第三種電気主任技術者の過去問
令和4年度(2022年)上期
電力 問1

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問題

第三種 電気主任技術者試験 令和4年度(2022年)上期 電力 問1 (訂正依頼・報告はこちら)

水力発電に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
  • 水車発電機の回転速度は、汽力発電と比べて小さいため、発電機の磁極数は多くなる。
  • 水車発電機の電圧の大きさや周波数は、自動電圧調整器や調速機を用いて制御される。
  • フランシス水車やペルトン水車などで用いられる吸出し管は、水車ランナと放水面までの落差を有効に利用し、水車の出力を増加する効果がある。
  • 我が国の大部分の水力発電所において、水車や発電機の始動・運転・停止などの操作は遠隔監視制御方式で行われ、発電所は無人化されている。
  • カプラン水車は、プロペラ水車の一種で、流量に応じて羽根の角度を調整することができるため部分負荷での効率の低下が少ない。

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この過去問の解説 (3件)

01

水車発電機で使用される水車には、運動エネルギーを利用する衝動水車と、圧力エネルギーを利用する反動水車があります。

前者にはペルトン水車が該当し、後者にはフランシス水車、プロペラ水車、射流水車などが該当します。

それぞれ内部構造が大きく異なる点が大きな特徴です。

選択肢1. 水車発電機の回転速度は、汽力発電と比べて小さいため、発電機の磁極数は多くなる。

正しいです。

水車発電機の磁極数が4つであるのに対し、汽力発電所では磁極数が2つとなっています。

磁極数の数が多いほど、回転速度は低下します。

選択肢2. 水車発電機の電圧の大きさや周波数は、自動電圧調整器や調速機を用いて制御される。

正しいです。

水車発電機では安定した電力を供給するために、負荷の大小にかかわらず、水車の回転速度を一定に保つ必要があります。

そのためには自動電圧調整器や調速機を用いて、一定の比を維持しながら、電圧と周波数を調整する必要があります。

選択肢3. フランシス水車やペルトン水車などで用いられる吸出し管は、水車ランナと放水面までの落差を有効に利用し、水車の出力を増加する効果がある。

誤りです。

吸出し管が設けられているのは反動水車のみです。

ペルトン水車は衝動水車なので吸出し管はありません。

選択肢4. 我が国の大部分の水力発電所において、水車や発電機の始動・運転・停止などの操作は遠隔監視制御方式で行われ、発電所は無人化されている。

正しいです。

近年では、遠隔装置によるダムの開閉操作が可能となっており、発電機の運用においても無人化がなされています。

選択肢5. カプラン水車は、プロペラ水車の一種で、流量に応じて羽根の角度を調整することができるため部分負荷での効率の低下が少ない。

正しいです。

プロペラ水車のうち、可動式羽根を持つタイプのものをカプラン水車といいます。

水の当たる方向に対して羽根の角度を調整することで、効率の向上が可能です。

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02

水力発電所における水車の特徴及び監視制御方式に関する問題です。

選択肢1. 水車発電機の回転速度は、汽力発電と比べて小さいため、発電機の磁極数は多くなる。

同期発電機の同期速度は、以下の式より、

極数pに反比例し、周波数fに比例します。

 Ns = 120f/p

したがって、回転速度が小さくなるほど極数は大きくなります。

問題では、「水力発電機は汽力発電機より回転が小さい」とあるので、正しいです。

選択肢2. 水車発電機の電圧の大きさや周波数は、自動電圧調整器や調速機を用いて制御される。

問題文の通り、水車発電機の電圧の大きさは自動電圧調整器を、

周波数は調速機を用いて回転速度を制御することで制御されています。

選択肢3. フランシス水車やペルトン水車などで用いられる吸出し管は、水車ランナと放水面までの落差を有効に利用し、水車の出力を増加する効果がある。

フランシス水車などで用いられる吸出し管は、水車ランナと放水面までの落差を有効に利用し、水車の出力を増加する効果があります。

一方で、ペルトン水車は衝動水車であるため吸出し管を持ちません。

よって、この選択肢は誤りです。

選択肢4. 我が国の大部分の水力発電所において、水車や発電機の始動・運転・停止などの操作は遠隔監視制御方式で行われ、発電所は無人化されている。

問題文の通り、我が国の大部分の水力発電所においては、水車や発電機の始動・運転・停止などの操作は遠隔監視制御方式で行われ、原則発電所は無人化されています。

選択肢5. カプラン水車は、プロペラ水車の一種で、流量に応じて羽根の角度を調整することができるため部分負荷での効率の低下が少ない。

カプラン水車とは、プロペラ水車の一種で、水車の羽根を可動式にしたものです。

流量に応じて羽根の角度を調整することができるため、問題文の通り、部分負荷での効率の底かが少なくなります。

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03

電力 R4上 問1

選択肢3. フランシス水車やペルトン水車などで用いられる吸出し管は、水車ランナと放水面までの落差を有効に利用し、水車の出力を増加する効果がある。

正答です。

フランシス水車は反動水車、ペルトン水車は衝動水車です。

吸い出し管は反動水車にしかありません。

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