第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和5年度(2023年)下期
問64 (機械 問18(b))
問題文
図1は、調節計の演算回路などによく用いられるブロック線図を示す。
次の問に答えよ。
図1のブロック線図において、閉ループ周波数伝達関数で、ゲインKが非常に大きな場合の近似式として正しいものを(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
なお、この近似式が成立する場合、この演算回路は比例プラス積分要素と呼ばれる。

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問題
第三種 電気主任技術者試験 令和5年度(2023年)下期 問64(機械 問18(b)) (訂正依頼・報告はこちら)
図1は、調節計の演算回路などによく用いられるブロック線図を示す。
次の問に答えよ。
図1のブロック線図において、閉ループ周波数伝達関数で、ゲインKが非常に大きな場合の近似式として正しいものを(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
なお、この近似式が成立する場合、この演算回路は比例プラス積分要素と呼ばれる。

- 1+jωCR
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この過去問の解説 (3件)
01
前問(https://kakomonn.com/denken3/questions/75768)からの続きとなります。
閉ループ周波数伝達関数G(jω)=X(jω)/Y(jω)=K/1+KG1(jω)‥①
①式に前問で求めたG1(jω)=jωCR/1+jωCRを代入します。
※1.KG1(jω)=jωCRK/1+jωCR
※2.1+KG1(jω)=(1+jωCR+jωCRK)/1+jωCR
・G(jω)=K(1+jωCR)/(1+jωCR+jωCRK)‥②
上記のように閉ループ周波数伝達関数を求める事が出来ました。ここで問題文より【ゲインKが非常に大きな場合の近似式】という部分に着目すると、これはゲインKが含まれていない部分は無視できるという意味でもあります。
よって上記②式の分母【1+jωCR】を無視した式は以下のようになります。
・G(jω)=K(1+jωCR)/jωCRK‥③
・G(jω)=(1+jωCR)/jωCR‥③´
③´式を変形すると以下のようになります。
・G(jω)=1+1/jωCR ※(jωCR/jωCR=1)
以上のようになります。
こちらが適切な解答となります。
前問と同じくこちらも文字式の整理がキモとなります。問題文の条件の「~が非常に大きい」などの表現は電験では頻繁に用いられています。その一文から連想して答えを導くのは容易ではありませんが、問題を多く問いて感覚を養う事をお薦め致します。
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02
この問題は、ブロック線図の周波数伝達関数を導出する問題です。
図1を閉ループ周波数伝達関数の公式に当てはめると、
以下のような式が成り立ちます。
G(jω)=X(jω)/Y(jω)
=K/(1+KG1(jω))
分母分子に1/Kを掛けて式を整理すると、
G(jω)=K/(1+KG1(jω))
=1/{(1/K)+G1(jω)}
となります。
この式で、ゲインKが非常に大きい場合は1/Kの項を無視することができるので、
以下のように近似することができます。
G(jω)≈1/G1(jω)
G1(jω)は前問https://kakomonn.com/denken3/questions/75768より
G1(jω)=jωCR/(1+jωCR)なので、これを代入します。
G(jω)≈1/G1(jω)
=1/jωCR/(1+jωCR)
=(1+jωCR)/jωCR
分母分子に1/jωCRを掛けて、式を整理すると
G(jω)=(1+jωCR)/jωCR
=(1+jωCR)×1/jωCR/jωCR×1/jωCR
=1+1/jωCR
となります。
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03
この問題では、制御工学におけるフィードバック制御系の基本概念と、伝達関数の近似手法を理解しているかどうかが問われています。
一般に、フィードバック制御系の閉ループ周波数伝達関数 G(jω) は、
G(jω)=K/(G1+KG1(jω))
と表されます。G1(jω) は開ループの伝達関数、Kはゲインです。
ゲインKが非常に大きい場合、閉ループ伝達関数 G(jω) は以下のように近似できます。
G(jω)
=K/(G1+KG1(jω))
=1/(1/K + G1(jω))
≈1/G1(jω)
ここに問18(a)の答えG1(jω)=jωCR /(1+jωCR)を代入すると、
G(jω)
≈1/(jωCR/(1+jωCR))
= (1+jωCR)/jωCR
= 1+1/jωCR
伝達関数はシステムの入出力関係を表現したものです。
直列結合、並列結合、フィードバック結合している複数の伝達関数は、一つの伝達関数として合成することができます。
それらの導き方と、合成された結果の式を覚えておきましょう。
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