給水装置工事主任技術者の過去問
令和2年度(2020年)
給水装置の概要 問41

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この過去問の解説 (1件)

01

この問題は「不適当なもの」を選択する問題です。

選択肢1. 硬質ポリ塩化ビニル管は、耐食性、特に耐電食性に優れ、他の樹脂管に比べると引張降伏強さが大きい。

この記述は「正しい」です。

塩化ビニル管は、ポリ塩化ビニルで出来た配管素材のことです。鉄製の管に比べて軽く、腐食しにくいという特徴があります。これは、塩化ビニル管の吸水率が低いためで、雨による経年劣化が起きにくいため、耐食性があると言われています。

電食作用とは、電気化学的な作用により、金属が腐食することです。この塩化ビニル管は電気絶縁性に優れており、高電圧にも耐えうる素材と言えます。

引張降伏は、「引張強度」と「降伏強度」のことで、「引張強度」はその材料が、どれくらい壊れにくいか、材料が耐えうる最大の力が何かを表したもので、「降伏強度」はその材料が壊れる前のひずんで形がもう元には戻らないところを表したものです。

選択肢2. ポリブテン管は、有機溶剤、ガソリン、灯油等に接すると、管に浸透し、管の軟化・劣化や水質事故を起こすことがあるので、これらの物質と接触させないよう注意が必要である。

この記述は「正しい」です。

ポリブテン管は、ポリオレフィン系樹脂ポリブテンで作られた合成樹脂管のことで、側鎖にエチル基を持っています。ポリオレフィンとは、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのように、炭素と水素で構成されていて、燃やすと水と二酸化炭素になる樹脂の総称のことです。

ポリブテン管は、外部からの力に対して高い耐性を持つ一方、油や有機溶剤に弱いことがデメリットとして挙げられます。ですので、このようなものと一緒に保管をしてはいけません。

選択肢3. 耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管は、硬質ポリ塩化ビニル管を外力がかかりやすい屋外配管用に改良したものであり、長期間直射日光に当たっても耐衝撃強度が低下しない。

この記述が「不適当なもの」です。

耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管は、HI管(HIVP管)と呼ばれています。VP管(硬質塩化ビニル管)よりも衝撃に強くしたものです。VP管にゴム特性を有するものを混ぜて粘り強くされており、工事の際、外部衝撃により破損する恐れがある所や寒冷地で使用され、地震にも強い耐性があります。可撓性(かとうせい)があり、柔らかく、曲げることができるのも特徴の一つです。

しかし、HI管は紫外線により劣化してしまい、耐衝撃性が低下する可能性がありますので、記述は間違っています。

選択肢4. ステンレス鋼鋼管は、鋼管に比べると特に耐食性が優れている。また、薄肉だが強度的に優れ、軽量化しているので取扱いが容易である。

この記述は「正しい」です。

ステンレス鋼鋼管(こうこうかん)は、ステンレス鋼という12%以上のクロムを含む鉄合金で作られた鋼管のことです。一方鋼管は鋼鉄製の管のことで、一般的に材質は鉄と炭素の合金です。

ステンレス鋼鋼管はサビにくいという特徴があり、これは含まれているクロムの原子が空気中の酸素や水と反応し、薄い膜を作って酸化を防いでいるからです。この膜が金属を保護してくれるので、耐食性に優れています。

鋼管が薄肉(うすにく)とは、管の厚さが薄いことをいいます。これにより軽量化しています。その分強度はどうかと言われると、強度も優れていて、環境によっては半永久的な耐久性があると言われています。

選択肢5. 架橋ポリエチレン管は、長尺物のため、中間での接続が不要になり、施工も容易である。その特性から、給水・給湯の住宅の屋内配管で使用されている。

この記述は「正しい」です。

架橋ポリエチレン管とは、ポリエチレン管の一種ではありますが、ポリエチレンとは全く違うものです。ポリエチレン管の弱点であった耐熱性を改良するために、ポリエチレンの樹脂に処理を施し、高分子の鎖を網のように繋がった構造にしたものが、架橋ポリエチレン管です。こうすることで熱に対して強くなりました。そのおかげで、給湯管としても利用できるようになりました。

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