一級建築士 過去問
令和6年(2024年)
問68 (学科3(法規) 問28)

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問題

一級建築士試験 令和6年(2024年) 問68(学科3(法規) 問28) (訂正依頼・報告はこちら)

以下の条件に該当する建築物の新築に係る設計に際して、建築基準法その他の法令の規定の適用に関する設計者の判断として、次の記述のうち、誤っているものはどれか。

【条件】
・用途:物品販売業を営む店舗
・規模:地上4階建て(避難階は1階)、高さ15m、延べ面積2,000m2
・構造:木造(主要構造部に木材を用いたもの)
・所有者となる建築主:民間事業者
・設計者:「構造設計一級建築士」及び「設備設計一級建築士」いずれの資格も有していない一級建築士
  • 構造計算において、「応力度の計算等による構造耐力上主要な部分の安全性」、「層間変形角」、「屋根ふき材等における風圧に対する構造耐力上の安全性」、「各階の剛性率」、「各階の偏心率」及び「建築物の地上部分の地震に対する安全性」を確かめた。
  • 「通常火災終了時間が80分」及び「特定避難時間が70分」と算出されたため、柱及びはりを80分間の性能を有する準耐火構造とした。
  • 他の構造設計一級建築士に構造関係規定に適合するかどうかの確認を求めたが、他の設備設計一級建築士に設備関係規定に適合するかどうかの確認を求めなかった。
  • 建築主に対して、5年の間隔をおいて、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員に建築物の状況の調査をさせ、かつ、その結果を特定行政庁に報告する義務がある旨を伝えた。

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は建築基準法、建築士法に関する複合問題です。

選択肢1. 構造計算において、「応力度の計算等による構造耐力上主要な部分の安全性」、「層間変形角」、「屋根ふき材等における風圧に対する構造耐力上の安全性」、「各階の剛性率」、「各階の偏心率」及び「建築物の地上部分の地震に対する安全性」を確かめた。

正しいです。

法20条1項二号より、

高さ60m以下で木造の建築物(4階以上)は政令で定める技術的基準(令81条2項)に適合しなければなりません。

 

令81条2項二号より、

高さが31m以下の建築物は許容応力度計算またはこれと同等以上に安全性を確かめることができる構造計算をしなければなりません。

 

許容応力度計算(法82条各号、法82条の4)で確かめる項目は満たしているので正しいです。

選択肢2. 「通常火災終了時間が80分」及び「特定避難時間が70分」と算出されたため、柱及びはりを80分間の性能を有する準耐火構造とした。

正しいです。

法27条より、「物品販売業を営む店舗」は特定主要構造部に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準(令110条)に適合しなければなりません。

令110条より、特定主要構造部の性能において「柱とはりは特定避難時間」構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊を生じないものとしなければなりません。

 

法21条より、「階数が4以上である建築物」の特定主要構造部は通常火災終了時間が経過するまで倒壊及び延焼を防止できる性能に関して政令で定める技術的基準(令109条の5)に適合させなければなりません。

令109条の5より、「柱とはりは通常火災終了時間」構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものとしなければなりません。

選択肢3. 他の構造設計一級建築士に構造関係規定に適合するかどうかの確認を求めたが、他の設備設計一級建築士に設備関係規定に適合するかどうかの確認を求めなかった。

正しいです。

構造一級建築士、設備設計一級建築士の確認が必要な建築物かどうか確かめます。

 

士法20条の2より、

「建築基準法20条の規定に係る部分」に当てはまるので構造設計一級建築士の確認が必要です。

 

士法20条の3より、

「階数3以上で延床5000㎡」にはあてはまらないので設備設計一級建築士の確認は不要です。

選択肢4. 建築主に対して、5年の間隔をおいて、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員に建築物の状況の調査をさせ、かつ、その結果を特定行政庁に報告する義務がある旨を伝えた。

誤りです。

法12条より、

特定行政庁が指定する建築物の所有者は定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員に建築物の状況の調査をさせ、かつ、その結果を特定行政庁に報告する義務があります。

 

施行規則5条より、

報告の時期は、建築物の用途、構造、延べ面積等に応じて、おおむね6ヶ月から3年までの間隔をおいて特定行政庁が定める時期となっています。

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02

最近よく出題される複合問題です。

 

ひとつひとつしっかり読み解き覚えましょう。

選択肢1. 構造計算において、「応力度の計算等による構造耐力上主要な部分の安全性」、「層間変形角」、「屋根ふき材等における風圧に対する構造耐力上の安全性」、「各階の剛性率」、「各階の偏心率」及び「建築物の地上部分の地震に対する安全性」を確かめた。

正しいです。

 

階数や構造を確認し該当するものを法令集から導きだしましょう。

選択肢2. 「通常火災終了時間が80分」及び「特定避難時間が70分」と算出されたため、柱及びはりを80分間の性能を有する準耐火構造とした。

正しいです。

 

その通りです。

選択肢3. 他の構造設計一級建築士に構造関係規定に適合するかどうかの確認を求めたが、他の設備設計一級建築士に設備関係規定に適合するかどうかの確認を求めなかった。

正しいです。

 

設備設計一級建築士に設備関係規定に適合するか確認する必要があるのは、階数3以上で床面積5000m^2を超える建物なので、今回の建物は該当しないため問題ありません。

選択肢4. 建築主に対して、5年の間隔をおいて、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員に建築物の状況の調査をさせ、かつ、その結果を特定行政庁に報告する義務がある旨を伝えた。

誤りです。

 

報告の時期は6月から3年の間隔で特定行政庁が定める期間です。

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