大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和5年度(2023年度)本試験
問63 (倫理(第4問) 問9)
問題文
G:すごい豪邸…、こんなa家に生まれた子どもは運がいいね。不平等だな。
H:生まれた家とか国とか、b個人が選べないもので差があるのは、不平等だとしても変えられないよ。与えられた環境の中で頑張ることが大事だよね。この家の子どもだって、c社会で成功できるかどうかは本人次第だと思う。
G:いや、その子どもも、家が裕福なおかげでいい教育を受けて、将来お金を稼げるようになったりするでしょ。運の違いが生むd格差は、社会が埋め合わせるべきだよ。
H:それって、幸運な人が持つお金を不運な人に分け与えるということ?運の違いなんて、そもそも社会のあり方と関わる問題だとは思えないけど。
G:そう?例えば、運よく絵の上手な人が漫画家としてお金を稼げるのは、漫画を高く評価するe文化が社会にあるおかげでしょ。人のf才能も、社会のあり方によって、運よくお金になったり運悪くお金にならなかったりするよ。
H:なるほど。けど、才能を成功に結び付けるのは社会だけじゃないよ。漫画家も才能を磨いてプロになるわけでしょ。そうしたg努力については、個人を評価するべきじゃない?
G:一理あるね。ただ、努力の習慣が身に付くのも運による面はあるよ。地元の学校が「褒めて伸ばす」方針で、何事も頑張って取り組むようになったとか。努力できるようになるかどうかは、h社会の仕組みや構造に左右されると思う。
H:それはそうかも。ただ、同じ境遇でも、苦学して立派になる人もいればそうでない人もいるし…。最終的には、努力は個人の問題じゃないかな。
G:するとHは、運の違いが生む格差は全て、個人が努力で乗り越えるべきだと言うの?幸運な人と同じだけ努力した不運な人が、格差のせいで幸運な人に追い付けないようだと、不運な人の努力は評価されていないとも言えるよ。
H:確かに…。ただ、努力も全て運次第だからという理由で、努力する人がしない人と同じ扱いを受けるとしたら、それはやっぱり不公平じゃないかなあ。
G:そうだよね…。次の倫理の授業が終わったら、先生にも聞いてみようか。
次の会話は、倫理の授業後にGとHが先生と交わしたものである。上記の会話も踏まえて、会話中のa~dに入る記述の組合せとして最も適当なものを、回答選択肢のうちから一つ選べ。
G:先生、人生は運にも左右されると思いますが、運の違いが生む格差は社会が埋め合わせるべきでしょうか。Hと少し議論になったのですが…。
先生:興味深いですね。二人はそれぞれどういう意見なのですか。
G:私は、運の違いが生む格差を( a )のが望ましいと思います。
H:私は、そうした格差については、( b )のが望ましいと思いますね。
先生:なるほど。では、なぜ、そう考えるのでしょうか。
G:そうですね…、社会は公平であるべきだからだと思います。お互いを尊重する社会であれば、自分はここに居ていいと感じることができ、物事を選択する際にも、適度な自信と責任感を持てるはずです。
H:え?それでなぜ、さっき先生に言ったような意見になるの?
G:だって、運の違いが生む格差を社会が( c )、お互いを尊重できなくなるかもしれないでしょ。
H:そういう考えだったんだ…。私は、運の違いが生む格差を社会が( d )、人々がお互いを尊重できないと思っていたんだよね。
先生:二人とも、人々がお互いを認め合って敬意を払い合う社会を望んでいたということでしょうか。
H:なるほど。Gと意見が一致している面もあるように感じていましたが、敬意という言葉はあまり考えたことがなかったですね。
G:私も、敬意という言葉を聞いて、理解が深まった気がします。二人でもう一度話し合った方がいいかもしれませんね。
先生:是非そうしてください。運の違いも努力の差も軽視しない社会の仕組みを考え付くことができるといいですね。
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問題
大学入学共通テスト(公民)試験 令和5年度(2023年度)本試験 問63(倫理(第4問) 問9) (訂正依頼・報告はこちら)
G:すごい豪邸…、こんなa家に生まれた子どもは運がいいね。不平等だな。
H:生まれた家とか国とか、b個人が選べないもので差があるのは、不平等だとしても変えられないよ。与えられた環境の中で頑張ることが大事だよね。この家の子どもだって、c社会で成功できるかどうかは本人次第だと思う。
G:いや、その子どもも、家が裕福なおかげでいい教育を受けて、将来お金を稼げるようになったりするでしょ。運の違いが生むd格差は、社会が埋め合わせるべきだよ。
H:それって、幸運な人が持つお金を不運な人に分け与えるということ?運の違いなんて、そもそも社会のあり方と関わる問題だとは思えないけど。
G:そう?例えば、運よく絵の上手な人が漫画家としてお金を稼げるのは、漫画を高く評価するe文化が社会にあるおかげでしょ。人のf才能も、社会のあり方によって、運よくお金になったり運悪くお金にならなかったりするよ。
H:なるほど。けど、才能を成功に結び付けるのは社会だけじゃないよ。漫画家も才能を磨いてプロになるわけでしょ。そうしたg努力については、個人を評価するべきじゃない?
