第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和3年度(2021年)
問24 (電力 問24)

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問題

第三種電気主任技術者(電験三種)試験 令和3年度(2021年) 問24(電力 問24) (訂正依頼・報告はこちら)

図で、水圧管内を水が充満して流れている。断面Aでは、内径2.2m、流速3m/s、圧力24kPaである。このとき、断面Aとの落差が30m、内径2mの断面Bにおける流速[m/s]と水圧[kPa]の最も近い値の組合せとして、正しいものを次の( 1 )〜( 5 )のうちから一つ選べ。
ただし、重力加速度は9.8m/s2、水の密度は1000kg/m3、円周率は3.14とする。
問題文の画像
  • 流速[m/s]:3.0  水圧[kPa]:318
  • 流速[m/s]:3.0  水圧[kPa]:316
  • 流速[m/s]:3.6  水圧[kPa]:316
  • 流速[m/s]:3.6  水圧[kPa]:310
  • 流速[m/s]:4.0  水圧[kPa]:300

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この過去問の解説 (3件)

01

ベルヌーイの定理とエネルギー保存則に関する計算問題です。

断面Aと断面Bは1本のパイプで繋がっているため、途中で内径が変わっても、エネルギーの総和は同じままです。

このエネルギーの総和は、ベルヌーイの定理より以下のように表すことができます。

 h + (P/ρg) + (v2/2g) = 一定

   h:位置水頭

   P:圧力

   ρ:流れるものの密度

   g:重力

   v:流速

選択肢3. 流速[m/s]:3.6  水圧[kPa]:316

以上の説明を踏まえて、問題文から必要な情報を拾っていきます。

・断面A

  内径2.2[m]、流速3[m/s]、圧力24[kPa]

・断面B

  内径2[m]、流速?、圧力?

・その他

  重力9.8[m/s]、密度1000[kg/m3]

まず、断面Bにおける流速vBから求めていきます。

冒頭にも触れた通り、2地点は1本で繋がっているため、流量は同じということが分かります。

(流量は、断面積と流速に比例して依存)

つまり、2地点における断面積Sと流速vには次のような関係が成立します。

 SAvA = SBvB

断面積は円の面積の公式で表すことができ、問題文では2地点の内径が与えられているので、

 π × (断面Aの内径/2)2 × vA = π(断面Bの内径/2)2 × vB

与えられた値を代入すると

 π × (2.2/2)2 × vA = π(2/2)2 × vB

 3.801×3 = 3.142×vB

 vB ≒ 3.629 ≒ 3.6 [m/s]

次に、断面Bの圧力をベルヌーイの定理の公式を用いて解いていきます。

2地点それぞれのエネルギーの総和についても、エネルギー保存則が成立するため、次のような関係が成立します。

 hA + (PA/ρg) + (vA2/2g) = hB + (PB/ρg) + (vB2/2g)

ここで鍵となるのが、断面Bの高さです。

問題では2地点の落差のみ与えられているので、断面Bの高さを0として計算を進めていきます。

 30 + (24×103/(1000×9.8)) + (32/(2×9.8)) = 0 + (PB/(1000×9.8)) + (3.62/(2×9.8))

 PB/(1000×9.8) = 30 + (24×103/(1000×9.8)) + (32/(2×9.8)) − (3.62/(2×9.8))

 PB = (1000×9.8) × {30 + (24×103/(1000×9.8)) + (32/(2×9.8)) − (3.62/(2×9.8))}

  = (30×1000×9.8) + (24×103) + (1000×32/2) − (1000×3.62/2)

  = 294000 + 24000 + 4500 − 6480

  = 316020 [Pa]

  ≒ 316 [kPa]

