炎症とは、体の防御反応で、細菌やウイルスなどが外界から侵入すると、体の防御機構が働き、外敵をしりぞけようとします。その戦いのことを言います。例えば、虫刺されの場合、刺された部分は赤くなり、腫れ、熱を持ち、痛痒くなります。このように、炎症が起こると患部が腫脹、発赤、熱感、疼痛が起こります。さらに虫刺されの例では分かりにくいですが、機能障害(その部位が動かなくなる)ということも起こります。最初の4つまでで四徴候、機能障害まで含めて五徴候と言います。これら四徴候は血液が炎症部位に集まるため(浸潤)起こります。血液が集まりますので赤くなり、血液がたくさんたまるので腫れます。膨らむので、神経や皮膚を圧迫して痛みが出現し、血液は熱いので熱を持ちます。
急性炎症とはその名の通り、炎症が起きてすぐの時期のことを言います。慢性炎症とは急性炎症が長期化した状態を言います。急性炎症は割とすぐ完治するのに対し、慢性炎症はなかなか治らない、完治しない場合もあります。緩やかに症状が進行するのも特徴です。
1.炎症が起きている場合、白血球の働きにより治癒に向けて、ホメオスタシスを維持しようとします。急性炎症の場合は白血球の中でも、特に好中球が、慢性炎症の場合はリンパ球とマクロファージが浸潤(集まること)します。
2.CRPとは、C反応性蛋白の略です。C反応性蛋白とは、組織の破壊が起きているときに血中に現れるタンパク質のことを言います。そのため、CRPは炎症の指標として、採血で一般的に測定されています。CRPが上昇すればするほど、強い炎症の状態にあるということになります。急性炎症でも慢性炎症でもCRPの上昇は見られます。
3.1.でも述べたように、急性炎症では好中球が、慢性炎症ではリンパ球などが浸潤します。
4.形質細胞とは、B細胞が分化した細胞のことで、各種の免疫グロブリン(抗体)を作り出すリンパ球系の細胞です。慢性炎症の肉芽組織中に出現(浸潤)することが多いです。
5.炎症が起こると、ヒスタミンが放出されます。通常血管と内皮細胞はくっついているため、白血球などの分子量の大きいものは血管外へ出られません。しかし、ヒスタミンの作用により、細胞と細胞の間に隙間ができ、白血球などの分子量が大きいものでも血管外に出ていくことが可能となるのです。水分も外に出ることができますので、浮腫が出現したり、浸出液が出現したりします。想像しやすいところだと、鼻水です。鼻の粘膜に炎症が起き、白血球や水分が血管外へ出られるようになったことで、鼻水が作られます。この状態を血管透過性の亢進と言います。血管透過性の亢進は急性炎症の特徴です。