看護師の過去問
第109回
午前 問68

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問題

看護師国家試験 第109回 午前 問68 (訂正依頼・報告はこちら)

Aさん( 82 歳、女性)は、要支援 2 である。Aさんの屋内での転倒予防と自立の促進のため、自宅で介護する家族への指導で適切なのはどれか。
  • 車椅子での移動とする。
  • 移動時にスリッパを使用する。
  • 手すりがない場所での歩行を避ける。
  • 移動の前に立ちくらみの有無を確認する。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解:4. 移動の前に立ちくらみの有無を確認する。


介護認定サービスを受ける際に、要支援・要介護認定を受ける必要があります。

要支援とは、身体または認知症などの精神の障害があり、状態の軽減や悪化の防止のために介護予防サービスなどを利用した方がいいと見込まれる状態です。要支援には1と2があります。

・要支援1
 基本的には自分で日常生活を送れますが、生活の一部に見守りや手助けなどの社会的な支援が必要な状態です。
・要支援2
 立ち上がりや歩行に不安定さがみられたり、排泄や入浴などに部分的な介助が必要になったりなど、要支援1と比較して、見守りや手助けなどの社会的支援がより必要になった状態です。


1. →Aさんは、要支援2の状態ですので、不安定さはあるものの歩行できる状態だと予想されます。車椅子移動に変更するよりも、転倒を防止しながら、現在の筋力を維持することが必要となります。

2. →スリッパは滑りやすく、脱げやすい履物ですので避けた方が良いでしょう。歩きやすい靴を選ぶように指導する必要があります。

3. →要支援2で立ち上がりや歩行に不安定さがある状態だと予想されますので、手すりを設置したりと転びにくい環境を整える必要があります。

4. →年齢的あるいは疾患や内服薬の影響で、立ち上がる際に血圧変動が生じ、立ちくらみやふらつきが起こる場合があります。移動の前に、立ちくらみの有無を確認し、その後、ゆっくりと動作を行う必要があります。

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02

(正解) 4
(解説)
介護が必要な度合いを表す要介護度のうち、要支援2は、要支援1に次いで軽度の状態とされています。
要支援2の具体的な状態としては、以下の通りになります。
・身だしなみや居室の掃除などの身のまわりの世話に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする。
・立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とする。
・歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とすることがある。
・排泄や食事はほとんど自分ひとりでできる。

問題ではAさんの疾患や内服薬についての情報はありませんが、内服や疾患の影響で、立ち眩みやふらつきが出現すること、加齢に伴うバランス能力の低下、要支援2であることから立位保持に何らかの支えが必要であることを考慮すると、転倒予防のためには、動く前にふらつきや立ち眩みの有無を確認し、ゆっくりと動作を行うことが必要です。したがって、選択肢「4」が正解に該当すると考えられます。

(補足)
他の選択肢については、以下の通りです。
1について
:Aさんが要支援2であること、屋内での転倒予防と自立促進のための指導であることを考えると、車椅子利用は要介護3程度にあたるため、正解には該当しません。

2について
:移動時でのスリッパの使用は、スリッパは滑りやすく脱げやすい履物であることから、転倒予防には該当しません。よって、正解には該当しません。

3について
:Aさんが要支援2であることから立位保持や移動の際に何らかの支えが必要な状態であることが予想でき、手すりの設置などの環境調整が必要であると考えられます。よって、正解には該当しません。

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03

正解4.移動の前に立ちくらみの有無を確認する。

転倒リスク(厚生労働省監修「介護予防テキスト」より)

①歩行能力の低下
歩くことは全身の7割以上の筋肉が活動するといわれるほど高率のよい全身運動になります。日頃から歩くことや、筋力・柔軟性を高めておくことは大切です。

②バランス能力の低下
片足立ちは、バランスだけでなく、筋力も必要となります。体操で身につける筋肉や関節のなめらかな動きもバランス能力の向上には重要なことです。

③筋力の低下
足腰の筋力を落とさないように散歩や体操を行い、手指刺激するような運動も効果的です。

④疾病による転倒リスク
筋力が低下してしまった人や慢性の病気がある人は転倒しやすくなります。
立ち上がった瞬間などの姿勢が大きく変わったときに、立ちくらみが起きやすくなる方もいます。

⑤服薬による転倒リスク
睡眠薬や降圧剤、精神安定剤などは、副作用として眠気やふらつきをまねくことがあります。

⑥転倒の外的要因
スリッパ・サンダルは転倒の原因となることが多くあります。滑りやすい・脱げやすい履物は避けて、歩きやすい靴を選ぶようにしましょう。
敷物のめくれやほつれ、住宅内の段差が転倒の原因になります。

⑦視力・聴力の低下
視力・聴力の低下により、情報量が少なくなり転びやすくなります。

⑧転倒に対する不安とそれによる日常生活機能(ADL)の制限
転倒に対する恐怖心から閉じこもりがちになることがあります。

1→足腰の筋力を落とさないように歩くことが重要です。

2→スリッパは、滑りやすく脱げやすい履物はです。歩きやすい靴を選ぶ必要があります。

3→バランス能力の低下や住宅内の段差で転倒しやすくなります。移動時に見守ってもらったり、手すりなどをつけて、転びにくい環境を整える必要があります。

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