一級建築士の過去問
令和5年(2023年)
学科4(構造) 問17

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この過去問の解説 (2件)

01

鉄骨構造の鋼材の設計に関する問題です。

選択肢1. 鋼材断面の幅厚比の規定は、局部座屈防止のために設けられたものであり、鋼材の降伏点に影響される。

正。

材料に力を加えていくと、初めは力の大きさに比例して変形します(弾性状態)。

しかし、ある力を境に大きく変形するようになります(塑性状態)。

この2つの状態の境目となる力の大きさを「降伏点」と呼んでいます。

「幅厚比」とは、部材断面を構成する平板要素の板幅と板厚の比のことです。

柱や梁に使われている部材が降伏点に達するまでに

局部座屈を起こさないように定められています。

選択肢2. 角形鋼管を用いた柱は、横座屈を生じる おそれ がないので、材長にかかわらず、許容曲げ応力度を許容引張応力度と同じ値とすることができる。

正。

角形鋼管のような閉鎖型の断面の場合、

強軸と弱軸がないので横座屈は生じにくくなります。

よって、材長にかかわらず、許容曲げ応力度を許容引張応力度と同じ値とすることができます。

 

選択肢3. H形鋼(炭素鋼)の幅厚比の上限値は、骨組の塑性変形能力を確保するために定められたものであり、フランジに比べてウェブのほうが大きい。

正。

フランジは外側の板、ウェブは中央の板を指します。

フランジは強い圧縮力がかかる部材なので幅厚比はウェブより小さく、

ウェブは主にせん断力を負担しそこまで圧縮力はかからないので、

幅厚比はフランジより大きく設定されています。

選択肢4. 大スパンの梁部材に降伏点の高い鋼材を用いることは、鉛直荷重による梁の弾性たわみを小さくする効果がある。

誤。

降伏点が高い=強度が大きい鋼材を用いるということですが、

鋼材は強度を大きくしてもヤング係数は変わらないので、

たわみは小さくなりません。

 

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02

この問題は鉄骨造の設計に関する問題です。鉄骨造は局部座屈を考慮した設計としなければなりません。局部座屈の特徴や考慮の仕方をしっかり理解しましょう。

選択肢1. 鋼材断面の幅厚比の規定は、局部座屈防止のために設けられたものであり、鋼材の降伏点に影響される。

正しいです。

幅厚比とは部材断面を構成する板幅と板厚の比のことで、部材が降伏点に達するまでに局部座屈を起こさないように定められたものです。

選択肢2. 角形鋼管を用いた柱は、横座屈を生じる おそれ がないので、材長にかかわらず、許容曲げ応力度を許容引張応力度と同じ値とすることができる。

正しいです。

角型鋼管柱は強軸と弱軸がなく横座屈を起こしにくいため、横座屈による許容曲げ応力度の低減を行いません。よって許容曲げ応力度と許容引張応力度は同じ値とすることができます。

選択肢3. H形鋼(炭素鋼)の幅厚比の上限値は、骨組の塑性変形能力を確保するために定められたものであり、フランジに比べてウェブのほうが大きい。

正しいです。

H型鋼のフランジはウェブに比べて大きい圧縮力が作用するため、フランジの幅厚比の制限値はウェブに比べて厳しいです。よってフランジの幅厚比の制限値はウェブよりも小さくなります。

選択肢4. 大スパンの梁部材に降伏点の高い鋼材を用いることは、鉛直荷重による梁の弾性たわみを小さくする効果がある。

誤りです。

降伏点の高い鋼材を使用したとしても、ヤング係数は一定であるため弾性たわみの値は変わりません。

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