一級建築士の過去問
令和5年(2023年)
学科4(構造) 問29

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問題

一級建築士試験 令和5年(2023年) 学科4(構造) 問29 (訂正依頼・報告はこちら)

鋼材に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 建築構造用圧延鋼材(SN材)B種及びC種は、降伏比だけでなく降伏点のレンジ(上限値から下限値までの幅)が規定されており、これらの鋼材を用いることにより、設計するうえで想定した降伏メカニズムを実現する確度を高めることができる。
  • 建築構造用ステンレス鋼材SUS304Aは、降伏点が明確ではないので、0.1%オフセット耐力をもとに基準強度が定められている。
  • 同じ鋼塊から圧延された鋼材の降伏点は、一般に、「板厚の薄いもの」に比べて「板厚の厚いもの」のほうが高くなる。
  • 降伏点325N/mm2、引張強さ490N/mm2である鋼材の降伏比は、66%である。

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この過去問の解説 (2件)

01

鋼材や鋼管、鉄筋やボルトなど、種類ごとに整理してそれぞれの特性を覚えていきましょう。

選択肢1. 建築構造用圧延鋼材(SN材)B種及びC種は、降伏比だけでなく降伏点のレンジ(上限値から下限値までの幅)が規定されており、これらの鋼材を用いることにより、設計するうえで想定した降伏メカニズムを実現する確度を高めることができる。

正。

SN材とは、Steel New材の略称で、A,BおよびC種の3種類があります。

A種は降伏点の下限値だけが定められており、

B種とC種は降伏比が大きくならないように、

降伏点の下限値だけでなく、上限値も定められています。

降伏比が小さいほど塑性変形能力が高くなるので、

より安全な建築物をつくることができます。

選択肢2. 建築構造用ステンレス鋼材SUS304Aは、降伏点が明確ではないので、0.1%オフセット耐力をもとに基準強度が定められている。

正。

降伏点が明確に表れない高張力鋼などは、

ひずみが0.2%時点での応力度(0.2%オフセット耐力)を基に基準強度を定めています。

ステンレス鋼も降伏点が明確に表れない材料の一つですが、

0.2%オフセット耐力では弾性係数が大きく低下するので、

0.1%オフセット耐力を基に基準強度を定めています。

選択肢3. 同じ鋼塊から圧延された鋼材の降伏点は、一般に、「板厚の薄いもの」に比べて「板厚の厚いもの」のほうが高くなる。

誤。 

板厚が40mmを超えると製造過程で冷却にむらができやすくなり、

降伏点が低くなります。

選択肢4. 降伏点325N/mm2、引張強さ490N/mm2である鋼材の降伏比は、66%である。

正。

降伏比は降伏強度÷引張強度×100で求められます。

325÷490×100=66.32...よって66%となります。

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02

この問題は鋼材の材料に関する問題です。SS材、SM材、SN材の違いと特徴をしっかり理解しましょう。

選択肢1. 建築構造用圧延鋼材(SN材)B種及びC種は、降伏比だけでなく降伏点のレンジ(上限値から下限値までの幅)が規定されており、これらの鋼材を用いることにより、設計するうえで想定した降伏メカニズムを実現する確度を高めることができる。

正しいです。

SN材のA種は降伏点の下限値が規定されていますが、B種とC種は降伏点の上限値から下限値まで定められています。

選択肢2. 建築構造用ステンレス鋼材SUS304Aは、降伏点が明確ではないので、0.1%オフセット耐力をもとに基準強度が定められている。

正しいです。

0.1%オフセット耐力とは永久ひずみが0.1%となる時の応力度のことです。SUS304には明確な降伏点がないため、0.1%オフセット耐力をもとに基準強度を定めています。

選択肢3. 同じ鋼塊から圧延された鋼材の降伏点は、一般に、「板厚の薄いもの」に比べて「板厚の厚いもの」のほうが高くなる。

誤りです。

鋼材の降伏点は板厚40mmを超えると低下します。

選択肢4. 降伏点325N/mm2、引張強さ490N/mm2である鋼材の降伏比は、66%である。

正しいです。

降伏比とは降伏点と引張強さの比のことです。降伏点325N/㎟、引張強さ490N/㎟の場合、降伏比は(325N㎟/490N㎟ )×100 = 66[%]となります。

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