大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和5年度(2023年度)本試験
問36 (倫理(第1問) 問6)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和5年度(2023年度)本試験 問36(倫理(第1問) 問6) (訂正依頼・報告はこちら)

高校生AとBが登校中に交わした次の会話を読み、後の問いに答えよ。なお、会話と問いのAとBは各々全て同じ人物である。

A:倫理の授業のことだけど、自分たちが生きているのとは異なる時代や社会におけるa様々な正義の考え方が出てきて、覚えるのが大変だよね。
B:確かに。すぐには理解できないものもあるけど、色んな正義がそれぞれ実際にb人々の生き方と密接に関わってきたんだよね。
A:そうだね。そうした正義によって、みんなが調和して暮らせるような社会を築こうとしていたのかな。
B:ひょっとしたら、正義はc人間相互の関係の中で必然的に求められるものって考えられるかもしれないよ。
A:それは、正義を私たちのd共存のために必要なものとして捉えるってこと?
B:そう、そうすれば今の私たちが正義と思うものとの共通点が見えてくるかも。例えば、人々を対等な関係にあるものとして扱うe平等の観点なら、私たちになじみのない正義の中にも見いだせそう。
A:なるほど。でも、それなら、異なる正義観が生じるのはどうしてなんだろう…。人間の捉え方がそもそも異なるとか?
B:というと?
A:つまり、人間相互の関わりの中で正義を見るなら、そもそもf人間の本性がどう考えられているかが大事で、そこから正義の考え方の違いも生じているんじゃないかって。
B:確かに。そこが違えば、正義の意味やあり方も違ってくる。
A:そう、だから正義について学ぶときには、g人間の本性を踏まえた上で、人はどう振る舞うべきだと考えられてきたのかを見る必要があると思う。あれ…、授業で学んだことを再確認したくなってきたぞ…。
B:よし、放課後、図書館に行って、正義や人間の本性についてもう少し調べてみよう。

下線部fに関して、AとBは次の資料を図書館で見付けた。荀子の思想と資料の内容についての説明として最も適当なものを、後の回答選択肢のうちから一つ選べ。

資料『荀子』より
ことさらに何かをせずとも自然とそうであるというのが性であり、性から発する好悪喜怒哀楽を情といい、情が発するのに対して心が判断するのを思慮といい、心が思慮して能力をはたらかせるのが偽(しわざ)(作為)である。思慮を積み重ね、能力を重ね修めて、そうして後に完成したもののことも偽という。……孟子は「人が学問(して向上しようと)するのはその性が善だからだ」と言うが、そうではない。孟子は……性と偽の区別を理解していない。性とは学んだり取り組んだりしても獲得できないものである。……礼義は聖人の偽から生じたものであり、人の性から生じたものではない。……普通の人でも、禹(う)*のようになることができる。
*禹:中国古代の聖人
  • 人間は教育によって矯正し得ない欲望を生まれつき持つとする荀子は、資料において、孟子が学習などにより後天的に獲得されるものを、人の生得的な性質だと勘違いしているとして批判している。
  • 人間が生まれつき持つ性質は欲望であり、生得的な善を備えてはいないと考える荀子は、資料において、性善説を唱える孟子を批判し、礼義は学びや取り組みによって後天的に習得し得るものであるとしている。
  • 人間における善を後天的な矯正の産物であるとする荀子は、資料において、孟子が善を学問によって獲得できるとすることを批判し、そのようにして獲得されるものは偽物にすぎないから不要だと述べている。
  • 人間の本性は邪悪であり、善を身に付けることはできないと考える荀子は、資料において、人は学びを通じて礼義を習得すると考える孟子の説を、性を理解していない虚偽だと批判している。

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