看護師の過去問
第109回
午前 問92

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問題

看護師国家試験 第109回 午前 問92 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み以下の問いに答えよ。
Aさん( 60 歳、男性、元建設業)は、妻( 57 歳)と 2 人暮らし。2 年前に悪性胸膜中皮腫( malignant pleural mesothelioma )と診断され、化学療法を受けたが効果がみられず、外来通院していた。2 週前から、胸痛、息苦しさ、倦怠感が増強したため、症状コントロール目的で入院した。
バイタルサイン:体温 36.0 ℃、呼吸数 24 /分、脈拍 92 /分、血圧 126 / 88 mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈 SpO2 〉 86 ~ 90 %( room air )。
身体所見:両側下肺野で呼吸音が減弱しており、軽度の副雑音が聴取される。
血液所見:赤血球 370万 /μL、Hb 8.8 g /dL、白血球 6,700 /μL、総蛋白 5.2 g /dL、アルブミン 3.8 g /dL、CRP 1.5 mg /dL。
動脈血液ガス分析( room air ):pH 7.31 、動脈血二酸化炭素分圧〈 PaCO2 〉 40 Torr 、動脈血酸素分圧〈 PaO2 〉 63 Torr 。
胸部エックス線写真:胸膜肥厚と肋骨横隔膜角の鈍化が認められる。肺虚脱なし。
入院後、症状緩和のためモルヒネの内服と経鼻カニューレによる酸素療法 2 L /分が開始された。経皮的動脈血酸素飽和度〈 SpO2 〉は 95 %前後で維持されるようになったが、Aさんは夜間の息苦しさを訴えている。
Aさんの呼吸困難を緩和するための体位で適切なのはどれか。
  • 半腹臥位
  • 右側臥位
  • 左側臥位
  • セミファウラー位

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この過去問の解説 (3件)

01

正解:4. セミファウラー位

Aさんの場合、両側下肺野で呼吸音が減弱や副雑音聴取、胸部X線上で肋骨横隔膜角の鈍化を認めていることから、両側下肺野に胸水が貯留していることが予測されます。

そのため、セミファウラー位を取ることで、
・横隔膜が下がり、胸郭が広がりやすくなること、呼吸面積が広がることで呼吸がしやすくなります。
・また、両側下肺野の血流が増加し酸素が運ばれやすくなることで、ガス交換も効果的に行われ、呼吸が楽になります。

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02

(正解) 4
(解説)
この問題では、呼吸困難感と胸水が貯留していることを考慮して考える必要があります。
Aさんの場合、両側下肺野で呼吸音が減弱や副雑音聴取、胸部X線では、肋骨横隔膜角の鈍化を認めており、両側下肺野に胸水が貯留していることがアセスメントできます。そのため、腹臥位や左右側臥位では呼吸困難感の緩和にはつながりません。
呼吸困難感の緩和には、起坐位やセミファウラー位が効果的です。身体を起こすことで横隔膜が下がり、腹部臓器による横隔膜への圧迫が避けられることができ、呼吸面積が広がり、肺が伸展しやすくなります。また、胸郭が伸展し、横隔膜や側腹筋の運動がより活発にもなることから、肺うっ血の改善、換気量の増加、横隔膜が下がることによって、呼吸困難の緩和が期待できます。よって、正解は「4」になります。

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03

正解:4.セミファウラー位


呼吸困難時の看護
・安静にして酸素の消費量を減らします。
・起坐位もしくはセミファウラー位にして、呼吸が楽
 な姿勢を取ります。
 セミファウラー位は、呼吸面積が広くなり肺の伸展
 が容易で、呼吸しやすくなります。
・呼吸状態の観察を行い異常の早期発見に努めます。

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