一級建築士の過去問
令和5年(2023年)
学科4(構造) 問24

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問題

一級建築士試験 令和5年(2023年) 学科4(構造) 問24 (訂正依頼・報告はこちら)

耐震構造、制振構造及び免震構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 構造特性係数Dsは、建築物の振動に関する減衰性及び各階の靱性に応じて、建築物に求められる必要保有水平耐力を低減する係数である。
  • 制振構造に用いられる鋼材ダンパーは、ダンパーが弾性範囲に留まる地震動レベルにおいてもエネルギー吸収能力を発揮する。
  • 制振構造において、ダンパーの接合部及び周辺部材が変形する場合や、ダンパーの取りつく柱の軸変形により架構全体が曲げ変形する場合には、ダンパーの効率が低下する。
  • 免震構造に用いられる積層ゴムアイソレータは、座屈が生じない範囲では、ある変形までは水平変位に比例してせん断力が大きくなり、水平剛性はほぼ一定であるが、さらに変形が進むと徐々に水平剛性が大きくなり、最終的にゴム層の破断に至る。

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この過去問の解説 (2件)

01

耐震構造は、柱や梁など、建物の構造自体を強くして地震の揺れに耐えられるようにした構造です。

制震構造は、耐震構造に加え、建物にエネルギーを吸収するダンパーを設置して揺れを抑えます。

免震構造は、耐震構造に加え、建物と地盤の間に積層ゴム等の免震層を設けることで揺れを軽減させます。

選択肢1. 構造特性係数Dsは、建築物の振動に関する減衰性及び各階の靱性に応じて、建築物に求められる必要保有水平耐力を低減する係数である。

正。

構造特性係数Ds必要保有水平耐力の値を算出する際に使用する係数で、

靱性に富む構造ほど値は小さくなります。

選択肢2. 制振構造に用いられる鋼材ダンパーは、ダンパーが弾性範囲に留まる地震動レベルにおいてもエネルギー吸収能力を発揮する。

誤。

鋼材ダンパーは、鋼材が曲がる時の力を熱エネルギーに変えることで、

地震の揺れを軽減します。

よって、ダンパーが弾性範囲に留まる地震動レベルにおいては

エネルギー吸収能力を発揮できません。

選択肢3. 制振構造において、ダンパーの接合部及び周辺部材が変形する場合や、ダンパーの取りつく柱の軸変形により架構全体が曲げ変形する場合には、ダンパーの効率が低下する。

正。

設問の通りです。

選択肢4. 免震構造に用いられる積層ゴムアイソレータは、座屈が生じない範囲では、ある変形までは水平変位に比例してせん断力が大きくなり、水平剛性はほぼ一定であるが、さらに変形が進むと徐々に水平剛性が大きくなり、最終的にゴム層の破断に至る。

正。

積層ゴムは変形が進むと復元力がなくなり、最終的に破断します。

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02

この問題は耐震構造、制振構造、免振構造に関連する問題です。それぞれの構造の特徴をよく理解しましょう。

選択肢1. 構造特性係数Dsは、建築物の振動に関する減衰性及び各階の靱性に応じて、建築物に求められる必要保有水平耐力を低減する係数である。

正しいです。

構造特性係数Dsは建築物の地震力に関する保有水平耐力を計算する時に使われる低減率で構造部材の種別と建築物の粘り強さで決まります。

選択肢2. 制振構造に用いられる鋼材ダンパーは、ダンパーが弾性範囲に留まる地震動レベルにおいてもエネルギー吸収能力を発揮する。

誤りです。

制振構造の鋼材ダンパーは揺れによって鋼材が曲がる時、すなわち降伏する時のエネルギーを熱エネルギー変換し、地震の揺れを低減します。よって、弾性範囲内の地震においてはエネルギーの吸収能力を発揮しません。

選択肢3. 制振構造において、ダンパーの接合部及び周辺部材が変形する場合や、ダンパーの取りつく柱の軸変形により架構全体が曲げ変形する場合には、ダンパーの効率が低下する。

正しいです。

制振構造はダンパーが変形することにより地震の揺れを低減するため、接合部や架構全体が変形してしまうとダンパーの変形も小さくなり、ダンパーの効率が低下します。

選択肢4. 免震構造に用いられる積層ゴムアイソレータは、座屈が生じない範囲では、ある変形までは水平変位に比例してせん断力が大きくなり、水平剛性はほぼ一定であるが、さらに変形が進むと徐々に水平剛性が大きくなり、最終的にゴム層の破断に至る。

正しいです。

免振構造の積層ゴムアイソレーターとは地震時に水平方向に柔らかく変形することで地震力を低減させる製品です。変形が進むと積層ゴムの復元力が減り、最終的に破断します。

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