1級電気工事施工管理技士 過去問
令和6年度(2024年)
問7 (午前 ロ 問1)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

1級電気工事施工管理技士試験 令和6年度(2024年) 問7(午前 ロ 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

図に示す汽力発電のランキンサイクルにおいて、タービンの入口から出口に至る蒸気のエントロピーSと絶対温度Tの変化を示す過程として、適当なものはどれか。
問題文の画像
  • 2 → 3
  • 3 → 4
  • 4 → 5
  • 5 → 6

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (2件)

01

ランキンサイクルは、蒸気を利用してエネルギーを効率的に変換する重要なサイクルです。このサイクルでは、ボイラーで生成された蒸気がタービンを通過し、仕事を行った後に凝縮器で冷却され、再びボイラーへ戻る一連の過程が繰り返されます。タービン内での蒸気のエントロピーと絶対温度の変化は、サイクルの効率や性能に大きな影響を与えるため、正確に理解することが不可欠です。ここでは、タービンの入口から出口に至る過程を考察し、適切な変化を選択する問題を解説します。

選択肢1. 2 → 3

これはボイラーからタービン入口までの過程で、エントロピーは増加しますが、温度も高い状態です。

選択肢2. 3 → 4

タービンの入口から出口の過程ですが、エントロピーが減少します。

選択肢3. 4 → 5

凝縮器での冷却過程で、エントロピーが減少し、温度も減少します。

選択肢4. 5 → 6

エントロピー(S): 増加します。タービンを通るとエネルギーを放出し、エントロピーが高まる状態です。この過程は、タービン出口での蒸気が凝縮器に向かう際の変化を示しています。

絶対温度(T): 減少します。タービンを通過することで仕事をしてエネルギーを失い、蒸気の温度が低下します。

まとめ

ランキンサイクルは、主に蒸気を利用してエネルギーを変換するサイクルで、一般に以下の4つの過程から構成されています:

ボイラーで水を蒸気に変える。

タービンで蒸気を使用して仕事をする。

凝縮器で蒸気を水に戻す。

ポンプで水を再びボイラーに送る。

蒸気のエントロピーと温度の変化

タービン内の蒸気の変化を考えると、以下のようになります:

過程 5→6:

エントロピー(S): 増加します。タービンを通るとエネルギーを放出し、エントロピーが高まる状態です。この過程は、タービン出口での蒸気が凝縮器に向かう際の変化を示しています。

絶対温度(T): 減少します。タービンを通過することで仕事をしてエネルギーを失い、蒸気の温度が低下します。

他の選択肢との比較

2→3: これはボイラーからタービン入口までの過程で、エントロピーは増加しますが、温度も高い状態です。

3→4: タービンの入口から出口の過程ですが、エントロピーが減少します。

4→5: 凝縮器での冷却過程で、エントロピーが減少し、温度も減少します。

したがって、タービンの入口から出口にかけてのエントロピーと温度の変化を示す過程として適当なのは ④5→6 です。この過程では、エントロピーが増加し、温度が減少するため、タービンの動作におけるエネルギーの変換を正確に反映しています。

参考になった数52

02

この問題は、熱力学の基本的な原理に基づいています。

 

蒸気が仕事をする:過熱蒸気は高い圧力と温度を持っています。

タービンに流入すると、そのエネルギーを使って羽根車を回し、発電機を駆動します。

この「タービンを回す」という行為が、外部に対して仕事をすることになります。

 

エネルギーの保存:エネルギー保存の法則により、蒸気が仕事にエネルギーを費やせば、蒸気自身が持っている内部エネルギーは減少します。

 

温度の低下:蒸気の内部エネルギーが減少すると、その結果として温度も下がります。また、膨張することで圧力も低下します。

 

このことを踏まえ問題に取り組みましょう。

選択肢1. 2 → 3

2 → 3: ボイラーで水を加熱し、飽和蒸気にします。温度とエントロピーは上昇します。

選択肢2. 3 → 4

3 → 4: 過熱器にて 飽和蒸気をさらに加熱し飽和限界線を越えようとしている段階です。

※水と蒸気が共存している状態

選択肢3. 4 → 5

4 → 5: 蒸気の温度が上がり、湿り気が完全になくなり過熱蒸気になってタービンに送る状態です。

選択肢4. 5 → 6

5 → 6: 過熱蒸気がタービンに流入し、膨張しながらタービンを回して発電機を駆動します。
この過程では、蒸気が外部に仕事をするため、エントロピーはほぼ一定(等エントロピー膨張)と見なされ、温度は急激に低下します。

 

よって、5 → 6が正解となります。

まとめ

ランキンサイクルでは、圧力と温度は以下の段階で変化します。


給水ポンプ: 給水を高圧にします。ここで圧力が大幅に上昇します。
ボイラ: 高圧の水を加熱し、飽和蒸気にします。温度とエントロピーが上昇します。
過熱器: 飽和蒸気をさらに加熱し、過熱蒸気にします。温度は上昇しますが、圧力はほぼ一定です。
タービン: 高温高圧の蒸気が膨張し、仕事をしてタービンを回します。圧力と温度が低下します。

 

汽力発電のサイクルにおいて、ボイラで水を加熱すると、まず沸騰して飽和蒸気になります。


この飽和蒸気はまだ湿り気を含んでおり、そのままタービンに送ると、タービンの羽根を腐食させたり、
効率を低下させたりする可能性があります。

 

過熱器は、この飽和蒸気をさらに加熱し、過熱蒸気にするための装置です。
これにより、蒸気の温度が上がり、湿り気が完全になくなり、タービンへのダメージを防ぎつつ、発電効率を高めることができます。

 

上記のことを踏まえて覚えておきましょう。

参考になった数0