G:一理あるね。ただ、努力の習慣が身に付くのも運による面はあるよ。地元の学校が「褒めて伸ばす」方針で、何事も頑張って取り組むようになったとか。努力できるようになるかどうかは、h社会の仕組みや構造に左右されると思う。
H:それはそうかも。ただ、同じ境遇でも、苦学して立派になる人もいればそうでない人もいるし…。最終的には、努力は個人の問題じゃないかな。
G:するとHは、運の違いが生む格差は全て、個人が努力で乗り越えるべきだと言うの?幸運な人と同じだけ努力した不運な人が、格差のせいで幸運な人に追い付けないようだと、不運な人の努力は評価されていないとも言えるよ。
H:確かに…。ただ、努力も全て運次第だからという理由で、努力する人がしない人と同じ扱いを受けるとしたら、それはやっぱり不公平じゃないかなあ。
G:そうだよね…。次の倫理の授業が終わったら、先生にも聞いてみようか。
次の会話は、倫理の授業後にGとHが先生と交わしたものである。上記の会話も踏まえて、会話中のa~dに入る記述の組合せとして最も適当なものを、回答選択肢のうちから一つ選べ。
G:先生、人生は運にも左右されると思いますが、運の違いが生む格差は社会が埋め合わせるべきでしょうか。Hと少し議論になったのですが…。
先生:興味深いですね。二人はそれぞれどういう意見なのですか。
G:私は、運の違いが生む格差を( a )のが望ましいと思います。
H:私は、そうした格差については、( b )のが望ましいと思いますね。
先生:なるほど。では、なぜ、そう考えるのでしょうか。
G:そうですね…、社会は公平であるべきだからだと思います。お互いを尊重する社会であれば、自分はここに居ていいと感じることができ、物事を選択する際にも、適度な自信と責任感を持てるはずです。
H:え?それでなぜ、さっき先生に言ったような意見になるの?
G:だって、運の違いが生む格差を社会が( c )、お互いを尊重できなくなるかもしれないでしょ。
H:そういう考えだったんだ…。私は、運の違いが生む格差を社会が( d )、人々がお互いを尊重できないと思っていたんだよね。
先生:二人とも、人々がお互いを認め合って敬意を払い合う社会を望んでいたということでしょうか。
H:なるほど。Gと意見が一致している面もあるように感じていましたが、敬意という言葉はあまり考えたことがなかったですね。
G:私も、敬意という言葉を聞いて、理解が深まった気がします。二人でもう一度話し合った方がいいかもしれませんね。
先生:是非そうしてください。運の違いも努力の差も軽視しない社会の仕組みを考え付くことができるといいですね。
- a 社会が無理に埋め合わせようとせず、個人の努力をより重視する
b 努力に限界があることを認め、社会が埋め合わせようとする
c 埋め合わせると、かえってお金にばかり人の関心が向いてしまい、世の中で格差が意識されてしまうようになって
d 解決しない場合、不運な人は他の人より多くの努力を強いられるのに、その努力が評価されるとは限らないから - a 社会が埋め合わせ、努力の差を基準にして人を評価することがない
b 不平等だとしても、社会が全てを埋め合わせることには慎重である
c 解決するべき問題だと捉えることで、幸運な人が自身の財産を奪われると言って不運な人を敵視したりして
d 全て埋め合わせようとすると、幸運だとされた人は努力をしていない人だと決めつけられかねなくなって - a 個人では変えられないものと捉え、社会が責任を持って埋め合わせる
b 社会だけに責任がある問題ではないから、個人が努力で乗り越える
c 埋め合わせない場合には、自分自身で何かを成し遂げたわけでもないお金持ちの中から、お金を持っていない人を見下す人も出てきて
d 解決すべき問題だと捉えない場合、幸運な人が自身の恵まれた環境を当たり前だと思い、努力する人を評価しなくなって - a 社会のあり方で変わるものと捉え、社会ができる限り埋め合わせる
b 社会も無視できないけれど、努力が報われることの方を重視する
c 埋め合わせなかったら、自分自身が選んだわけではない家庭環境などで評価が決められてしまう社会になりかねなくて
d 埋め合わせる中で、努力まで運のおかげだということになると、努力する人は、自身が適切に評価されていないと感じてしまって
正解!素晴らしいです
残念...
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