給水装置工事主任技術者の過去問
令和2年度(2020年)
公衆衛生概論 問1
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問題
給水装置工事主任技術者試験 令和2年度(2020年) 公衆衛生概論 問1 (訂正依頼・報告はこちら)
化学物質の飲料水への汚染原因と影響に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
- 水道原水中の有機物と浄水場で注入される凝集剤とが反応し、浄水処理や給配水の過程で、発がん性物質として疑われるトリハロメタン類が生成する。
- ヒ素の飲料水への汚染は、地質、鉱山排水、工場排水等に由来する。海外では、飲料用の地下水や河川水がヒ素に汚染されたことによる、慢性中毒症が報告されている。
- 鉛製の給水管を使用すると、鉛はpH値やアルカリ度が低い水に溶出しやすく、体内への蓄積により毒性を示す。
- 硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素は、窒素肥料、家庭排水、下水等に由来する。乳幼児が経口摂取することで、急性影響としてメトヘモグロビン血症によるチアノーゼを引き起こす。
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この過去問の解説 (1件)
01
まず、この問題は「不適当なもの」を選択する問題であることに注意しましょう。
この文章中で間違っているキーワードは「凝集剤」です。
トリハロメタン類が生成する可能性があるのは、凝集剤を注入した場合ではなく、「塩素消毒」した場合です。
ですので、この記述は「不適当なもの」となります。
ヒ素による汚染は、可能性として、自然由来のものか、人の手によって生じたもの、があります。
自然由来のヒ素は、例えば地層に含まれるヒ素が火山活動などにより溶け出し、それが地下水や河川水と混ざってしまう可能性があります。地層に含まれるヒ素は、地下資源を採掘する鉱山からの排水から流出する可能性もあります。
工場排水は、国が定めた法律により厳しく規制はされているものの、基準値を超えるヒ素が検出されるケースはゼロではありません。
ある国では、いままでため池の水などを飲用水に使っていたものを、細菌による汚染があったため、水源を地下水に変えたところ、基準値以上のヒ素が検出され、ヒ素中毒患者がたくさん報告されました。
このヒ素汚染も、人為的なものではなく、自然に由来するヒ素が原因であるとされています。
鉛は酸性条件下で溶出しやすく、中性からアルカリ条件では溶出しにくい、という性質があります。
体内に吸収された鉛は、肝臓や腎臓、骨などに蓄積され、慢性化すると、痙攣や貧血、腹痛、人格の変化など、さまざまな障害があります。
ちなみに、給水管には種類がありますが、現在日本では、新しく使用する給水管で、鉛を使ったものは禁止されています。
しかし、古い建物では鉛管が残っている可能性があるので注意が必要です。
空気中や土の中、肥料の中に存在する窒素が微生物に分解されたり、化学反応により酸化したりすることで、植物が栄養素として吸収できるようになったものを、硝酸態窒素と言います。
この状態になると、植物が窒素を根から吸収できるようになります。
家畜の糞や尿、生活排水も、微生物などにより、硝酸態窒素を生成します。
この硝酸態窒素が体内に入ると一部が還元され亜硝酸態窒素になります。
この亜硝酸窒素は、血液中のヘモグロビンを酸化し、メトヘモグロビンに変化させます。
このメトヘモグロビンは酸素を運ぶ力がないため、体内では、酸素が足りない状態になります。
特に乳幼児の体内では、亜硝酸窒素が作られやすいため、症状が激しくなり、酷い場合は窒息死してしまいます。
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