介護福祉士の過去問
第31回(平成30年度)
総合問題 問118

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問題

介護福祉士国家試験 第31回(平成30年度) 総合問題 問118 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで、問題について答えなさい。

〔事例〕
Gさん(84歳、女性)は、8年前に経済的な理由から養護老人ホームに入所した。
Gさんは、「自分のことは、自分でやりたい」といつも話しており、毎朝の体操が日課であった。施設のプログラムである健康体操にも他の利用者と楽しみながら毎週参加していた。
しかし、最近は、足がすくんだようになり、始めの一歩をうまく出せず、歩行に不安を抱えるようになった。
Gさんは、物忘れなどの症状が以前からみられていたこと、また他の症状もみられるようになったことから、医師の診察を受けたところ、レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)と診断された。
Gさんは、居室の前にあるトイレに行くとき、転倒してけがをするのではないかと不安になっている。Gさんが入所している施設は、N県から介護保険サービス事業者の指定を受けている。この施設で生活を続けたいというGさんの意向を受けて、本人を交えて施設職員と介護支援専門員(ケアマネジャー)が支援の内容を検討した。

Gさんの移動に関する支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 床にある目印をまたぐように声かけをする。
  • 車いすで移動する。
  • 居室にカーペットを敷く。
  • 歩幅を小さくするように声かけをする。
  • 四点杖(よんてんづえ)の使用を勧める。

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この過去問の解説 (3件)

01

レビー小体型認知症の主な症状は、
①パーキンソン症
②幻視
③レム睡眠行動障害
④自律神経症状
⑤認知機能や意識レベルの極端な変動
⑥薬剤の過敏症、などがあります。

Gさんは、歩行に不安を抱いているので、①のパーキンソン症に症状が強く出ていると推測できます。

パーキンソン症の方への移動支援は、少しの段差でも転倒のリスクが高くなるという点を考慮すると、3のカーペットを敷くのは転倒のリスクが上がるので不適切です。

4の歩幅を小さくすることも同様で、できる限り歩幅は広くすることを勧めましょう。

2と5に関しては、Gさんの現状から考えると、まだその段階ではないので不適切といえます。

1は、段差や、居室の境など転倒のリスクがありそうな場所に目印をつけるのは、Gさんも段差などを意識することができるので効果が期待できます。
そのため1が正解となります。

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02

1. レビー小体型認知症であるGさんの移動支援として、歩きだしの1歩目が出しにくいので、床にある目印をまたぐように声かけをすることが大切です。よって、1が正解です。

2.Gさんは、自分のことは、自分でやりたいとはなしています。ケースでは健康体操や毎朝の体操が日課であることが紹介されていますので、車いすを使用すると、下肢筋力が衰えてしまう懸念があります。よって2は適切ではありません。

3. レビー小体型認知症の症状により、小刻み歩行になります。居室にカーペットを敷くとつまづいて転倒するリスクがあります。よって、3は適切ではありません。

4. レビー小体型認知症の症状により、小刻み歩行になります。歩幅が小さいなかで、さらに歩幅が小さくなると転倒するリスクがあります。歩幅を大きくするように声かけしましょう。よって、4は間違いです。

5.今回のケースではGさんの下肢筋力は保たれていることが伺えます。四点杖の使用をしても転倒リスクは減ることはありません。よって、5は適していません。

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03

1.○
 足がすくみ、始めの一歩をうまく出せなくなるという症状は、レビー小体型認知症の特徴的な症状の1つとなります。
 また、歩幅が狭くなったり、突進するように歩いたりするという症状も現れるため、転倒する危険性が高くなります。
 適切な歩幅を保ちながら歩くことができるよう、床に一定の幅で目印をつけ、それをまたいで歩くよう声掛けをすることは適切だと考えられます。
 
2.×
 Gさんは、歩行に不安を抱えていますが、自立歩行が可能な状態です。
 また、この不安は適切な支援を行うことで軽減させることが可能だと考えられます。
 そのため、車いすの使用は、Gさんの自尊心を傷つけるとともに、身体機能の衰えや自信喪失に繋がってしまうため、不適切です。

3.×
 カーペットを敷いた場合、そのカーペットの縁につま先が引っかかって転倒する危険性が高いため、カーペットを敷くことは不適切であると考えられます。
 
4.×
 歩幅を小さくすると、バランスを取りにくくなってしまい、転倒しやすくなります。
 歩幅を大きくするよう声掛けをすることで、安定した歩行が可能になると考えられます。

5.×
 すくみ足等の症状がある場合、持ち上げ型の歩行器を使用することで、自分自身のリズムを取りながら歩くことができると考えられます。
 また、足を踏み出すための目印となるよう、レーザーが出る杖や歩行器を使用することも有効であると考えられます。

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