まとめ

工業高校の電気科などにおける電力系の授業では、ここまで詳しく掘り下げていないでしょう。

また、物理の授業が選択制であることなどを理由にベルヌーイの定理に触れる機会もないのではないでしょうか。

なので、ひとまず公式は「なるものはなる!」で飲み込んでしまいましょう。

ベルヌーイの定理を思い出すキッカケとなるイメージは、蛇口に繋がったホースです。

(ホースの先を指で潰すことが断面Bを作り出すというイメージになります。)

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02

断面積をA[m2]、流速をv[m/s]としたときに、流量Q = Av[m2/s]は

同一配管内で「どの断面でも流量は一定」という連続の定理の性質を利用します。

A点の断面積・・・(2.2 ÷ 2)2× 3.14 = 3.7994[m2]

B点の断面積・・・(2.0 ÷ 2)2× 3.14 = 3.14 [m2]

B点の流速をvBとすると、連続の定理より

3.7994 × 3 = 3.14 × vB

よって vB = 3.63 [m/s] となります。

次に、ベルヌーイの定理の

「どの点においても、流体の運動エネルギー、位置エネルギー、圧力エネルギーの和は一定」

h + v2/2g + p/ρg = 一定 の公式

  h:基準面からの高さ[m]

  v:流速[m/s]

  g:重力加速度[m/s2]

  ρ:単位体積の水の質量[kg/m3]

を利用します。

落差の基準(h = 0)をB点とし、B点の水圧をPBとすると、

A点はベルヌーイの定理より

30 + 32/(2×9.8) + 24000/(1000×9.8) ・・・①

B点は先ほど求めた流速を使うと

0 + 3.632/(2×9.8) + PB/(1000×9.8) ・・・②

① = ②より

PB = (1000×9.8){30 + 32/(2×9.8) + 24000/(1000×9.8) −3.632/(2×9.8)}

 = (1000×9.8){30 + 24000/(1000×9.8) − 4.17/(2×9.8)}

 = 294000 + 24000 − 2085

 = 315915 [Pa]

 = 315.91 [kPa] となります。

よって3が正解です。

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03

水力発電に関する連続の定理、ベルヌーイの定理を用いた計算問題となります。

水圧管内の断面A地点と断面B地点の流速と圧力を求める形となります。

まずは断面B地点の流量を求めていきます。

 

①断面B地点の流速

流量は以下の公式で求める事ができます。

・流量Q[m2/s]=断面積A×流速v‥①

上記の公式を用いてA地点の流量Q1を求めます。

・Q1=(2.2/2)2×π×3≒11.4[m2/s]

※水圧管の断面積は円の面積=円周率×半径(管の内径)2で求める事ができます。

 

次にB地点の流量から流速を求めますが、連続の定理よりB地点の流量Q2も11.4[m2/s]となります。

よって以下の方程式が成り立ちます。

・Q1=11.4=(2/2)2×π×v

 

・流速v=11.4/π≒3.6[m/s]

以上となります。

 

②断面B地点の水圧

ベルヌーイの定理の公式は以下となります。

 

・h+p/ρg+v2/2g=一定‥②

 

※h:位置水頭、p/ρg:圧力水頭、v2/2g:速度水頭

 

A地点とB地点のベルヌーイの定理で求めた値はイコールとなります。

よってまずはA地点から求めていきます。

・30+(24×103/9.8×1×103)+(32/2×9.8)≒32.91[m]

 

上記の値からB地点の水圧pを求めます。

・32.91=0+(p/9.8×1×103)+(3.62/2×9.8)

・32.91=(p/9.8×1×103)+0.66

・32.91-0.66=p/9.8×1×103

・32.25=p/9.8×1×103

・p=9.8×1×103×32.25≒316.05≒316[kPa]

 

以上より断面Bにおける流速3.6[m/s]、水圧は316[kPa]となります。

 

選択肢3. 流速[m/s]:3.6  水圧[kPa]:316

こちらが適切な解答となります。

まとめ

細かい計算が必要となりますので、ミスがないよう自分なりの計算方法を身につけておくことをお薦めいたします。

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