介護福祉士の過去問
第29回(平成28年度)
介護過程 問67

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問題

介護福祉士国家試験 第29回(平成28年度) 介護過程 問67 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで、問に答えなさい。

〔事例〕
Eさん(67歳、女性、要介護3)は、1年前、くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage)で倒れて、左片麻痺、体幹機能の低下が残った。排泄訓練を目的として介護老人保健施設に入所した。入所時のEさんは、不自由でも、右手でベッド柵を掴んで起き上がることやベッドの端に座ることはできたが、立位保持はできなかった。おむつを着用しているが、「おむつは嫌」と自分の気持ちを訴えていた。医師は着脱と拭く行為には介助が必要だが、車いすから便座に移ることは可能であると判断した。F介護福祉職はアセスメント(assessment)を行い、本人の思いを考慮して介護計画の短期目標を、「車いすから便座に移り排泄する」と設定して、評価日は1か月後とした。理学療法士と連携して、トイレで移乗のための立位訓練を始めた。

2週間が過ぎた頃、思うような成果が出なくて、Eさんは嫌気がさしてきた。複数の介護福祉職からEさんの訓練拒否が報告されるようになった。F介護福祉職がEさんに理由を尋ねると、「あまり人の世話になりたくない。みんなに迷惑がかかるのでおむつのままでいいわ」と言った。
Eさんのニーズとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 移乗訓練をやめること
  • トイレで排泄ができること
  • 左片麻痺をなくすこと
  • おむつに戻すこと
  • 早く家に帰ること

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この過去問の解説 (5件)

01

正解は2です。
その場の状況や一時的な感情から出る言葉もあるため、その人にとって何が本当に必要なのかを把握することが大切です。

参考になった数33

02

正解は「2」です。

ニーズは本人の言葉にそのまま現れるものではありません。リハビリが思うように進まないことで、「おむつに戻してほしい」という言葉が聞かれていますが、その通りにしてしまうことは自立支援の妨げとなります。本人の気持ちに寄り添い、本音が引きだせる関係性を作ることも大切です。

1 介護老人保健施設は在宅復帰を目指すための施設です。移乗訓練をやめてしまうことは、老健に入所している目的を失うことにもつながるため、適切ではありません。

3 麻痺の回復がどこまで望めるかは、問題文の情報だけではわかりません。また、麻痺についての本人の思いも記載されていないため判断できず、正解としては不適切です。

4 おむつにしてほしい、というのは一時的な感情からの言葉であると考えられます。言われるがままにするのではなく、うまくできないことへのいらだちなどにも配慮しつつ、本人のやる気を引き出すことが大切です。 

5 家に帰りたい、というニーズは問題文で触れられていません。トイレでの排泄は自宅復帰にも大きく関わると考えられ、現時点で帰ることは望ましくありません。

参考になった数26

03

正解は「2」です。
おむつでいいわと言っているのは、周囲に迷惑をかけることに罪悪感を感じているための発言ととれます。

不正解とその解説
「1」・・・一時的な感情でやめる必要はありません。やめるにもしても一度カンファレンスなどを行う必要があります。

「3」・・・左麻痺が完全に治癒できるのは難しいと考えますので、不適切です。

「4」・・・おむつに戻してしまうと自立支援の妨げになります。

「5」・・・今の状態で自宅へ戻っても、Eさんらしい生活ができるとは思えませんので不適切です。

参考になった数15

04

最も適切なものは2です。

事例のところに「本人の思いを考慮して介護計画の短期目標を、『車いすから便座に移り排泄する』と設定」とあります。思うような成果がでなかったり、周囲に迷惑がかかるのではという気持ちから「おむつのままでいい」と言っていると考えられます。

参考になった数15

05

正解は2です。

ニーズは本人の主観的な要望だけを指すのではなく、客観的な必要性も含まれます。Eさんがおむつで良いといっているのは、迷惑がかかることを心配してのことです。客観的な必要性を含めると、Eさんのニーズはトイレで排泄が出来ることだと判断できます。

参考になった数13