第三種電気主任技術者の過去問
令和5年度(2023年)下期
機械 問12

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

この過去問の解説 (1件)

01

誘導加熱とは交番磁界中に置かれた導電性物質中の渦電流によって生じるジュール熱(うず電流損)による加熱を言い、IHクッキングヒータなどの調理加熱に用いられます。

今回の問題は誤った記述を選択する問題となります。それぞれの選択肢を見ていきましょう。

選択肢1. 産業用では金属の溶解や金属部品の熱処理などに用いられ、民生用では調理加熱に用いられている。

金属などの被加熱物を加熱する方法として誘導加熱が用いられてます。被加熱物の内部で発生する交番磁束は電磁誘導によって被加熱物の内部に渦電流を流し、この渦電流で生じるジュール熱によって被加熱物自身が発熱します。この理屈を利用したのがIHクッキングヒータなどの調理加熱となります。よってこの記述は正しいです。

選択肢2. 金属製の被加熱物を交番磁界内に置くことで発生するジュール熱によって被加熱物自体が発熱する。

金属製の被加熱物を交番磁界内に置くと、ファラデーの電磁誘導の法則(e=-NdΦ/dt[V])により金属内部に起電力が発生しうず電流が流れます。そのうず電流によってジュール熱が発生し被加熱物自体が発熱します。なのでこの記述は正しいです。

選択肢3. 被加熱物の透磁率が高いものほど加熱されやすい。

誘導加熱は透磁率に依存し、透磁率が高いものほど加熱されやすい特性があります。交番磁界によって生じる起電力は磁束の変化に比例し、磁束密度B=μHの式からも分かるように透磁率が大きくなれば磁束密度も大きくなり、磁束の変化も大きくなります。磁束が変化するとレンツの法則によって、磁束の変化を妨げる方向にうず電流が流れジュール熱が発生し加熱されやすくなります。なのでこの記述は正しいです。

選択肢4. 被加熱物に印加する交番磁界の周波数が高いほど、被加熱物の内部が加熱されやすい。

被加熱物に印加するとうず電流は被加熱物の表面近くに多く流れます。この現象を表皮効果と呼び、周波数が高くなればうず電流も大きくなり、被加熱物の内部で交番磁束は打ち消されます。なので交番磁界の周波数が高いほど、被加熱物の内部が加熱されにくいです。よってこの記述は誤りです。

選択肢5. 被加熱物として、銅、アルミよりも、鉄の方が加熱されやすい。

鉄の透磁率は銅、アルミの透磁率と比べて大きいです。よってうず電流は大きくなり加熱されやすいです。なのでこの記述は正しいです。

まとめ

理論科目の電磁気で学ぶ知識が必要となる問題とも言えますので、合わせて学習して頂ければ幸いです。

参考になった数0