大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問95 (政治・経済(第4問) 問5)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問95(政治・経済(第4問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

生徒X、生徒Yおよび生徒Zは、「政治・経済」の授業でグループ発表をすることになり、その準備をしている。次のやりとりは、生徒たちが放課後にスマートフォンで行ったものの一部である。これに関連して、後の問いに答えよ。

下線部eに関連して、「国民が受給している社会保障給付を削減する法律の合憲性について、裁判所はどのような審査をすべきか」という問題が提起された。生徒Xと生徒Yは、ある判決文の一部を抜き出して作成された次の資料を読んだ上で、後の会話文のように話し合った。会話文中の空欄(ア)にはaかb、空欄(イ)にはcかdのいずれかが当てはまる。会話文中のア・イに当てはまるものの組合せとして最も適当なものを、回答選択肢のうちから一つ選べ。

憲法25条にいう「『健康で文化的な最低限度の生活』なるものは、きわめて抽象的・相対的な概念であって、その具体的内容は、その時々における文化の発達の程度、経済的・社会的条件、一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであるとともに」、同規定を「現実の立法として具体化するに当たっては、国の財政事情を無視することができず、また、多方面にわたる複雑多様な、しかも高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とするものである。したがって、憲法25条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は、…(中略)…それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるをえないような場合を除き、裁判所が審査判断するのに適しない事柄である」。
(出所)最高裁判所民事判例集36巻7号により作成。

X:この判決では、どのように制度を作るかについて、立法府の( ア )と判断しているね。すでに国民が受給していた社会保障給付を従来よりも削減する立法についても、同じように審査されるのかな。
Y:違う考え方もあると思うよ。たとえば、( イ )と考えられるよね。
X:なるほど。たしかに、そういう考え方もできそうだね。だけど、Yさんの意見には、最新の社会情勢や財政事情をもとに行われる立法府の判断が、過去の立法府の判断に拘束されてしまうという問題もありそうだね。

アに当てはまる内容の記述
a  広い裁量に委(ゆだ)ねられる
b  裁量は否定される

イに当てはまる内容の記述
c  社会保障制度を作り直す時の「健康で文化的な最低限度の生活」の内容は、立法府が改めて国の財政事情を踏まえ専門技術的な考察をして政策的に判断することになるよね。そうだとすると、最高裁判所は、最初に作られた時と同じように立法府の裁量を尊重すべきだ
d  法律で一度は「健康で文化的な最低限度の生活」の内容が具体化されているし、社会保障給付を受給していた国民は将来も受給できると期待するよね。そうだとすると、最高裁判所は、立法府が判断を変更して社会保障給付を削減する場合は、合理的な理由があるかを踏み込んで審査すべきだ
問題文の画像
  • ア ― a  イ ― c
  • ア ― a  イ ― d
  • ア ― b  イ ― c
  • ア ― b  イ ― d

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この過去問の解説 (1件)

01

憲法25条「健康で文化的な最低限度の生活」 生存権の保障の規定の解釈については、憲法学上の定説はプログラム規定説です。

これは、「健康で文化的な最低限度の生活」を具体的にどのような内容で実現するかは広く国の裁量に依るとするものです。

一方 何らかの形で憲法25条に基づいて行政・立法に対して、裁判所の判断で縛りを掛けられるとする学説もあります。

この問題は、こういった議論に関する問題です。

但し、この問題に関しては、このような知識は必要なく、設問の文章を正しく読み取れば解ける構成になっています。
 

選択肢1. ア ― a  イ ― c

設問の判例は、プログラム規定説に立つものですので、アはaが該当します。

一方設問では、Yはアに対して異論を唱えているので、イはdが該当します。

従って、不正解です。

選択肢2. ア ― a  イ ― d

設問の判例は、プログラム規定説に立つものですので、アはaが該当します。

一方設問では、Yはアに対して異論を唱えているので、イはdが該当します。

従って、正解です。

選択肢3. ア ― b  イ ― c

設問の判例は、プログラム規定説に立つものですので、アはaが該当します。

一方設問では、Yはアに対して異論を唱えているので、イはdが該当します。

従って、不正解です。

選択肢4. ア ― b  イ ― d

設問の判例は、プログラム規定説に立つものですので、アはaが該当します。

一方設問では、Yはアに対して異論を唱えているので、イはdが該当します。

従って、不正解です。

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