看護師の過去問
第108回
午後 問152
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問題
看護師国家試験 第108回 午後 問152 (訂正依頼・報告はこちら)
風疹(rubella)の疑いがある入院患者の隔離予防策で適切なのはどれか。
- 標準予防策
- 標準予防策と接触感染予防策
- 標準予防策と飛沫感染予防策
- 標準予防策と空気感染予防策
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この過去問の解説 (3件)
01
風しんの感染経路は飛沫感染です。
1)×
標準予防策(スタンダードプリコーション):
感染症の有無に関わらずすべての患者のケアに際して適用する予防策です。
標準予防策は、患者の血液、体液(唾液・胸水・腹水・心嚢液・脳脊髄液等すべての体液)、分泌物(汗は除く)、排泄物、あるいは傷のある皮膚や粘膜を感染の可能性のある物質とみなし対応することで、患者と医療従事者双方における病院感染の危険性を減少させる予防策です。
手袋、ガウンの着用:
・血液、体液、分泌物、排泄物、創傷、粘膜などに 接触する場合
・侵襲的処置を行う場合
・血液などで汚染されるおそれのある場合にはガウ ンやマスクを着用
手洗い:
・易感染患者に接触する前
・血液、体液、分泌物、排泄物、創傷、粘膜などに 接触した後
・患者に直接接触した後
・侵襲的処置を行う前
感染の有無に関係なく、通常はどの患者さんにも標準予防策が基本になります。
そのうえで、感染症がある場合は、この標準予防策に追加して特殊な予防策が必要になります。
2)×
接触予防策:医療関連感染で最も重要で頻度の高い感染経路です。
直接接触感染と間接接触感染があり、直接接触感染は、感染者から微生物が直接伝播することです。
また、間接接触感染は微生物に汚染した物や人を介して伝播することであり、手指衛生を行わなかった手や患者ごとに手袋を交換しないことなどが挙げられます。
主な病原体:薬剤耐性菌(MRSA,ESBLなど)
クロストリジウム・ディフィシル 、ロタウイルスやノロウイルス、 疥癬 、流行性角結膜炎など
予防策:標準予防策に追加して行います。
手袋、ガウンの着用
・患者に直接接触する場合
・汚染の疑われる周囲に接触する場合
・患者に濃密に接触する場合、また周辺環境に直接 触れる可能性がある場合はガウンを着用
手洗い:
・汚染の疑われる周囲に接触した後
・個人防護用具病室退室前に外し、手洗い、手指
衛生を行う
その他の対応として以下が挙げられます。
・個室への収容、同病原体保菌者および感染症者を 集団隔離
・個室および集団隔離が困難な場合、ベッド間を1m 以上にしてカーテンによる障壁を設ける
・患者移動や移送が必要な場合、感染部位や保菌部 位を覆う
・医療器材は、患者専用にする
3)○
飛沫感染:病原体を含んだ気道分泌物や唾液が飛沫となり、会話や咳、くしゃみによって飛び散り,感受性ある人の口腔粘膜、鼻粘膜、結膜等粘膜に付着することによって感染します。
主な病原菌:百日咳、喉頭ジフテリア、髄膜炎菌肺炎、マイコプラズマ肺炎、インフルエンザ、風疹、流行性耳下腺炎など
予防策:標準予防策に追加して行います。
・医療従事者や面会者はサージカルマスクを着用し 入室する
・個室への収容、また同一感染症患者の集団隔離も 可能
・個室および集団隔離が困難な場合、ベッド間を1m 以上に保ち、カーテンなどによる障壁を設ける
・患者移動や移送時には、サージカルマスクを着用 させる
4)×
空気感染:微生物を含む5㎛以下の飛沫核が、長時間
空中を浮遊し、空気の流れによって広範囲に拡散し、その飛沫核を感受性のある人が吸入することによって感染します。
主な病原菌:結核、麻疹 、水痘、帯状疱疹(免疫不全や播種性場合)など
予防策:標準予防策に追加して行います。
・結核あるいは疑いのある患者の部屋入室時、N95 微粒子用マスクを着用
・病室は、独立空調で陰圧管理個室が原則であり、 扉は閉めておく
・患者に病室外に出ないように指導
・やむを得ず移動する際にサージカルマスクを着用 させる
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02
感染している人からの咳やくしゃみからの飛沫感染が主な感染経路です。
しかし、ウイルスが付着した手や鼻に触れることでも感染します。
妊娠初期に風疹にかかると母親から胎盤を通して感染し、「先天性風しん症候群」を起こすことがあります。
1 . 標準予防策
×不正解
スタンダードプリコーションとも呼ばれます。感染の有無に関わらず、すべての人に適応されます。
風しんは標準予防策に加えて飛沫感染の予防が必要なので不正解です。
2 . 標準予防策と接触感染予防策
×不正解
風疹の主な感染経路は飛沫感染です。
接触感染予防策が必要な病原体や感染症は、MRSA,VRE,感染性胃腸炎(ロタウイルス、ノロウイルス)などです。
