大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問31 (倫理(第1問) 問1)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問31(倫理(第1問) 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

以下を読み、後の問いに答えよ。なお、会話と問いのAと先生は各々全て同じ人物である。

次の会話は、高校生Aとその担任の先生が面談で交わしたものである。

A:先生!最近、友達と会ったり、話したりするときに、友達にどのような態度を取ったらよいか気を遣うのが時々辛(つら)いと感じることがあって…。いっそのこと、一人で過ごした方が気が楽かも…。
先生:思い悩んでいますね。私も例に漏れませんが、誰もが悩むことです。ところで、友に対する思いは、歴史的には広い意味でa という概念で捉えられてきました。
A:愛と言えば、先日の授業でb 古典や聖典の資料を読みましたよね。そのとき、愛の様々な種類やc キリスト教の隣人愛についても学びました。
先生:そうでしたね。
A:愛とまでは言えないかもしれませんが、私は友達のことを大切だとは思っています。でも、友達に関する悩みは尽きません。確か、「犀(さい)の角のようにただ一人歩め」と言って、友と過ごすよりも一人で過ごす方がよいと説くd 仏教の経典がありましたよね。
先生:うーん。しかし、その経典の記述って、そのように理解してよいのでしょうか?

下線部aに関連して、愛について考察した思想家の説明として最も適当なものを、回答選択肢のうちから一つ選べ。
  • 墨子は、世界平和を実現するために、遠くにいる者よりも近くにいる者を愛することを重視する別愛を主張した。
  • 孔子は、仁による政治を理想とし、仁の基盤として、親や祖先への愛である孝や、兄や年長者への愛である悌があると考えた。
  • ソクラテスは、神だけが真に知を愛する者であると考え、知者を自認する人間を批判的に吟味した。
  • プラトンは、個々の美しいものを愛する欲望をエロース(エロス)と呼び、イデアの把握のためにはエロースは不要であると考えた。

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は「孔子は、仁による政治を理想とし、仁の基盤として、親や祖先への愛である孝や、兄や年長者への愛であり悌があると考えた」です。

以下、解説になります。

選択肢1. 墨子は、世界平和を実現するために、遠くにいる者よりも近くにいる者を愛することを重視する別愛を主張した。

墨子は、すべての人を公平に愛するという「兼愛」を説いています。

選択肢2. 孔子は、仁による政治を理想とし、仁の基盤として、親や祖先への愛である孝や、兄や年長者への愛である悌があると考えた。

正解は、この肢です。

孔子は、親孝行、兄弟愛、尊属への敬意をはじめとした、家族愛を説いています。

選択肢3. ソクラテスは、神だけが真に知を愛する者であると考え、知者を自認する人間を批判的に吟味した。

ソクラテスは、無知であることを知ることが重要である旨を説いています。

選択肢4. プラトンは、個々の美しいものを愛する欲望をエロース(エロス)と呼び、イデアの把握のためにはエロースは不要であると考えた。

プラトンは、エロースは魂がイデアの世界を創造する点で必要な要素であると説いています。

まとめ

ソクラテスやプラトンの思想は、著名なものが多いため、この問いを機会に覚えておくとよいでしょう。

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02

この問題に適切な答えを選択するには、選択肢にある思想家それぞれの思想についての最低限の知識が必要になります。

墨子は、血縁によらない普遍的博愛や反戦・平和を唱えました。

孔子の説く「仁」とは、真心や思いやりを大切にして人を愛する心を指す広い概念です。

その原点は、血縁関係に基づく思いやりの精神である、と説きます。

ソクラテスの説く「無知の知」は、自分が知らないことを知っている、つまり自分が無知であることを自覚していることが重要である、と説きます。

プラトンの思想の根底に流れる「エロス」とは、単なる恋愛感情以上の意味を持ち、人間はエロスを通して理想的な自分を取り戻そうとする存在だと説きます。


 

選択肢1. 墨子は、世界平和を実現するために、遠くにいる者よりも近くにいる者を愛することを重視する別愛を主張した。

墨子は、血縁によらない普遍的博愛や反戦・平和を唱えました。

遠くにいる、近くにいるという地縁的関係と無縁の思想家です。

従って、不正解です。

選択肢2. 孔子は、仁による政治を理想とし、仁の基盤として、親や祖先への愛である孝や、兄や年長者への愛である悌があると考えた。

孔子の説く「仁」とは、真心や思いやりを大切にして人を愛する心を指す広い概念です。

その原点は、血縁関係に基づく思いやりの精神である、と説きます。

そして、孔子は、「仁」による政治を理想とし、「仁」に基づいて政治が行われるべきと説きました。

従って、正解です。

選択肢3. ソクラテスは、神だけが真に知を愛する者であると考え、知者を自認する人間を批判的に吟味した。

ソクラテスの説く「無知の知」は、自分が知らないことを知っている、つまり自分が無知であることを自覚していることが重要である、と説きます。

彼は、真の知者は、自分が無知であることを自覚している、と説いています。

必ずしも神のみを真に知を愛する者と解していません。

従って、不正解です。

選択肢4. プラトンは、個々の美しいものを愛する欲望をエロース(エロス)と呼び、イデアの把握のためにはエロースは不要であると考えた。

プラトンの思想の根底に流れる「エロス」とは、単なる恋愛感情以上の意味を持ち、人間はエロスを通して理想的な自分を取り戻そうとする存在だと説きます。

ブラトンは、彼の説くイデアの獲得のためにエロースは不可欠と説いています。

従って、不正解です。

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