第三種電気主任技術者の過去問
平成30年度(2018年)
機械 問44
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問題
第三種 電気主任技術者試験 平成30年度(2018年) 機械 問44 (訂正依頼・報告はこちら)
いろいろな直流機に関する記述として、誤っているものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
- 電機子と界磁巻線が並列に接続された分巻発電機は、回転を始めた電機子巻線と磁極の残留磁束によって、まず低い電圧で発電が開始される。その結果、界磁巻線に電流が流れ始め、磁極の磁束が強まれば、発電する電圧が上昇し、必要な励磁が確立する。
- 電機子と界磁巻線が直列に接続された直巻発電機は、出力電流が大きく界磁磁極が磁気飽和する場合よりも、出力電流が小さく界磁磁極が磁気飽和しない場合のほうが、出力電圧が安定する。
- 電源電圧一定の条件下で運転される分巻電動機は、負荷が変動した場合でも、ほぼ一定の回転速度を保つので、定速度電動機とよばれる。
- 直巻電動機は、始動時の大きな電機子電流が大きな界磁電流となる。直流電動機のトルクは界磁磁束と電機子電流から発生するので、大きな始動トルクが必要な用途に利用されてきた。
- ブラシと整流子の機械的接触による整流の働きを半導体スイッチで電子的に行うブラシレスDCモータでは、同期機と同様に電機子の作る回転磁界に同期して永久磁石の界磁が回転する。制御によって、外部から見た電圧ー電流特性を他励直流電動機とほぼ同様にすることができる。
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この過去問の解説 (2件)
01
正解は2です。
1 .電機子と界磁巻線が並列に接続された分巻発電機は、回転を始めた電機子巻線と磁極の残留磁束によって、まず低い電圧で発電が開始される。その結果、界磁巻線に電流が流れ始め、磁極の磁束が強まれば、発電する電圧が上昇し、必要な励磁が確立する。 →正しいです。
電機子が回転を始めると、まず磁極の残留磁束によって、電機子巻線に起電力が誘導される → 界磁巻線に電流が流れる → 電流による磁束と残留磁束の向きが同じならば、それらの和の磁束により電機子巻線に起電力が誘導され、界磁巻線に電流が流れます。それにより電機子巻線には起電力が誘導されます。磁束が強まれば、電圧はさらに上昇し励磁が確立されます。
2 .電機子と界磁巻線が直列に接続された直巻発電機は、出力電流が大きく界磁磁極が磁気飽和する場合よりも、出力電流が小さく界磁磁極が磁気飽和しない場合のほうが、出力電圧が安定する。 →誤りです。
負荷電流がそのまま励磁電流になります。
無負荷では、電流が全く流れないため、自己励磁による電圧の確立は起こりません。そして負荷を接続し電流を流すと、電圧降下の影響により、電流は一旦上昇した後に下降します。電流の増加によって磁気回路は飽和しますが、抵抗による電圧降下は電流に比例して増加するためです。発生電圧が飽和し、界磁電流が一定値に収束して、電圧が安定し確立されます。よって間違いです。
3 .電源電圧一定の条件下で運転される分巻電動機は、負荷が変動した場合でも、ほぼ一定の回転速度を保つので、定速度電動機とよばれる。→正しいです。
分巻電動機は、界磁巻線が電機子巻線と並列に電源に接続されています。
よって、界磁巻線に電源電圧がそのままかかり、界磁抵抗を一定にすれば、電機子電流の大きさに関わらず界磁電流が一定となり、1極当たりの磁束もほぼ一定となります。
また、界磁電流は、電機子電流に比べて非常に小さい値のため、電機子電流≒負荷電流となります。
そのため、電圧が一定であれば、負荷が増加し、負荷電流が増加しても、回転速度はほぼ一定となります。
4 .直巻電動機は、始動時の大きな電機子電流が大きな界磁電流となる。直流電動機のトルクは界磁磁束と電機子電流から発生するので、大きな始動トルクが必要な用途に利用されてきた。→正しいです。
直巻電動機は、直流電動機のトルクは負荷電流の2乗に比例し、回転速度は負荷電流に逆比例する直巻特性となります。
直巻電動機は、始動トルクが大きく、始動・停止が頻繁な負荷に適しています。
5 .ブラシと整流子の機械的接触による整流の働きを半導体スイッチで電子的に行うブラシレスDCモータでは、同期機と同様に電機子の作る回転磁界に同期して永久磁石の界磁が回転する。制御によって、外部から見た電圧ー電流特性を他励直流電動機とほぼ同様にすることができる。→正しいです。
ブラシレスDCモータは、永久磁石を回転子としていて、整流子とブラシがありません。回転子の磁極位置を検出し、電流を流すコイルを切り替えて回転子を回転させます。
ブラシレスDCモータは、トルクが常に最大になるように制御できます。よって他励直流電動機のように、回転速度を一定にすることが可能です。
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02
(1)正しいです。
直流発電機の誘導起電力E[V]は定数K、磁束φ[Wb]、回転速度N[min^-1]としますとE=KφNで表されますので、回転速度の上昇に伴って発電電圧が上昇し、界磁巻線に電流が流れ磁束が強くなっていきます。
(2)間違いです。
直流発電機の誘導起電力はE=KφN[V]で表され、磁気飽和することでφが一定となり、出力電圧が安定します。
(3)正しいです。
分巻電動機は界磁巻線が電機子に並列に接続されているので電源電圧一定であれば界磁電流は一定となります。したがって磁束も一定となるのでN=E/Kφ=一定より定速度で運転します。
(4)正しいです。
直巻電動機の電機子電流Ia[A]は電機子巻線抵抗をRa[Ω]、界磁巻線抵抗をRf[Ω]、電源電圧をV[V]、誘導起電力をE[V]としますと
Ia=(V-E)/(Ra+Rf)
で表され、始動時はE=0となりますので電機子電流が大きく、始動トルクが大きくなります。
(5)正しいです。
問題文の通りです。ブラシレスDCモータは回転子が永久磁石で固定子がコイルとなっています。コイルが回転しないのでブラシと整流子が必要ありませんが、コイルへの電流を切り替える必要があるなど、専用の駆動回路が必要となります。
よって答えは2番となります。
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