一級建築士の過去問
令和5年(2023年)
学科4(構造) 問26

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問題

一級建築士試験 令和5年(2023年) 学科4(構造) 問26 (訂正依頼・報告はこちら)

エキスパンションジョイント等によって構造的に分離した建築物の構造計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 地下部分も含めて別棟とするに当たって、許容応力度計算で用いる中地震時程度の荷重により生じる変形に対して、建築物の衝突による損傷が生じないことを確かめた。
  • 鉄筋コンクリート造で、地下部分も含めて別棟とするに当たって、保有水平耐力計算で用いる大地震時程度の荷重に対しては、簡便的に、それぞれのエキスパンションジョイントがある部分の高さをHとし、当該高さにおける間隔がH/50以上であることを確かめた。
  • 地下部分が一体で地上部分を別棟とするに当たって、一次設計については、地下部分を検討する際には、地上部分の「耐震計算ルート1」や「耐震計算ルート2」で必要となる割り増し規定を適用しなかった。
  • 地下部分(1階の床・梁を含む。)が一体で地上部分を別棟とするに当たって、1階床スラブを一体の剛床と仮定したので、1階床スラブでの局部的な地震力の伝わり方の検討は省略した。

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この過去問の解説 (2件)

01

エキスパンションジョイントとは、伸び縮みする継ぎ手のような部材のことで、

規模が大きかったり、複雑な形状をしていたり、

構造特性が違ったりする建物を一体化させるために使用します。

エキスパンションジョイントを取り付ける箇所には、

地震などの揺れで建物同士がぶつかったりしないようにクリアランスを設けます。

 

選択肢1. 地下部分も含めて別棟とするに当たって、許容応力度計算で用いる中地震時程度の荷重により生じる変形に対して、建築物の衝突による損傷が生じないことを確かめた。

正。

許容応力度計算で用いる中地震時程度の荷重により生じる変形に対しては、

衝突による損傷が生じない事が求められます。

保有水平耐力計算で用いる大地震時の荷重に対しては、

衝突による損傷を想定した検討は要求されません。

しかし、衝突時の外壁等の落下等、

人命にかかわる被害が起きる可能性を検討するなどの配慮は必要です。

選択肢2. 鉄筋コンクリート造で、地下部分も含めて別棟とするに当たって、保有水平耐力計算で用いる大地震時程度の荷重に対しては、簡便的に、それぞれのエキスパンションジョイントがある部分の高さをHとし、当該高さにおける間隔がH/50以上であることを確かめた。

正。

エキスパンションジョイントの必要離隔距離はH/100以上とするのが一般的ではありますが、

近年では大きな地震が増えていることもあり、

より安全側のH/50以上で設計するようになってきています。

選択肢3. 地下部分が一体で地上部分を別棟とするに当たって、一次設計については、地下部分を検討する際には、地上部分の「耐震計算ルート1」や「耐震計算ルート2」で必要となる割り増し規定を適用しなかった。

正。設問の通りです。

選択肢4. 地下部分(1階の床・梁を含む。)が一体で地上部分を別棟とするに当たって、1階床スラブを一体の剛床と仮定したので、1階床スラブでの局部的な地震力の伝わり方の検討は省略した。

誤。

地上部分がそれぞれ異なる方向の地震力を受けることを想定すると、

1階床スラブには局部的な地震力が伝わる可能性があるので、検討が必要です。
 

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02

この問題はエキスパンションジョイント等の構造計画に関する問題です。エキスパンションジョイントとは建築物の継ぎ手のようなもので、建築物を一体化する時に使用します。特徴をしっかり理解しましょう。

選択肢1. 地下部分も含めて別棟とするに当たって、許容応力度計算で用いる中地震時程度の荷重により生じる変形に対して、建築物の衝突による損傷が生じないことを確かめた。

正しいです。

建築物を別棟とする場合、中地震時度の荷重により生じる変形に対しては建築物の衝突による損傷を生じないよう確認する必要です。

選択肢2. 鉄筋コンクリート造で、地下部分も含めて別棟とするに当たって、保有水平耐力計算で用いる大地震時程度の荷重に対しては、簡便的に、それぞれのエキスパンションジョイントがある部分の高さをHとし、当該高さにおける間隔がH/50以上であることを確かめた。

正しいです。

エキスパンションジョイントの建築物同士のクリアランスは建物高さの1/100でよいですが、実際の設計ではあえてクリアランスを大きくとることが習慣化されており、建物高さの1/50程度とすることが多いです。

選択肢3. 地下部分が一体で地上部分を別棟とするに当たって、一次設計については、地下部分を検討する際には、地上部分の「耐震計算ルート1」や「耐震計算ルート2」で必要となる割り増し規定を適用しなかった。

正しいです。

検討の対象となっている地下部分の建物は一体となっているため、地上部分の計算で必要となる割り増し規定(鉄骨造のC0≧0.3等)は適用されません。

選択肢4. 地下部分(1階の床・梁を含む。)が一体で地上部分を別棟とするに当たって、1階床スラブを一体の剛床と仮定したので、1階床スラブでの局部的な地震力の伝わり方の検討は省略した。

誤りです。

地上部分の建築物はそれぞれ異なる方向の地震力を想定して検討します。この場合、地上部分の別棟となっている2棟に挟まれた1階床スラブは局部的な地震力が伝わることが予想されるため検討が必要です。

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