをもたない溶接のことです。片面溶接でルート部(付け根)に曲げ又は荷重の偏心によって生じる付加曲げによる引張応力が作用する場合には使用できません。

選択肢2. 突合せ溶接部において、母材の種類に応じた適切な溶接材料を用いる場合、溶接部の許容応力度は母材と同じ値を採用することができる。

正しいです。

突合せ溶接部(完全溶込溶接部)の許容応力度は母材の種類に応じた溶接材料を用いる場合、母材の許容応力度と同じ値とすることができます。

選択肢3. 高力ボルト摩擦接合と溶接接合とを併用する接合部の許容耐力の算定において、高力ボルトの締付けを溶接より先に行う場合には、それぞれの許容耐力を加算することができる。

正しいです。

高力ボルトと溶接を併用した継手の許容耐力は先に高力ボルトの締付を行う場合、高力ボルトと溶接それぞれの許容耐力を加算した値とすることができます。

選択肢4. 高力ボルトM22を用いた摩擦接合は、支圧ではなく接合される部材間の摩擦力で応力を伝達する機構であるので、施工性を考慮し、一般に、ボルト孔の径を25mmとすることができる。

誤りです。

高力ボルトの孔径は公称軸径27mm(M27)未満では+2mm以下、公称軸径27mm (M27)以上では+3mm以下とし過大な孔径としないようにする必要があります。

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