看護師の過去問
第104回
午後 問231

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問題

看護師国家試験 第104回 午後 問231 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み、問いに答えよ。

A君(8歳、男児)は、携帯型電子ゲームやサッカーが好きである。A君は宿題をしているときに、突然意識を失い、10数秒持続する四肢の屈曲を伴うけいれんを起こした。その後、全身の筋肉の収縮と弛緩を繰り返すけいれんが10秒程度続き、A君の呼吸は停止しチアノーゼが認められた。けいれんが終了し呼吸は回復したが、意識障害が持続していたため病院に救急搬送された。

A君の意識は徐々に回復したが、健忘が認められる。頭部CT検査で頭部外傷は認められなかった。A君は、てんかん(epilepsy)の疑いで入院した。
A君に対する検査で優先度が高いのはどれか。
  • 脳波検査
  • 知能検査
  • 人格検査
  • 脳脊髄液検査

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この過去問の解説 (3件)

01

1.〇
痙攣があり、てんかんが疑われる場合には脳波検査が必須です。
2.✖
知能検査により、知能指数や精神年齢が分かりますが、優先度は低いです。
3.✖
人格特性を理解する検査で優先度は低いです。
4.✖
感染時や炎症反応を調べたい時などに行うものです。

よって正解は1です。

参考になった数1

02

正解は 1 です


てんかんとは、突然意識を失い、反応がなくなる等の「てんかん発作」を繰り返す病気です。
WHOの定義では「脳の慢性疾患」であり、ニューロン(脳内の神経細胞)に突然発生する激しい電気的興奮(「過剰な反射」と表現されます)により、繰り返す発作を特徴とし、それに様々な臨床症状や検査の異常が伴うもの、と定義されています。

その症状や原因は人によって様々で、年齢や性別、あるいは国や人種も関係なく発病します。


発作が起きた際の症状は個人ごとにほぼ一定で、発病時に見られた発作がその後も続きます。
脳のどの部分で興奮が起こったかによりますが、脳の一部で興奮(部分発作)が起こった場合

・後頭葉の視覚野での興奮:本人の視野内に光がチカチカと見える
・前頭葉・一次運動野等の四肢等の動きを司る部位での興奮:手や足などがピクピクと動く
・側頭葉での興奮:前胸部不快感や既視感

など、本人のみが感じるものから客観的に観察できるものまで様々です。



電気刺激が脳全体に波及した場合、意識を失ったり、倒れて全身を痙攣させる等様々な症状が出現し、その間本人は意識を失っていますので、周囲の状況は全く分からなくなり、声かけにも反応しません。

痙攣の種類にも様々あり、

・間代発作:一般的にいわゆる「けいれん」として知られると呼ばれる手足をガクガクと一定のリズムで曲げ延ばしする動き。一般には数十秒で治まるが時に1分以上続く場合もある。
・強直発作:突然手足を突っ張らせて体全体を硬くし、歯を食いしばって呼吸も止まる。意識は消失しており、そのまま倒れて負傷することもある。数秒〜数十秒間持続する。
・欠神発作:十数秒と非常に短時間のあいだ、意識消失が突然起こる(会話の間に少し黙り込み、不思議に思って何度か声かけすると返答が返る、というような様子)。倒れたり痙攣を起こしたりはしない。
・脱力発作:全身の筋肉の緊張が抜けて崩れるように倒れこむ。数秒以内で治まるため、てんかん発作とは気づかれにくいこともある。
・ミオクロニー発作:全身や手足が一瞬ピクッと動く。
・複雑部分発作:感覚や感情の変化、特殊な行動など様々な症状があらわれる。

などがあります。



1:○
上記にも記載したとおり、てんかん発作が起こる要因はニューロンに突然発生する電気的興奮のため、検査としてはまず脳波測定を行います。

正常な場合の脳派は小さなさざ波のような波形をしていますが、てんかん発作が起こると棘のような特徴的な波形(棘派/きょくは)を示すため、その波形を観察することで、確定診断の材料とします。

電気興奮が起こる場所により波形も異なるため、その波形を観察することで発作型の分析も行います。

乳幼児では脳が未熟なために、てんかん時の波形を測定しにくいこともあり、成長とともに繰り返し脳波を記録することが必要になるうえ、てんかんの中には脳波検査で異常な波を確認しにくいものもあり、脳波も常に一定ではないため、検査は複数回行われます。


2:×
設問中にはA君に精神的な発達の遅れがあることを示す情報は見られないため、特に知能検査は必要ありません。


3:×
てんかんで人格障害を起こすことはありませんので、人格検査は必要ありません。


4:×
てんかんは脳炎と同じように幻覚をともなう症状が出ることはありますが、脳内の電気刺激による異常のため、脳脊髄液を検査しても感染兆候等の異常が発見されることはありません。


参照
知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス てんかん-厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_epilepsy.html

てんかんとは てんかん発作の種類・画像解説-てんかんinfo
https://www.tenkan.info/about/epilepsy/about_04.html

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03

正解は1です。

てんかんの診断・評価には脳波検査を行うのが望ましいとされています。

髄液検査は中枢神経感染症が疑われる場合に施行されます。

発達をみる場合は知能検査、精神科では性格(人格)検査が行われることもあります。

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