(正解) 1
(解説)
体温調節中枢とは、体温をコントロールする中枢のことで視床下部にあります。体温調節中枢では、体温を何度に維持するかという設定温度決めており、これをセットポイントといいます。そして、実際の体温がセットポイントと等しくなるように、熱産生や熱放散を行うように視床下部から命令が出ています。セットポイントは、視床下部の体温調節中枢が機械的刺激と化学的刺激によって刺激されることで上昇します。機械的刺激とは、脳腫瘍、脳出血、頭蓋骨骨折などによって体温調節中枢が損傷を受けたり、直接刺激されたりして発熱をきたすことです。化学的刺激とは、血液中に体温調節中枢に作用する発熱物質のことをいい、例えば炎症にかかわる細胞が産生するものや細菌など体外から侵入するものなどがあります。これらの刺激によって、体温調節中枢が刺激されると、セットポイントが上昇します。そして、体温調節中枢は、セットポイントになるまで体温を上昇させるために、熱を逃がさないようにする指令と、熱を産出する指令が出されます。その指令によって、高温を維持するために立毛筋が収縮し、立毛が起こって、放熱を防ぎます。よって、正解は「1」となります。
余談ですが、猿や犬など体毛を持つ動物では、毛を立てることで、体毛によって保持される皮膚の外側の空気の層を厚くし、断熱性を高めますが、ヒトの皮膚には体毛が少ないので、立毛させることによる断熱効果はほとんどありません。進化上の名残として反応が残っていると言われています。
(補足)
他の選択肢については、以下の通りです。
2. 発汗:発汗は、蒸発によって熱を放散させるために起こります。セットポイントの上昇時は、熱を逃がさないようにする必要があるため、発汗が減少します。よって、正解には該当しません。
3.代謝抑制:セットポイントの上昇に伴い、熱産生を行うためにいろいろな物質が代謝されるため、代謝が亢進します。体温が1℃上昇すると代謝が13%増加すると言われています。よって、正解には該当しません。
4.皮膚血管拡張:セットポイントの上昇に伴い、熱を逃がさないようにするため、皮膚血管を収縮させ、毛細血管を収縮させて、血流を減少させます。よって、正解には該当しません、