看護師の過去問
第104回
午前 問120

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問題

看護師国家試験 第104回 午前 問120 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み、問いに答えよ。

山間部の地域で、1時間雨量80mm以上の降雨で土石流が発生し、地域の住民は市民体育館に避難した。避難所には近くの医療機関から医師と看護師とが派遣された。

看護師のAさんは、土石流の発生直後から被災地に1か月派遣された。その後、病院に戻り3か月が経過した。Aさんは勤務中に表情が乏しく考え込む様子がみられた。Aさんへの看護管理者の対応として最も適切なのはどれか。
  • 忙しい部署に異動させる。
  • 仕事に専念するよう伝える。
  • すぐに忘れるものだと励ます。
  • 体験を語ることができる場を設ける。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は「4」です。
Aさんの状況・症状から心的外傷後ストレス障害(PTSD)が疑われます。PTSDへの看護のポイントを押さえておくことが大切です。

1 . ×
かえって逆効果となるため不適切です。Aさんには十分な休養と心のケアが必要となり、長期的な支援が必要です。

2 . ×
仕事に専念することで忘れられるものではありません。

3 . ×
Aさんは災害直後から被災地にて過ごしたことにより、非日常的な強度の強い外傷的ストレスを受けています。これにより、フラッシュバックやサバイバース・ギルト(大勢の人が亡くなったのに自分は逃れたという罪の意識)、不眠、集中困難、感情麻痺等の症状が現れます。すぐに忘れるものだと励ますことは逆効果であり、Aさんと向き合い心のケアを行っていくことが大切です。

4 . 〇
十分な休養の他、Aさんの気持ちの整理を行うためにAさんの体験や思いを表出する場を設けることはとても重要です。ゆっくりとAさんのペースに合わせて一緒に解決していくことが大切です。

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02

正解は 4 です


1:×
「勤務中にも表情が乏しく考え込む」様子が見られていることから、非日常的な経験がフラッシュバックしてしまい、精神的な負担となり、日常生活に支障をきたしてしまう直前の状況と推測されます。
このような状態のスタッフを忙しい、つまり精神的に余裕のない部署に移動させることは、気持ちを抑圧させ、更なる精神的負荷をかけることになってしまうため、本人からの希望があったとしても避けるべきでしょう。


2:×
現在のAさんは、精神の防御反応として、派遣時の経験やその際に直面した危機的気分を無意識のうちに反芻し、精神的に消化しようとしている状態です。
これは本人が意識的に行っているわけではなく無意識の行動で、いわゆるフラッシュバックにも近い状態です。

そこに他スタッフ(特に上の立場である看護管理者)から「仕事に専念せよ」と指摘されることは、無意識に行ってしまう精神的な防御反応を抑圧し、精神的に追い詰める行為です。管理者という立場の人物が行うにしてはやや無神経な行為であり、思いやりに欠けた行動といえるでしょう。


3:×
上記の選択肢の解説でも記載した通り、Aさんが派遣時の経験を反芻するように何度も思い出し、どうするべきだったか考え込んだり、反省したりというのはストレスに対する精神的な防御反応の一種ともいえ、フラッシュバックに近いものです。
それを励ましとはいえ「すぐに忘れるものだから」と述べるのは、管理者という立場の者としては無責任だと言えるでしょう。

確かに人によっては時間とともに忘れていき、何事もなく日常生活に戻る人もいるかもしれませんが、だからといって何も対策を取らなくて良いという理由にはなりません。


4:○
管理者との1対1の面談でも、また今後災害現場への派遣を目標としている他スタッフへ対しての講演でも、何らかの形で経験したことを言語化して、発表できる場を設けることは気持ちを整理するにあたり、効果的な行動と考えられます。

衝撃的な体験をして、それが精神的に消化できない状態でいる場合、言語化することで、自分が感じたことや当時の判断の流れなどを客観的に振り返ることができ、気持ちに整理をつけやすくなるということが知られています。

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03

非日常的な業務に携わったことが影響にあると考えます。気持ちの整理がついていない状況ともいえるので、忙しい部署に異動させてしまうのは逆効果です。

仕事に専念させるより、休暇などの休息が必要です。

忘れさせる、励ますということもこのケースでは不適切と考え、気持ちの整理がつくように体験を語る場の設定が必要です。
よって4.となります。

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