第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和3年度(2021年)
問16 (理論 問16)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

第三種電気主任技術者(電験三種)試験 令和3年度(2021年) 問16(理論 問16) (訂正依頼・報告はこちら)

図のように、線間電圧400Vの対称三相交流電源に抵抗R[Ω]と誘導性リアクタンスX[Ω]からなる平衡三相負荷が接続されている。平衡三相負荷の全消費電力は6kWであり、これに線電流 I = 10A が流れている。電源と負荷との間には、変流比 20 : 5 の変流器が a相 及び c相 に挿入され、これらの二次側が交流電流計[ A ]を通して並列に接続されている。

誘導性リアクタンス X の値[Ω]として、最も近いものを次の( 1 )〜( 5 )のうちから一つ選べ。
問題文の画像
  • 11.5
  • 20.0
  • 23.1
  • 34.6
  • 60.0

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

三相交流の有効電力の式より

P = √3 × V × I × cosφ [W]

(P:有効電力[W]、V:線間電圧[V]、I:線電流[A]、cosφ:力率)

6000 = √3 × 400 × 10 × cosφ

よって力率は

cosφ = √3/2 となります。

また三相平衡状態なので一相だけを取り出すと、

負荷のインピーダンス R + jX [Ω]( j:虚数単位)の回路に相電圧400/√3[V]の電源が接続された回路となります。

これに線電流10Aが流れるので、交流オームの法則 V = IZ より、

10 = 400/√3 ÷ √(r2 + X2)

√(r2+X2) = 40/√3

R = √(r2 + X2)cosφ

X = √(r2 + X2)sinφ

なので、sinφ = √(12 − cos2φ) = 1/2 から、

X = 40/√3 × (1/2)

 = 20/√3

 = 11.54

よって1が正解です。

参考になった数8

02

抵抗Rと誘導性リアクタンスXからなる平衡三相回路における誘導性リアクタンスを求める計算問題です。

この問題は、直流回路の電力、単相交流回路の皮相電力・有効電力・無効電力の公式を応用して解いていきます。

(それぞれ、オームの法則よりVにRIに相当するものを代入)

・直流回路における電力

  P = VI = RI2

・単相交流回路の各電力

 皮相電力:S = ZI2

 含まれる抵抗成分はインピーダンスZ

 有効電力:P = RI2

 含まれる抵抗成分は抵抗R

 無効電力:Q = XI2

 抵抗成分は誘導性リアクタンスX

選択肢1. 11.5

単相交流回路の各電力は三平方の定理を用いて

 S2 = P2+Q2

と表すことができます。

また、各電力を抵抗成分と電流を用いた式で表記した場合、

各電力はそれぞれの抵抗成分に依存するため

 Z2 = R2+X2

とも表すことができます。

この式を変形して、X =√(Z2+R2) とすることで誘導性リアクタンスを求められます。

分からない抵抗Rと誘導性リアクタンスZを求めていきます。

・抵抗Rを求める

抵抗Rは有効電力の公式から求めることができますが、

注意しなければならないのが平衡三相回路であるということです。

RI2では1相分の有効電力で、問題文中の全消費電力6[kW]と釣り合いを取るために3倍します。

 P = 3RI2

式を変形して、

 R = P/3I2

・インピーダンスZを求める

インピーダンスZはオームの法則から求めることができますが、

こちらも平衡三相回路であるという点に注意が必要となります。

平衡三相回路における1相あたりの電圧を相電圧といい、

線間電圧の1/√3倍となるので、

 Z = 相電圧/I

  = 400/√3/10

  = 400/10√3

  = 40/√3

となります。

次に、それぞれの値をX=√(Z2+R2)に代入します。

 X = √(Z2+R2)

  = √((40/√3)2+202)

  = √(1600/3ー400)

  = √(400/3)

  ≒ 11.5

と求められます。

まとめ

[計算のポイント]

ルートなど面倒そうな値は最後まで残して、一番最後に計算しましょう。

可能な限り電卓を使わずに計算することで、時短と見直しのしやすさに繋がります。

参考になった数6

03

三相交流回路の計算問題となります。

今回は平衡三相負荷側の誘導性リアクタンスXの値を求める形となります。

 

問題の条件を整理します。

・線間電圧V=400[V]

・線電流I=10[A]

・全消費電力P=6[kW]

 

また問題図より負荷はY接続となっていますので、線電流I=10[A]がそのまま抵抗R[Ω]と誘導性リアクタンスX[Ω]の1相分にかかります。よってまずはインピーダンスZ[Ω]をオームの法則を用いて求めたいと思います。

 

・インピーダンスZ=V/I[Ω]‥①

※V:電圧[V]、I:電流[A]

またインピーダンスZ[Ω]は次のような関係性も成り立ちます。

・インピーダンスZ=√R2+X2‥②

 

ここで①式に条件を当てはめて求めていきますが、ここで気をつけなければいけないのは1相分の回路として考えていくため電圧の取扱にはご注意ください。線間電圧V=400[V]を当てはめるのではなく、相電圧として考えます。線間電圧と相電圧の関係性は以下となります。

・線間電圧=√3×相電圧

・相電圧=線間電圧/√3

よってこの回路にかかる相電圧は400/√3[V]となります。

なのでインピーダンスは次のようになります。

 

・インピーダンスZ=(400/√3)/10≒23.1[Ω]

 

次に抵抗R[Ω]を求めていきますが抵抗は消費電力から求めることができます。式で表すと以下のようになります。

・消費電力P=I2R[W]

ここで問題の条件では全消費電力P=6[kW]となっていますので、1相分として消費電力を考えると次のようになります。

・1相分の消費電力P=6/3=2[kW]

 

上記の値から抵抗R[Ω]を求めます。

・2[kW]=102×R

・R=2×103/102=20[Ω]

 

最後に②式を用いて誘導性リアクタンスX[Ω]を求めます。

・23.1=√202+X2‥②´

・X2=23.12-202

・X=√23.12-20211.5[Ω]

以上となります。

選択肢1. 11.5

こちらが適切な解答となります。

まとめ

この問題に関わらず三相交流回路の計算問題は色々な解き方がありますので、一つの形に固執するのではなく複数の解き方にチャレンジして自分に合う解き方を日々の学習で身につけましょう。

参考になった数0