看護師の過去問
第108回
午前 問109

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問題

看護師国家試験 第108回 午前 問109 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み問いに答えよ。

Aさん(30歳、初産婦、会社員)は、夫と2人暮らし。妊娠38週6日で3,200gの児を正常分娩した。分娩後から母児同室を開始しており、母乳育児を希望している。

産褥3日。Aさんの子宮底は臍下3横指、硬度は硬い。悪露は血性少量であった。乳房は左右とも全体的に硬く触れ、熱感と発赤があり痛みを訴えている。乳汁分泌状態は、乳管口は開口数左右5本ずつ、移行乳の分泌を認める。Aさんのバイタルサインは体温37.9°C、脈拍72/分、血圧108/60mmHgであった。
Aさんの状態として最も考えられるのはどれか。
  • 産褥熱(puerperal fever)
  • 子宮復古不全(sub-involution of the uterus)
  • 乳腺炎(mastitis)
  • 乳房緊満(breast fullness)

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この過去問の解説 (3件)

01

1.×
 産褥熱とは「分娩後24時間以降~産褥10日目までに2日以上にわたって38℃以上の発熱をきたすもの」、と定義されています。Aさんはギリギリですが38℃以上とはなっていません。また、2日以上の発熱という情報もありません。そのため不正解です。
2.×
 産褥3日目で子宮底が臍下3横指、というのは子宮復古の状況としては正常です。そのため、子宮復古不全ではありませんので不正解となります。
3.〇
 乳腺炎とは、産褥期の乳汁うっ滞状態に細菌感染を併発したものをいい、病原菌はブドウ球菌が多いとされています。Aさんの乳房の状態として、硬結感、熱感と発赤、疼痛があること、37.9℃と熱も高い傾向にあることから、乳腺炎であることが考えられます。
4.×
乳房が左右ともに全体的に硬く触れ…という部分だけで考えれば乳房緊満とも考えられますが、そのほかの症状もあわせてアセスメントすると乳腺炎のほうが適切といえます。そのため、この選択肢は不正解となります。

参考になった数1

02

正解は3です。

1)×
産褥熱は定義として、産後24時間以降、産褥10日以内に2日間以上、38度以上の発熱が続きます。
原因は、子宮内膜炎であることが多く、通常3~5日目に発症しやすいです。
症状としては、発熱、下腹部痛、子宮の圧痛、悪露の異常がみられます。
Aさんは産後2日目、体温37.9℃と発熱していますが、腹部症状はみられておらず、定義にも当てはまりません。

2)×
子宮復古不全は、産後、順調に子宮が通常の状態に戻らない場合のことをいいます。
分娩時に、胎盤や卵膜などが子宮からすべて排出されず一部残ってしまい、正常に収縮できないために起こります。
症状は、血性悪露が持続したり、通常よりも子宮が大きく、軟らかい状態が続きます。

Aさんは、産褥3日目、子宮底長は臍下3横指です。
産褥2~3日は、臍下2.3横指が通常であり、子宮復古は順調に進んでいます。
また子宮の硬度もあるため、良好です。
こちらは不正解となります。

3)○
乳腺炎は、母乳のうっ滞、下着などによる乳房の圧迫、白斑のつまり、乳頭の傷からの感染などが要因となり、乳腺が炎症を起こします。
症状は、
・乳房の腫れ、疼痛
・乳房にしこりができる
・乳房の発赤や熱感
・悪寒や発熱、頭痛などです。

Aさんは、左右乳房とも全体的に硬く、熱感と発赤があり痛みを訴えています。
発熱を伴い、乳房症状もありますので、乳腺炎を疑います。

4)×
産後3日目頃に移行乳となり、この頃は乳汁分泌が増え、母乳の分泌量が増加し、乳房が張ってきます。溜まった母乳を授乳しないと、パンパンに張り、軽い痛みや発赤がみられることがあります。
ですが、授乳することで症状改善がみられ、楽になります。緊満をそのままにしておくと、乳腺炎のリスクは高くなります。
Aさんは乳房が硬く、発熱や疼痛、発赤などの症状がみられているため、緊満だけではなく乳腺炎であると考えます。
乳汁分泌状態は、乳管口も左右5本ずつ開通しており、移行乳の分泌を認めているため、授乳することで緊満は症状緩和できます。

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03

産褥婦の乳房トラブルとして多いのが乳腺炎になります。出産直後はなかなか母乳が出ない方もおり、そのため乳腺が炎症を起こし、熱感や疼痛を伴う方がいます。
乳房の緊満だけなら問題はないですが、熱感や疼痛を伴っているところがポイントになります。
子宮復古は日数により変化しますので、産褥3日目での臍下3横指は正常です。

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