予防対策は手袋、ガウン、手指消毒です。
3 . 標準予防策と飛沫感染予防策
○正解
飛沫感染予防策が必要な感染症は風疹のほかに百日咳、ジフテリア、インフルエンザ、流行性耳下腺炎などです。
飛沫感染予防対策は、個室管理、医療者のサージカルマスク着用、患者の移動時には患者さんにサージカルマスクを着用してもらいます。
4 . 標準予防策と空気感染予防策
×不正解
風疹には飛沫感染予防策が必要なので、不正解です。
空気感染予防策が必要な感染症は、結核、麻疹、水痘などです。
空気感染予防策は、個室(菌を広げないようにするために陰圧管理)、入退室以外はドアを閉める、患者さんに病室外に出ないように指導し、医療者はN95マスクを着用します。
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03
(解説)
風疹は、発熱や発疹リンパ節主張などを特徴とする、風疹ウイルスによっておこる発疹性感染症になります。感染経路は咳やくしゃみなどの飛沫感染で、人から人へ感染します。その感染力はとても強く、風疹ウイルスの免疫がない集団において、1人の風疹患者から5~7人に感染すると言われています。
感染経路が飛沫感染であるため、すべての患者に実施する標準予防策に加え、飛沫感染予防策を行う必要があります。よって、正解は、「3」になります。飛沫感染の代表的なものは、インフルエンザ、や流行性耳下腺炎、百日咳、マイコプラズマ肺炎などがあります。具体的な予防策は、以下のようなものがあります。
<飛沫感染予防策>
・入院の場合、患者は原則個室対応になりますが、同一感染症患者は、集団隔離も可能になります。
・個室及び集団隔離が困難な場合、ベッド間距離を1メートル以上保ち、カーテンなどによる障壁を用いる必要があります。
・医療者や面会者が、飛沫予防策の必要な患者の部屋に入室する際は、サージカルマスクの着用が必須になります。
・また、患者の移動や移送が必要な場合は、患者にサージカルマスクの着用をしてもらう必要があります。
(補足)
他の選択肢について、は、以下の通りです。
1. 標準予防策:人は伝播する病原体を保有しているという考えのもとに、患者や患者の周囲の環境に接触する前後に手指衛生を行うこと、また、血液・体液・粘膜などに接触するおそれがあるときは個人防護具を用いることとされています。標準予防策では、感染症の有無にかかわらず、すべての患者の湿性の生体物質を感染性があるもとして扱います。今回の問題で取り上げられている風疹のように、標準予防策以上の予防策が必要とされる病原体に感染している場合、もしくは感染している疑いがある場合は、標準予防策に加えて感染経路別の予防策を実施する必要があります。よって、正解には該当しません。
2. 標準予防策+接触感染予防策:接触感染は、医療関連感染で、最も重要で頻度が高い感染経路になり
ます。接触には2パターンあり、感染者から直接微生物が伝播する直接接触感染と、不十分な手指衛生、手袋の使いまわし、微生物に汚染したままの医療器具機材の使用といった、微生物に汚染したものや人を介して伝播する間接接触感染があります。代表的なものには、MRSAなどの薬剤耐性菌、クロストリジウム、ロタウイルスやノロウイルスなどの感染性胃腸炎などがあります。よって、正解には該当しません。具体的な予防策は、以下のようなものがあります。
<接触感染予防策>
・患者や患者周辺環境に直接触れる場合は、手袋・ガウンなどの個人防護具を装着し、
病室退室前に個人防護具を外して、手指消毒を行う。
・個室への収容が望ましく、同じ病原体であれば、集団隔離も可能。
・個室や集団隔離が難しい場合、ベッド間距離を1m以上間隔をあけることが望ましく、
カーテンなどの障壁を設ける
・患者の移動や移送が必要な場合は、保菌部位や感染部位を覆う
・血圧計や聴診器、体温計などの医療器材は、患者専用にするのが望ましい。
4.標準予防策+空気感染予防策:空気感染とは、感染している患者がくしゃみや咳、会話などで放出し
た飛沫から水分が蒸発することで、微生物を含む飛沫核となって空中に長時間浮遊し、空気の流れによって広範囲に拡散し、その飛沫核に感受性のある人が吸入することによって感染します。代表的なものには、結核や麻疹、水痘などがあります。よって、正解には該当しません。主な対策は、以下のようなものがあります。
<空気感染予防策>
・独立空調で陰圧管理できる個室が原則。
・やむなく集団隔離をするときは、同じ病原体による感染であること、他の感染がないこと、
薬剤耐性の水準が同じであることを確認する。
・入退室以外は扉を閉めておく
・患者には病室外へ出ないように指導する。やむを得ず出るときは、サージカルマスクを着用。
・結核と診断されている、もしくはその疑いのある患者の病室に入る際は、N95マスクを装着。
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