大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和6年度(2024年度)本試験
問45 (倫理(第2問) 問6)
問題文
市民向けの講演を聞いた後で、Cは近くの図書館に行ったところ、江戸時代の平和について論じた本を紹介された。Cはその本を読み、以下のようにノートにまとめた。
ノート 江戸時代の平和について
江戸時代では「泰平(太平)」と呼ばれる平和な時代が続き、d 生まれつきの身分を固定的なものとみなす思想が社会や身分制度を支えた。また大きな内戦や対外戦争がない状況の下で、国内では産業や商業が発達した。
江戸時代中期になると、従来は蔑視されていたe 営利活動を肯定する思想も現れた。しかし幕末になると経済や政治が不安定になっていき、尊王攘夷論が多くの志士たちに影響を与えた。幕末には国内外で様々な問題が起こる中、f 横井小楠などの思想家が活躍した。
下線部fに関して、次の資料は、明治政府で活躍した井上毅(いのうえこわし)が、若き日に横井小楠と対話した内容を筆記したものである。横井小楠の思想と資料の内容の説明として最も適当なものを、後のうちから一つ選べ。
資料 『沼山対話(しょうざんたいわ)』より
(井上毅からの問い)
開国後の道筋として、海軍を興して世界に進出していくやり方があります。もう一つは、人類はみな兄弟であるという考え方から、胸襟を開き、諸外国と貿易をするというやり方です。
(横井小楠からの答え)
軍事力を使って世界に進出するというのはそもそも「公共の天理」に反しています。日本が世界に参入していくということは、「公共の天理」に従って、現在世界で起こっている紛争を解決して見せるという気概がないといけません。むやみに軍事力にまかせて国威を張るつもりであれば、後の日本に災いを及ぼします。
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問題
大学入学共通テスト(公民)試験 令和6年度(2024年度)本試験 問45(倫理(第2問) 問6) (訂正依頼・報告はこちら)
市民向けの講演を聞いた後で、Cは近くの図書館に行ったところ、江戸時代の平和について論じた本を紹介された。Cはその本を読み、以下のようにノートにまとめた。
ノート 江戸時代の平和について
江戸時代では「泰平(太平)」と呼ばれる平和な時代が続き、d 生まれつきの身分を固定的なものとみなす思想が社会や身分制度を支えた。また大きな内戦や対外戦争がない状況の下で、国内では産業や商業が発達した。
江戸時代中期になると、従来は蔑視されていたe 営利活動を肯定する思想も現れた。しかし幕末になると経済や政治が不安定になっていき、尊王攘夷論が多くの志士たちに影響を与えた。幕末には国内外で様々な問題が起こる中、f 横井小楠などの思想家が活躍した。
下線部fに関して、次の資料は、明治政府で活躍した井上毅(いのうえこわし)が、若き日に横井小楠と対話した内容を筆記したものである。横井小楠の思想と資料の内容の説明として最も適当なものを、後のうちから一つ選べ。
資料 『沼山対話(しょうざんたいわ)』より
(井上毅からの問い)
開国後の道筋として、海軍を興して世界に進出していくやり方があります。もう一つは、人類はみな兄弟であるという考え方から、胸襟を開き、諸外国と貿易をするというやり方です。
(横井小楠からの答え)
軍事力を使って世界に進出するというのはそもそも「公共の天理」に反しています。日本が世界に参入していくということは、「公共の天理」に従って、現在世界で起こっている紛争を解決して見せるという気概がないといけません。むやみに軍事力にまかせて国威を張るつもりであれば、後の日本に災いを及ぼします。
- かつて自らのよりどころにしていた儒教を時代遅れのものとして批判し、 西洋の平等思想を受容した横井小楠は、資料において、軍事力を増強し国力を高める日本のあり方を「公共の天理」に反すると論じている。
- 古代中国の先王や聖人たちの道を理想としつつ、西洋文化の摂取も説いた横井小楠は、資料において、国内での政治的対立を収束させるために、「公共の天理」に基づくことを主張している。
- 天皇を尊崇し外国を排斥する思想を唱えた横井小楠は、資料において、紛争を解決するために、軍事を国家の最優先事項に置くことが「公共の天理」に基づくあり方だと述べている。
- 堯(尭)・舜が行ったような理想的政治を追求した横井小楠は、資料において、世界の様々な紛争を、日本が覇権的な武力の行使によらない仕方で解決することが、「公共の天理」に基づくあり方だと示している。
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