看護師の過去問
第104回
午後 問229

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問題

看護師国家試験 第104回 午後 問229 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み、問いに答えよ。

Aさん(52歳、女性、専業主婦)は、夫と2人の息子との4人で暮らしている。Aさんは内向的な性格であり、順番にまわってきた町内会の役員を引き受けたことで悩むことが多くなった。2か月前から食欲不振と不眠が続いている。1か月前から家事ができなくなり、死んでしまいたいと言い始めたため、夫が付き添って精神科を受診したところ、うつ病(depression)と診断された。

入院後1か月。Aさんは「私は役に立たない人間です。昔から妻や母親としての役割を果たせていませんでした」と発言している。食事は3分の2を摂取できるようになり、夜間も眠れていることから、主治医は認知療法への参加を勧めた。
この時点の認知療法で修正するのはどれか。
  • 内向的な性格
  • 低下した意欲
  • Aさんと息子との親子関係
  • 自分は役に立たない人間だという考え方

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この過去問の解説 (3件)

01

1.✖
認知行動療法により、性格が変化することもあります。しかし、性格の情報から認知療法によって修正が望めるものではありません。
2.✖
設問にある様に、眠れている、食事もとれつつあることから、意欲の改善がみられています。
3.✖
親子関係は認知療法で改善できません。
4.〇
認知の修正を目的としたものが認知療法です。自分は役に立たない人間だという考えを修正していくことが目的となります。

よって正解は4です。

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02

正解は 4 です

認知・行動療法とは、「認知」(現実の出来事の受け取り方やものの見かた)に対し、はたらきかけ、出来事が起こった際に自分自身の中で受け止めたり、考えたりする内容をバランスの良いものになるよう調整し、受けるストレスを減少できるようにする治療法です。
出来事に対して自分がどう考え、受け止める傾向があるのかを自覚し、受けるストレスを軽減できるよう、柔軟な発想を対処法として学んでいきます。

1:×
内向的な性格は確かにうつ病的な思考を引き起こすかもしれませんが、それも含めてAさんの特色であり個性です。それを否定し改変しようとするのは治療行為とはいえません。

認知・行動療法では内向的な性格は前提条件として、その性格も受け止めて「内向的だからこういった認識になりやすくなる」という自己分析に役立て、認識をコントロールしていく方法を学びます。


2:×
確かに入院時には意欲低下がみられ、食事摂取量も少なくなっていましたが、現時点では3分の2は摂取できるようになっており、また発語の内容も入院当初の「なにもしたくない」というものから「自分は役に立たない」というものへ変化しています。
認知・行動療法はその「役に立たない人間である」という認識を改めていけるよう働きかける治療法ですので、この選択肢は誤りです。


3:×
設問中には息子との関係性についての情報は記載されておらず、この選択肢を選ぶに値する根拠がありません。
うつを発症した要因が親子関係によるものだという確証がない限りは息子との関係についてどうこうすることはありません。


4:○
選択肢2の解説にも記載した通り、「自分は役に立たない人間である」という認識に対しアプローチし、Aさん自身が自分に対して抱くセルイメージを正しく、またポジティブなものにできるようにするのが認知・行動療法の役割です。

例えば自分が抱く理想と現実の乖離を自覚し、なぜ乖離を起こすのか、抱く理想が高すぎたりはしないか、また理想通りにこなせなくとも、現時点でできている点を正当に評価し、決して役に立っていないわけではない、とAさん自身の「考え方」を柔軟にコントロールできるようにすることが特徴です。

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03

正解は4です。

認知療法は、患者が自らの否定的自動思考に気づき、適切な思考に修正できるように働きかける療法です。

この場合は、Aさんが自分を否定している考え方を、適切な考え方に修正できるように働きかけます。

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