看護師の過去問
第108回
午前 問105

妊娠中は貧血になりやすく、特に妊娠24～32週が貧血になりやすい時期です。特別に貧血による自覚症状はなくても検査値上Hbが11g/㎗以下、Htが33％以下は貧血と診断されます。AさんはHb10g/㎗、Ht30％なので妊娠性貧血といえます。
それ以外の選択肢については、白色の膣分泌物が多いようですが掻痒感はないため、膣カンジダ症の可能性は低いと思われます。
妊娠24週目での胎児推定体重の平均は660g前後とされており、700gであれば胎児発育不全とは言えません。
収縮期血圧が14mmHg以上、拡張期血圧が90mｍHg以上だと妊娠高血圧症候群とされていますが、Aさんの血圧は128/88mmHgなので高血圧ではありません。

正解は１です。

1)○
妊娠性貧血は、診断基準が定められています。
ヘモグロビ ン(Hb)値 11.0 g/dL 未満、
またはヘマトクリット(Ht)値 33 %未満です。
Aさんはの血液データは、Hb10g／dL、Ht30%であり、貧血と診断されます。

妊娠中は、血液量が約1,000mlも増加するため、循環血漿量が増加します。つまり、血液が薄くなってしまうので貧血になりやすいです。

2)×
膣カンジダの症状は、強い掻痒感と白い帯下（ヨーグルト状、カス状、チーズなどと表現される）です。
妊娠中は帯下が増加するため、帯下の性状を観察することが必要です。
Aさんは白色分泌物ではありますが、カス状ではなく、掻痒感もないため不正解となります。

3)×
胎児発育不全は、在胎週数に相当した発育がみられないことです。診断基準は、胎児体重基準値を用いて、基準範囲とのずれで判断します。
妊娠24週の推定胎児体重は、500～800g程度であり、発育不全は指摘されません。
また、子宮底長もこの時期では、22～24cm程度のため問題ありません。

4)×
妊娠高血圧症候群は、妊娠20週から分娩後12週までの高血圧、または、高血圧にたんぱく尿を伴う場合で、他の合併症によらないものをいいます。
数値基準は、最高血圧：140mmHg以上、または最低血圧：90mmHg以上、またはその両方の場合となります。Aさんは、高血圧値ではないため不正解となります。

また、妊娠高血圧症候群は、重症化すると重篤な合併症リスクが高くなります。
・子癇発作
　血圧上昇、蛋白尿に加えけいれんが起こる
・HELLP症候群
　脳出血、肝臓や腎臓の機能障害、肝機能障害に溶
　血や血小板減少を伴う
・胎児発育不全
・常位胎盤早期剥離　
など、母子ともに危険な状態になるため、食事や体重管理が大切になります。

妊娠中はおりものが増加しますが、それは生理的な変化で異常ではありません。
妊娠24週の胎児発育は問題なく、血圧も正常範囲内になっています。
女性のHbは13程度が正常になりますので、妊娠による貧血が考えられます。