看護師の過去問
第107回
午後 問181

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問題

看護師国家試験 第107回 午後 問181 (訂正依頼・報告はこちら)

Aさん( 80歳、男性 )は、20年前に大腸癌( colorectal cancer )でストーマを造設し、現在週1回の訪問看護を利用している。訪問看護師は、訪問時にAさんから「2日前から腹痛がある」と相談を受けた。Aさんのバイタルサインは、体温36.4℃、呼吸数24/分、脈拍84/分、血圧138/60mmHgである。
訪問看護師がAさんの腹痛をアセスメントするための情報で最も優先度が高いのはどれか。
  • 排便の有無
  • 身体活動量
  • 食物の摂取状況
  • ストーマ周囲の皮膚の状態

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この過去問の解説 (3件)

01

1.正解です。
腹痛のアセスメントを行う際は、排便が適切になされているかを確認することが重要です。

2.誤りです。
身体活動量が低下すると便秘などによる腹痛を引き起こす可能性があるため、観察は必要です。しかし本設問においてもっとも優先的に確認すべきは排便の有無です。

3.誤りです。
食事摂取内容によっては食中毒などによる腹痛を引き起こしたり、腹痛による食事摂取がみられることがあるため、観察は必要です。しかし本設問においてもっとも優先的に確認すべきは排便の有無です。

4.誤りです。
ストーマ周囲の皮膚状態の観察は大切ですが、ストーマ周囲に皮膚トラブルがあると、腹痛ではなく表面的な痛みとなることが多いです。

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02

正解は1です。

1.それまで毎日あった排便が急になくなり、腹痛・腹満・吐き気などの症状が現われてくれば、腸閉塞が疑われます。早めに医師の診察を受ける必要があります。看護師として、まず排便状況の確認が必要です。

2.医師の許可があれば、いくつか注意点がありますが、今まで通りの活動が可能です。身体活動量が多いために、腹痛を起こすことは考えにくいです。

3.基礎疾患による食事制限以外の制限は不要で、バランスの良い食事、食べすぎには注意して、食生活を送る必要があります。

4.便や腸液が長い間皮膚に付いていたり、皮膚を不潔にしていたり、または装具や粘着剤が肌に合わない場合、ストーマ周囲の皮膚炎は生じやすいです。かぶれて赤くただれたり、水疱になったりします。皮膚炎が原因で、腹痛は考えにくいです。

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03

ストーマとは、消化管や尿路の疾患などにより腹壁外に便または尿を排泄するための排泄口のことを総称したものです。ストーマには便が排泄される消化管ストーマ(人工肛門)、尿が排泄される尿路ストーマ(人工膀胱)、またはその両方が増設されている場合があります。
バイタルサインは呼吸数が若干多いように思いますが、これだけではアセスメントできません。さらにもう一つ重要な情報として「2日前から腹痛がある」という情報があります。
人工肛門増設されているということは、腹部の手術をしているということになりますが、腹部の手術をしている患者は腸管癒着などの合併症が起こる可能性があります。術後時間が経つとリスクは減少していきますが、何年経ってもリスクが全くなくなるということはありません。腸管癒着などになると、腸閉塞(イレウス)となってしまします。
腸閉塞とは、腸管内容物の通過が障害された状態のことをいいます。腹痛や悪心、嘔吐、排ガスや排便停止、腹部膨満などの症状が見られます。腹痛の症状が腸閉塞ではないか、というアセスメントをする必要があります。それには、さらに追加としてストーマからの排便の有無を確認する必要があります。腹痛の症状が出始めたころから排便が見られていなければ、腸閉塞を疑って、医師に相談する必要があります。

2.身体活動量:活動量が排便状況に影響することはありますが、優先して確
  認する項目ではありません。

3.食物の摂取状況:排便がなくなれば腹部膨満が起き、食事摂取量が減るで
  しょう。が、まず排便状況の確認が先でしょう。

4.ストーマ周囲の皮膚の状態は訪問看護時に観察が必要でしょう。でも、腹
  痛がある現在では腸閉塞の観察が必要です。ストーマ周囲の皮膚状態のト
  ラブルで腹痛は起きにくいでしょう。

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