大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和6年度(2024年度)本試験
問44 (倫理(第2問) 問5)
問題文
市民向けの講演を聞いた後で、Cは近くの図書館に行ったところ、江戸時代の平和について論じた本を紹介された。Cはその本を読み、以下のようにノートにまとめた。
ノート 江戸時代の平和について
江戸時代では「泰平(太平)」と呼ばれる平和な時代が続き、d 生まれつきの身分を固定的なものとみなす思想が社会や身分制度を支えた。また大きな内戦や対外戦争がない状況の下で、国内では産業や商業が発達した。
江戸時代中期になると、従来は蔑視されていたe 営利活動を肯定する思想も現れた。しかし幕末になると経済や政治が不安定になっていき、尊王攘夷論が多くの志士たちに影響を与えた。幕末には国内外で様々な問題が起こる中、f 横井小楠などの思想家が活躍した。
下線部eに関して、次のア〜エは、営利活動を肯定した思想家である石田梅岩についての説明である。ア〜エから適当なものを全て選んだとき、その組合せとして正しいものを、後のうちから一つ選べ。
ア 民衆を武士が支配する社会を批判し、その支配を儒教や仏教が正当化していると主張した。
イ 士農工商の身分の違いはあるけれども、それぞれが家業に勤め、社会に貢献しているという意味では同様に尊いと述べた。
ウ 商業においては、自分の利益だけではなく、相手の利益も考えて、公正な商売をするべきであると説いた。
エ 経済政策に通じ、藩の財政再建などに手腕を発揮した一方で、合理主義的な立場から無鬼論を唱えた。
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
大学入学共通テスト(公民)試験 令和6年度(2024年度)本試験 問44(倫理(第2問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)
市民向けの講演を聞いた後で、Cは近くの図書館に行ったところ、江戸時代の平和について論じた本を紹介された。Cはその本を読み、以下のようにノートにまとめた。
ノート 江戸時代の平和について
江戸時代では「泰平(太平)」と呼ばれる平和な時代が続き、d 生まれつきの身分を固定的なものとみなす思想が社会や身分制度を支えた。また大きな内戦や対外戦争がない状況の下で、国内では産業や商業が発達した。
江戸時代中期になると、従来は蔑視されていたe 営利活動を肯定する思想も現れた。しかし幕末になると経済や政治が不安定になっていき、尊王攘夷論が多くの志士たちに影響を与えた。幕末には国内外で様々な問題が起こる中、f 横井小楠などの思想家が活躍した。
下線部eに関して、次のア〜エは、営利活動を肯定した思想家である石田梅岩についての説明である。ア〜エから適当なものを全て選んだとき、その組合せとして正しいものを、後のうちから一つ選べ。
ア 民衆を武士が支配する社会を批判し、その支配を儒教や仏教が正当化していると主張した。
イ 士農工商の身分の違いはあるけれども、それぞれが家業に勤め、社会に貢献しているという意味では同様に尊いと述べた。
ウ 商業においては、自分の利益だけではなく、相手の利益も考えて、公正な商売をするべきであると説いた。
エ 経済政策に通じ、藩の財政再建などに手腕を発揮した一方で、合理主義的な立場から無鬼論を唱えた。
- アとイ
- アとエ
- イとウ
- ウとエ
- アとイとウ
- アとイとエ
- アとウとエ
- イとウとエ
- アとイとウとエ
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (1件)
01
この問題は、江戸時代の石田梅岩の思想について、営利活動の肯定という視点から正しい記述を選ぶ問題です。
石田梅岩は、商人の倫理を説いた思想家で、儒教・仏教・神道を折衷して庶民向けの道徳を説き、「石門心学」を創始しました。彼の特徴は、商業活動を道徳的に正当化し、家業に励むことが社会貢献であるという考えを広めた点にあります。
この選択肢は、アとイの2つを正しいとしています。
アは誤りです。石田梅岩は儒教や仏教を学びながら庶民の道徳を説いた思想家であり、身分社会の支配やその正当化を批判したわけではありません。
イは正しいです。梅岩は、商人・農民・武士など各身分の違いがあっても、家業に誠実に励むこと自体が尊いと説いていました。
この選択肢は、アとエを正しいとしています。
アは先ほど述べたように誤りです。
エも誤りです。藩の財政再建や無鬼論(霊や神を否定する思想)に関して活躍したのは石田梅岩ではなく、例えば儒学者である海保青陵などの合理主義者に見られる考え方です。よって、両方とも不正解です。
この選択肢は、イとウを正しいとしています。
イは正しいです。説明は上記の通りです。
ウも正しいです。石田梅岩は「正直・倹約・相手の利益を尊重する」商道徳を説き、誠実な商売を重んじました。
したがって、この選択肢は正しいです。
この選択肢は、ウとエを正しいとしています。
ウは正しいですが、エは誤りです。したがって、この選択肢は不正解です。
この選択肢は、ア・イ・ウの3つを正しいとしています。
イとウは正しいですが、アが誤りのため、不正解です。
アとエが誤りであるため、この選択肢も不正解です。
ウは正しいですが、アとエが誤りです。したがって不正解です。
イとウは正しいですが、エが誤りです。よって、この選択肢は不正解です。
アとエが誤っているため、この選択肢も不正解です。
石田梅岩の思想では、士農工商それぞれの家業が社会に貢献していることを尊重し、商業も正しく行えば尊い行いであると説かれました。アは誤りで、イとウが正しい内容です。エは石田梅岩ではなく、海保青陵の説明です。正解を導くためには、それぞれの思想家の特徴を正確に理解していることが必要です。
参考になった数0
この解説の修正を提案する
前の問題(問43)へ
令和6年度(2024年度)本試験 問題一覧
次の問題(問45)へ