看護師の過去問
第105回
午前 問86

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問題

看護師国家試験 第105回 午前 問86 (訂正依頼・報告はこちら)

Aさん(35歳、女性、会社員)は、動悸、手指の震え及び体重減少があり、受診したところ、頻脈と眼球突出とを指摘され抗甲状腺薬の内服を開始した。Aさんは看護師に「仕事のストレスは寝る前にビールを飲むことで解消するようにしているが、ちょっとしたことでイライラして眠れない」と話した。
Aさんへの説明で適切なのはどれか。2つ選べ。
  • 「仕事を休みましょう」
  • 「禁酒する必要があります」
  • 「積極的に運動しましょう」
  • 「発熱したときは受診してください」
  • 「病気が原因でイライラしやすくなります」

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この過去問の解説 (3件)

01

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)では、新陳代謝をつかさどる甲状腺ホルモンが過剰に分泌された状態で、体の全身に影響を及ぼします。

症状としては、頻脈、動悸、多汗、手指の振戦、暑さに弱くなる(疲れて動けなくなる、寒さを感じにくくなる)、ほてり、高血圧、食欲の亢進、体重減少、眼球突出などのほか、不安感やイライラなど精神的にも情緒不安定になります。

治療で使用される抗甲状腺薬にはメルカゾール、プロピルチオウラシルが使用されます。副作用には発疹、薬疹が最も多く、薬剤性肝障害、好中球減少症(顆粒球減少症と同義語)などがあります。

無顆粒球症の発症率は0.2%程度とされていますが、発症は突発的で予想が出来ないので、患者には必ず説明をしておく必要があります。薬剤を中止し、早期に治療をする事で回復します。

1 . 「仕事を休みましょう」
×不正解
体全体の代謝が上がるので、患者が体力仕事に従事している時は辛いかもしれません。しかし、仕事を休む、休まないは体調によります。
しかし、仕事に対しての訴えは飲酒でストレス解消しているとの事で、様子を見る必要はありますが、重要なポイントではありません。よって、不正解です。

2 . 「禁酒する必要があります」
×不正解
飲酒によって、代謝が良くなることにより脈がさらに速くなる可能性があります。症状が思わしくない場合は禁酒するように勧められる事はありますが、今の段階では禁酒する必要がある段階とは言えないので、不正解です。

3 . 「積極的に運動しましょう」
×不正解
Aさんは頻脈を指摘されているため、心臓には負担がかかっている状態です。運動によって、さらに脈が速くなり、胸痛を訴える事もあります。
運動は控えるほうがよい状態なので、不正解です。

4 . 「発熱したときは受診してください」
○正解
抗甲状腺薬による副作用で、無顆粒球症は頻度は高くないですが、知っておくべき副作用です。易感染状態になるので、38℃以上の高熱がある時には受診が必要です。なので、正解です。

5 . 「病気が原因でイライラしやすくなります」
○正解
元々穏やかな性格でも、甲状腺機能亢進症になることで精神的に不安定になり、イライラしやすくなります。よって、正解です。
薬が効いて、甲状腺ホルモンが正常値になればイライラは収まってきます。

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02

正解は4、5です。

甲状腺機能亢進症はバセドウ病や甲状腺炎などの疾患により、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されて起こります。
新陳代謝が異常に亢進し、動悸や多汗、手指の振戦、体重減少、食欲の亢進などの身体症状の他に、不安感、イライラなどの精神症状などが現れます。

1.誤り。甲状腺ホルモンが安定するまでは、長時間で疲労度の高い仕事は控える必要がありますが、仕事を休む必要はありません。

2.誤り。禁酒する必要はありませんが、酒は適量を守って飲むことが望ましいとされています。

3.誤り。甲状腺機能亢進症では心拍数の増加等により、心臓に負担がかかっている状態です。内服により、甲状腺ホルモンが安定するまでは運動は避ける必要があります。

4.正解。抗甲状腺薬の副作用に無顆粒球症があります。これは白血球中の顆粒球が減少することで細菌感染しやすくなるものです。発熱した場合、この無顆粒球症を疑い、白血球数の検査が必要です。

5.正解。甲状腺機能亢進症の症状に不安感や焦燥感、イライラがあります。

参考になった数1

03

抗甲状腺薬の副作用には無顆粒球症があり、白血球を構成している顆粒球が減少することを言います。感染症をおこしやすくなり、高熱がでます。
甲状腺機能が亢進するとイライラや不安感などの症状があります。

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