看護師の過去問
第108回
午後 問218

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問題

看護師国家試験 第108回 午後 問218 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み問いに答えよ。

Aさん(82歳、女性)は、Alzheimer<アルツハイマー>型認知症(dementia of Alzheimer type)で、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準IIb、要介護で1ある。息子と2人暮らしであったが、1年前から認知症対応型共同生活介護<認知症高齢者グループホーム>に入所している。息子は仕事が忙しいため、2か月に1回面会に来所する。Aさんは2日前から活気がなくなり、食事量も減少した。本日、発熱や下痢を主訴に介護職員に付き添われて外来を受診した。外来の看護師が介護職員に普段の健康状態の把握の方法を尋ねると、1日1回の体温と血圧の測定、月1回の体重測定、レクリエーションへの参加の様子を確認しているという回答を得た。Aさんは、看護師の簡単な質問に答えることができる。
身体所見:体温37.0°C、呼吸数24/分、脈拍72/分、血圧132/82mmHg、呼吸音は異常なし。水様便が3回/日、濃縮尿、手指の冷感あり、顔色は不良。皮膚の乾燥あり。体重45.8kg。
検査所見:Ht40%、白血球9,800/μL、尿素窒素25mg/dL。Na150mEq/L、尿比重1.030。

入院後3日。Aさんは開始された食事を全量摂取し、活気が出てきた。Aさんは自ら水分を摂ることはなかったが、看護師がお茶を勧めると、少量ずつ摂取している。体重47kg。Aさんの尿の性状は淡黄色で尿臭はなく、血液検査データは改善して基準値となったため、点滴静脈内注射が中止となり、退院が決まった。
Aさんが外来受診時と同じ状態を起こさないために、看護師が介護職員に伝える予防策で適切なのはどれか。
  • 室温は30°Cに保つ。
  • 8g/日の食塩を摂取する。
  • カフェインを含む水分を摂取する。
  • 熱の放散を抑制する衣類を選択する。
  • 食事を含めて1,300mL/日の水分を摂取する。

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この過去問の解説 (3件)

01

情報より、水様便が3回/日、濃縮尿、手指の冷感あり、顔色は不良、皮膚の乾燥している、また、検査所見からも基準値の上限値なので脱水が考えられます。

1 . 室温は30°Cに保つ。
×不正解
室温が30℃は高すぎる設定です。室温目安は夏は28度、冬は20度が推奨されています。よって、不正解です。

2 . 8g/日の食塩を摂取する。
×不正解
一日の塩分摂取量は女性で7g/日を目安にします。しかし、年齢を重ねると味覚の変調で塩分が濃くなりがちなので注意が必要です。しかし、入院前の血圧は高血圧といえる値ではないので今のAさんには塩分摂取制限は必要がないと思われます。よって、不正解です。

3 . カフェインを含む水分を摂取する。
×不正解
カフェインには血管拡張、利尿作用があります。Aさんは、自ら水分を摂取する習慣がなさそうなので(入院中自ら飲水せず、勧められるとお茶を飲む、という情報から)、カフェインを含まない水分を摂ることを勧めます。よって、不正解です。

4 . 熱の放散を抑制する衣類を選択する。
×不正解
衣服に関しては季節に合わせた衣類の選択が必要です。寒い時には熱の放散を抑制する衣服で体を温める必要はありますが、今の段階では問題がないと思われるので、不正解です。

5 . 食事を含めて1,300mL/日の水分を摂取する。
入院中の飲水行動から、勧められないと水分摂取しない様子がうかがわれます。また、その習慣が続くことで脱水になる可能性があります。よって、一日の飲水量を確保することを介護職員に伝えます。
一日の水分摂取量は心疾患や水分摂取量の制限がなければ1300mlは最低限ではありますが目安には丁度いい量です。よって、正解です。

参考になった数1

02


1 . 室温は30°Cは高温で、睡眠を妨げあり、ストレスの原因にもなります。至適温度ではありません。
よって不正解です。


2 .女性では目安量は7g/日以下です。8g/日の食塩を摂取するのは多いと考えられます。血圧も少しばかり高いことより敢えて塩分摂取は必要ないです。
よって不正解です。


3 . カフェインを含む水分を摂取することで腎臓での水の再吸収が抑制されてしまうことで、尿排出量が増えてしまいます。今後、発熱等で脱水となることを考慮し、あえて利尿を促すような指導をする必要性はないと考えられます。
よって不正解です。


4 . 今後の発熱のことを考慮し、熱の放散を促す衣類を選択するよう指導が必要です。
よって不正解です。


5 . 食事を含めて1,300mL/日の水分を摂取する。発熱による脱水となることを考慮し水分摂取を促す声掛けは必須です。
よって正解です。

参考になった数1

03

1.×
 室温30℃では暑すぎます。療養環境を整える上で室内の適温は24±2℃とされています。そのため不適切です。
2.×
 塩分摂取量は6g/日未満が推奨されています。高齢者の摂取量として8g/日では多すぎます。
3.×
 カフェインは利尿作用があるため、脱水になりやすくなってしまいます。そのため不適切です。
4.×
 熱の放散を抑制する衣類を選択すると熱がこもってしまいます。衣類の選択は通気性の良いもののほうが良いです。
5.〇
 高齢者の場合、心疾患や糖尿病の既往で水分制限がない限りは、1,300ml/日程度の水分摂取が望ましいです。

参考になった数0