看護師の過去問
第104回
午前 問98

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問題

看護師国家試験 第104回 午前 問98 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み、問いに答えよ。

Aさん(72歳、男性)は、アパートの1階に1人で暮らしている。家族や親戚はいない。15年前から心不全(heart failure)のために利尿薬を毎朝内服している。半年前に要支援2の認定を受け、介護予防通所介護を週に2回利用している。早朝、Aさんは玄関の外で座り込んでいるところを近所の人に発見され救急搬送された。来院時、体温37.4℃、呼吸数20/分、脈拍98/分、血圧100/70mmHgであった。血液検査と尿検査の結果、脱水症と診断された。

外来で点滴静脈内注射が開始され、入院した。夕方からAさんの表情に落ち着きがない様子や看護師の説明を聞かない様子がみられた。夜間から朝までぶつぶつと独り言を話していた。Aさんの看護で最も適切なのはどれか。
  • 夜間の病室内の照明を消す。
  • 日中に車椅子での散歩を介助する。
  • Aさんに点滴を抜かないように説明する。
  • 夜間は睡眠導入薬の処方を医師に依頼する。

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この過去問の解説 (3件)

01

1.誤りです。夜間の強い光は睡眠を妨げ、せん妄を助長する恐れがありますが、真っ暗にしてしまうことも患者の不安を招き、せん妄を助長する恐れがあります。豆電球程度の明るさに調整することが望ましいです。

2.正解です。散歩などを通して日中活動量を確保することは、昼夜のリズムをつけるという点で、せん妄予防における重要なポイントといえます。

3.誤りです。点滴の自己抜針予防は必要ですが、せん妄状態の患者には口頭説明だけでは不十分な場合があります。夜間の輸液を控るよう医師に相談したり、患者の目に触れないよう刺入部を保護するなどの対策を講じることが必要です。

4.誤りです。夜間の睡眠確保は必要ですが、最初から睡眠剤を使用することは望ましくありません。周囲の環境を整えるなどの工夫から実施し、それでも改善が見られない場合に睡眠剤を検討していきます。

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02

正解は2です。

せん妄は認知症に似た認知機能の低下や精神症状を伴いますが、認知症とは異なり、可逆的で一過性に経過するものです。環境変化などの因子はせん妄を誘発しやすく、急な入院になったことや高齢であることから、A氏の状態はせん妄であると判断できます。

1.正解。症状の出現は時間的に変動があり、昼間よりも夜間に多く発生します。昼夜のリズムをつけることは入眠をスムーズにさせますが、独語や落ち着きのなさが見られている現段階では、せん妄症状の悪化や転倒などのリスクが高く、適切ではありません。

2.誤り。昼夜のリズムを整えることはせん妄の軽減および改善に効果的です。日中の覚醒を促すための散歩の介助は有効であると考えられます。

3.誤り。独語や落ち着きのなさが見られている現段階では、認知力や理解力が十分であるとは考えづらく、A氏への直接の説明による指導は適切ではありません。

4.誤り。睡眠導入剤の使用はせん妄を悪化させる場合もあることから、第一に優先する選択肢ではありません。

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03

答えは2です。

Aさんは72歳の高齢、急な入院、点滴による身体の制限、「夕方から落ち着きがなく看護師の説明を聞かない様子」「夜間から朝にかけて独り言を話している」という点から、夜間譫妄が考えられます。
この設問は、「最も適切」なものはどれかと聞かれています。

1.昼夜の区別をつけるために、夜間は部屋を照明を消すことは必要です。しかし、真っ暗になると譫妄の悪化や転倒の危険性が高まります。真っ暗にするのではなく、フットランプなど適度な明かりをつけておく配慮が必要だと考えられます。

2.夜間に睡眠がとれていないことから、昼夜逆転が考えられます。生活のリズムを整えることが譫妄の予防にもつながるので、日中に散歩をするなど覚醒と気分転換を図ることは、効果的だと考えます。

3.看護師として点滴を抜かいないように説明することは必要ですが、Aさんは譫妄状態であり、説明を理解できない可能性があります。まずは環境整備など、自己抜去予防に努める必要があると考えられます。

4.夜間、睡眠がとれない患者さんに睡眠導入剤の処方を依頼することは看護師の役割ですが、譫妄の患者さんに投与することで譫妄の悪化や転倒・転落を起こす可能性もあります。まずは薬剤ではなく、譫妄予防の看護を試みることが優先だと考えられます。

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