大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問46 (倫理(第2問) 問8)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問46(倫理(第2問) 問8) (訂正依頼・報告はこちら)

以下は、倫理の授業で、日本思想を学んだ後に、「役に立つ学びとはどのようなものか」をテーマにクラスで行われた紙上での対話である。

Cの意見
役に立つ学びというと、資格の取得など、学んだことが仕事に活かされ、収入につながるものを思い浮かべがちですが、それだけを一度きりの人生の目的にできるのでしょうか。日本には自らの生き方を考える学びの伝統があり、実利を重視する風潮が強まったe 近代以降であっても、哲学することは真の人間になることだと述べた思想家もいました。自らの生き方を考える学びは、この人生を悔いなく送るために、本当の意味で役に立つ学びだと考えます。

BからCへの質問
確かにそうですね。ただ、私もCも、役に立つという言葉から、自分の役に立つことだけに囚(とら)われていたと気付きました。例えば、f 高野長英の人生を考えてみると、彼は、自身が「有用急務の実学」だと認めた蘭学を究め、その学びが、日本の西洋学術の受容にも寄与し、多くの人々の生活を豊かにしました。このように、役に立つ学びには、他者のために役に立つという面もあると考えられませんか。

CからBへの返答
なるほど。以前授業で、鎌倉時代の僧g 叡尊は、学びを通じて仏教者としての己の生き方を見つめ、そこから利他の実践に向かったと習ったのを思い出しました。彼のように、自分の生き方を省みた先で、他者と共にある具体的な現実に目を向け、学びを目の前の他者のための実践へとつなげられたとき、役に立つ学びは一層深まるのかもしれません。

紙上での対話を終えたBとCは、次の資料について、後の会話を交わした。クラスで行われた紙上での対話も踏まえて、会話中の( a )・( b )に入る記述の組合せとして最も適当なものを、回答選択肢のうちから一つ選べ。

資料
およそ世に学問といい、工業といい、政治といい、法律というのも、皆人間交際*のためのもので、そうでなければどれも不要である。……何人(なんぴと)にもいささか身に付いた特長があるから、これにより世のために益をなそうと欲するのは人情の常である。……人たるものはただ一身一家の衣食が足りたからといって自ら満足してはならない。人の天性にはなおこれよりも高き約束があるものだから、人間交際の仲間に入り、その仲間たる身分をもって世のために勉(つと)めるところがなければならない。(福沢諭吉『学問のすゝめ』より)
*人間交際:societyの訳語

C:Bとの紙上での対話、面白かったなあ。( a )という考えが出たね。
B:人は何のために学ぶのかを考えさせられたよ。「実学」を強調した福沢は、資料によると、( b )を重んじていたんだね。学びの本質は、他者と共にある現実をどう生きるかを問うことにあるのかも。
  • a:学びが他者のための実践につながるとき、役に立つ学びは深まる  b:世俗と切り離された高い理想を学問に追い求める生き方
  • a:自己の生き方を見つめる学びは、自己に留(とど)まらず他者の役にも立つ  b:自らの特長の発揮を通じて、人間交際に寄与しようとする生き方
  • a:自らの生き方を考える学びは、日本では元来、軽視されてきた  b:一身の目先の生活を超えたところに自身の勉めを見いだす生き方
  • a:他者と共にある現実が見えてこそ、より深い意味で学びは役に立つ  b:社会的関係を手段として利用して自己の満足を求める生き方

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